鉄道の赤字路線ランキングは悲観じゃありません 「乗って楽しいローカル線ランキング」です!:月刊乗り鉄話題(2022年9月版)(1/6 ページ)
迷わず行けよ、行けば分かるさ。【乗って楽しいJR東日本エリアのローカル線 トップ5】、いいところばかりです!
赤字だらけじゃないか……。2022年7月28日、JR東日本が「ご利用の少ない線区の経営情報を開示します」という文書を発表し、話題になりました。平均通過人員2000人/日未満の線区、35路線66区間が対象。重要な路線に位置付ける「○○本線」にも赤字があり、首都圏も例外でなく“ご利用の少ない線区”がありました。
今回はこれを、ちょっと別の「乗り鉄目線」で見ていきましょう。
赤字路線の指標における平均通過人員とは「1日1キロ当たりの平均利用者数」のことです。単位は「人/日」。「ある区間内で、年度内に実際に乗車した人と利用区間の総計(人キロ)」を「その区間の営業キロ」で割り、さらに「年度内の営業日数」で割って算出します。
路線の合計利用者数だけで比較しようとしても、それぞれの営業キロが違うので単純に比較はできません。そこで平均値を出して比較しましょう、というわけです。この平均通過人員が多いほど「公共的な乗り物である」と言えます。
ちなみに東京・首都圏の大動脈といえる「山手線」の2020年度平均通過人員は「72万374人/日」でした。大きいですね。これでも感染症流行の影響でかなり減りました。2019年度までは110万人/日を超えていました。それに比べたら、今回の対象となった「2000人/日」はとても少ないことが分かります。
ただ、JR東日本がこの数値を発表したからといって、同様の数値を公表したJR他社と同じく「赤字だからこれらの路線を即時廃止したい」と考えているのではありません。報道によると「利用者を増やすため、沿線地域の皆さんと議論したい」「交通手段として本当に鉄道が最適だろうか。地域の人々にとっても、ほかの交通手段が良いかもしれない」と考えています。
鉄道各社がこの数値を発表する背景に、国土交通省が2022年7月に公開した文書「地域の将来と利用者の視点に立ったローカル鉄道の在り方に関する提言」があります。その趣旨は、「国は今まで、赤字ローカル線問題を、鉄道会社と自治体に任せきりにしていた。国がしっかり取り組まなきゃダメだ」というものです。
こちらについて詳細は、ITmediaビジネスオンラインの筆者記事「『乗客1000人未満』でローカル線を廃止? 存廃議論『国は積極的に関与すべき』」も一緒にご覧ください。
しかし、JR東日本(他社も含む)の赤字路線リストを一部の自治体は「廃止したい路線ではないか。廃止など許せない」と端的に見てしまい、反発する声も上がりました。さて、どうしたらいいでしょうね……。
なぜ今、鉄道業界の「赤字路線をこのまま維持していくべきかどうか問題」が深刻化しているのか。沿線自治体の思惑、これまでJR各社がそれでも赤字路線を維持し続けたのか。詳しくは過去記事「利用客激減、大赤字、そして廃線へ? 『地方ローカル鉄道の役目』はもう終わったのか」もぜひ一緒にご覧ください。
……そんなJR東日本の赤字線区リストを眺めていたら、乗り鉄の私は「魅力的なローカル線リスト」に見えてきちゃいました。
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