鉄道の赤字路線ランキングは悲観じゃありません 「乗って楽しいローカル線ランキング」です!月刊乗り鉄話題(2022年9月版)(1/6 ページ)

迷わず行けよ、行けば分かるさ。【乗って楽しいJR東日本エリアのローカル線 トップ5】、いいところばかりです!

» 2022年09月15日 18時00分 公開
[杉山淳一ねとらぼ]

 赤字だらけじゃないか……。2022年7月28日、JR東日本が「ご利用の少ない線区の経営情報を開示します」という文書を発表し、話題になりました。平均通過人員2000人/日未満の線区、35路線66区間が対象。重要な路線に位置付ける「○○本線」にも赤字があり、首都圏も例外でなく“ご利用の少ない線区”がありました。

JR東日本の赤字路線・線区 JR東日本も赤字路線ばかりだなんて……(出典:JR東日本プレスリリース

 今回はこれを、ちょっと別の「乗り鉄目線」で見ていきましょう。

 赤字路線の指標における平均通過人員とは「1日1キロ当たりの平均利用者数」のことです。単位は「人/日」。「ある区間内で、年度内に実際に乗車した人と利用区間の総計(人キロ)」を「その区間の営業キロ」で割り、さらに「年度内の営業日数」で割って算出します。

 路線の合計利用者数だけで比較しようとしても、それぞれの営業キロが違うので単純に比較はできません。そこで平均値を出して比較しましょう、というわけです。この平均通過人員が多いほど「公共的な乗り物である」と言えます。

 ちなみに東京・首都圏の大動脈といえる「山手線」の2020年度平均通過人員は「72万374人/日」でした。大きいですね。これでも感染症流行の影響でかなり減りました。2019年度までは110万人/日を超えていました。それに比べたら、今回の対象となった「2000人/日」はとても少ないことが分かります。

山手線の2020年度平均通過人員は「72万374人/日」 【山手線】ふふふ、私の平均通過人員は「720374」です。ですが、もちろんフルパワーで……(略)(写真:PhotoAC)

 ただ、JR東日本がこの数値を発表したからといって、同様の数値を公表したJR他社と同じく「赤字だからこれらの路線を即時廃止したい」と考えているのではありません。報道によると「利用者を増やすため、沿線地域の皆さんと議論したい」「交通手段として本当に鉄道が最適だろうか。地域の人々にとっても、ほかの交通手段が良いかもしれない」と考えています。

 鉄道各社がこの数値を発表する背景に、国土交通省が2022年7月に公開した文書「地域の将来と利用者の視点に立ったローカル鉄道の在り方に関する提言」があります。その趣旨は、「国は今まで、赤字ローカル線問題を、鉄道会社と自治体に任せきりにしていた。国がしっかり取り組まなきゃダメだ」というものです。

 こちらについて詳細は、ITmediaビジネスオンラインの筆者記事「『乗客1000人未満』でローカル線を廃止? 存廃議論『国は積極的に関与すべき』」も一緒にご覧ください。

 しかし、JR東日本(他社も含む)の赤字路線リストを一部の自治体は「廃止したい路線ではないか。廃止など許せない」と端的に見てしまい、反発する声も上がりました。さて、どうしたらいいでしょうね……。

 なぜ今、鉄道業界の「赤字路線をこのまま維持していくべきかどうか問題」が深刻化しているのか。沿線自治体の思惑、これまでJR各社がそれでも赤字路線を維持し続けたのか。詳しくは過去記事「利用客激減、大赤字、そして廃線へ? 『地方ローカル鉄道の役目』はもう終わったのか」もぜひ一緒にご覧ください。

 ……そんなJR東日本の赤字線区リストを眺めていたら、乗り鉄の私は「魅力的なローカル線リスト」に見えてきちゃいました。

       1|2|3|4|5|6 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2501/04/news038.jpg 米津玄師、紅白で“205万円衣装”着用? 星野源“1270万円ネックレス”も話題…… 「凄いお値段」「びっくりした」
  2. /nl/articles/2501/04/news025.jpg サバの腹に「アニサキス発見ライト」を当てたら……? 衝撃の結果に「ゾワっとした」「泣きそう」と悲鳴 その後の展開を聞いた
  3. /nl/articles/2501/03/news057.jpg 「箱根駅伝」10区ランナー、“父親が大物アーティスト”と判明し「息子が走ってたなんて」「イケメン息子」と驚きの声
  4. /nl/articles/2501/02/news034.jpg 「脳がバグる」 ←昼間の夫婦の姿 夜の夫婦の姿→ あまりの激変ぶりと騙される姿に「三度見くらいした……」「まさか」
  5. /nl/articles/2501/03/news005.jpg 「妹が入学式に着るワンピース作ってみた!」→こだわり満載の完成品に「すごすぎて意味わからない」と大反響 2024年に読まれたハンドメイド記事トップ5
  6. /nl/articles/2501/01/news001.jpg 【今日の難読漢字】「手水」←何と読む?
  7. /nl/articles/2501/03/news004.jpg 授業参観の度に「かっこいい」と言われた父親が10年後……「時間止まってる?」父子の姿に驚愕 2024年に読まれた家族記事トップ5
  8. /nl/articles/2501/04/news004.jpg 高校生息子にリクエストされたお弁当を作ったら……驚きの仕上がりに「うらやましい」 2024年ねとらぼで読まれた【お弁当記事トップ5】を紹介
  9. /nl/articles/2501/03/news012.jpg 小さなカエルを大事に育て、たった1年後…… 娘が「こわい!」と逃げ出すレベルの“ヤバい成長”に「デカすぎやろ」「僕でも怖いわ」
  10. /nl/articles/2501/03/news007.jpg 考え方も性格も“正反対”の2人が結婚→それから13年後…… 苦楽をともにした“現在の姿”に反響 「素敵ですね」
先週の総合アクセスTOP10
  1. 東京美容外科、“不適切投稿”した院長の「解任」を発表 「組織体制の強化に努めてまいる所存」
  2. 大谷翔平、妻・真美子さん妊娠公表→エコー写真に“まさかの勘違い” 「デコピン妊娠?」「どう見てもデコピンで草」
  3. 「すごい漢字!」 YouTuberゆたぼん、運転免許証公開 「本名の漢字」に衝撃の声続々
  4. 「麻央さんにそっくり……」 市川團十郎の11歳息子・勸玄の成長ぶりに驚きの声 「大きくなってる!」「すでに貫禄がある」
  5. チェジュ航空社長、日本語で謝罪 犠牲者は170人以上との報道 公式サイトは通常のオレンジからブラックに
  6. 「スマホ入荷しました」 ハードオフ店舗がお知らせ→まさかの正体に大横転 「草しか生えない」
  7. 母「昔は数十人もの男性の誘いを断った」→娘は信じられなかったが…… 当時の“想像を超える姿”が2800万再生「これは驚いた」【海外】
  8. 毛糸で作ったお花を200個つなげると…… “圧巻の防寒アイテム”完成に「なにこれ作りたい……!!」「美しすぎる!」と100万再生【海外】
  9. 「思わず泣きそう」 シャトレーゼの“129円クリスマスケーキ”に衝撃 「すごすぎない!?」「このご時世に……」
  10. 「デコピンを抱き寄せたのはもしかして」 妻・真美子さん第1子妊娠発表で大谷翔平の発言と行動に再注目 「“もう帰る?”は気遣っていたのかも」
先月の総合アクセスTOP10
  1. ザリガニが約3000匹いた池の水を、全部抜いてみたら…… 思わず腰が抜ける興味深い結果に「本当にすごい」「見ていて爽快」
  2. パパに抱っこされている娘→11年後…… 同じ場所&ポーズで撮影した“現在の姿”が「泣ける」「すてき」と反響
  3. 東京美容外科、“不適切投稿”した院長の「解任」を発表 「組織体制の強化に努めてまいる所存」
  4. ズカズカ家に入ってきたぼっちの子猫→妙になれなれしいので、風呂に入れてみると…… 思わず腰を抜かす事態に「たまらんw」「この子は賢い」
  5. 母親から届いた「もち」の仕送り方法が秀逸 まさかの梱包アイデアに「この発想は無かった」と称賛 投稿者にその後を聞いた
  6. イモトアヤコ、購入した“圧倒的人気車”が思わぬ勘違いを招く スーパーで「後ろから警備員さんが」
  7. 「何があった」 絵師が“大学4年間の成長過程”公開→たどり着いた“まさかの境地”に「ぶっ飛ばしてて草」
  8. フォークに“毛糸”を巻き付けていくと…… 冬にピッタリなアイテムが完成 「とってもかわいい!」と200万再生【海外】
  9. 「何言ったんだ」 大谷翔平が妻から受けた“まさかの仕打ち”に「世界中で真美子さんだけ」「可愛すぎて草」
  10. 鮮魚スーパーで特価品になっていたイセエビを連れ帰り、水槽に入れたら…… 想定外の結果と2日後の光景に「泣けます」「おもしろすぎ」