鉄道150年、鉄道草創期から続く「宇都宮の駅弁」製造現場に密着してみた:宇都宮「いっこく野州どり弁当」(850円)(1/3 ページ)
栃木県・宇都宮駅は駅弁発祥の地といわれます。明治時代に創業したすごい老舗駅弁店、見てきました。
「駅弁」食べ歩き20年・5000個の放送作家・ライター望月が、自分の足で現地へ足を運びながら名作・新作合わせて、「いま味わうべき駅弁」をご紹介。
【ライター望月の駅弁膝栗毛】:横浜「鉄道開業150年記念弁当」
2022(令和4)年10月14日で、日本の鉄道は150年の節目を迎えました(関連記事)。草創期から旅のお供として、日本の鉄道文化の一翼を担ってきたのが「駅弁」。その発祥の地には、諸説ありますが、栃木県・宇都宮駅の駅弁は、古くから“発祥の地”と云われてきました。今回は鉄道150年の節目に合わせ宇都宮の駅弁屋さんを訪問。鉄道と共に歩んできた、駅弁の歴史に思いを馳せてまいります。
「駅弁屋さんの厨房ですよ!」第37弾・松廼家編(第1回/全6回)
鉄道150年の令和4(2022)年、東北新幹線(大宮〜盛岡間)は、開業40周年の節目を迎えました。白と緑の新幹線は最高時速210km、大宮〜盛岡間を3時間17分で結び、東北地方に新幹線時代の到来を告げました。いまは「はやぶさ」号が、最高時速320km、東京〜新青森間を最速2時間58分で結び、さらに青函トンネルで津軽海峡を越えて、北海道まで3時間台で到達します。
東北新幹線「やまびこ」をはじめ、多くの列車が停まる宇都宮駅。明治18(1885)年7月16日の開業と共に駅弁が誕生したと言われており、“駅弁発祥の地”とする説があります。現在は、明治26(1893)年創業の松廼家(まつのや)が、日本鉄道構内営業中央会に加盟する駅弁屋さんとしては、宇都宮だけでなく、栃木県内唯一の業者として孤軍奮闘中。「駅弁屋さんの厨房ですよ!」第37弾は、宇都宮駅弁「株式会社松廼家」に注目します。
ブランド鶏「いっこく野州どり」でバージョンアップしたロングセラー駅弁!
宇都宮駅で長年親しまれてきたロングセラー、松廼家の「とりめし」。この駅弁が、平成31(2019)年春に、地元のブランド鶏を使った「いっこく野州どり弁当」(850円)として、大きくリニューアルされました。今回は、宇都宮駅西口にある松廼家の本社工場でこの駅弁の盛り付けの様子を見せていただきます。松廼家によると、従業員さんは総勢30人ほど。少数精鋭で“発祥の地”の駅弁の灯を守っています。
北関東産のコシヒカリを丸いガス釜で炊いて作られた茶飯が、十分に冷まされた上で手際よく折箱に詰められていきます。この茶飯の上に「いっこく野州どり」のそぼろと玉子そぼろが敷き詰められて、彩りが一気に華やかな雰囲気となりました。
ここにリニューアルの際に加わった煮玉子や、いっこく野州どりのつくね寄せ、香の物としてわさび菜漬けがのせられていきます。
噛めば噛むほどうま味が出る「いっこく野州どり」!
最後に「いっこく野州どり」の照り焼きがのせられて、あっという間に盛り付け完了。フタをしてからスリーブ式の包装が施され、割り箸とお手拭きが挟み込まれて、自慢の「いっこく野州どり弁当」の完成です!
ここから宇都宮駅構内の駅弁売店までは歩いても2〜3分といったところ。昔ながらの駅弁屋さんの立地です。その昔は駅弁の売れゆきに応じて、急いで追加生産し、駅へ持って行ったような風景が目に浮かびます。
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