何が問題? プリキュアファンを毎年悩ませる「商標バレ」:サラリーマン、プリキュアを語る(1/2 ページ)
プリキュアでも商標バレは毎年のように起こります(幸いにも2022年はまだ起きていません)。
毎年11月になると多くのプリキュアファンは「商標バレ」に悩まされます。知らない方は全く知らない異世界のお話かもしれませんが、一部のプリキュアファンからしたら由々しき問題なのです。
「商標バレ」とは「商標登録の情報から、公式発表前に次作のプリキュアのタイトルが判明してしまう」というものです。プリキュアに限らず、スーパー戦隊、仮面ライダーなどニチアサ関係では毎年のように発生しているネット上での出来事ですね。アニメに限らずゲームなどでもよく見かけます。
「商標バレってなぜ起こるの?」「公式発表よりも先にタイトルを知ってしまうことの何が悪いの?」と思われる人も多いかと思いますので、一度まとめておこうと思います(この「商標バレ」の根は深いものがあり、自分の経験として、娘がまだ幼稚園に通っていたころ、公式発表前に次期プリキュアのタイトルが幼稚園中に知れ渡っていた、ということが実際にありました)。
※幸いにも2022年はまだ「商標バレ」は起きていません
kasumi プロフィール
プリキュア好きの会社員。2児の父。視聴率などさまざまなデータからプリキュアを考察する「プリキュアの数字ブログ」を執筆中。2016年4月1日に公開した記事「娘が、プリキュアに追いついた日」は、プリキュアを通じた父娘のやりとりが多くの人の感動を呼び、多数のネットメディアに取り上げられた。
- これまでのプリキュア連載一覧
プリキュアにおける「情報バレ」
「東映アニメーションからの公式発表前にタイトルやビジュアルなどの情報がネットに拡散され見てしまう」ことを「情報バレ」と定義すると、プリキュアで起きる情報バレには主に3種類あります。
- 商標バレ:商標登録から次期タイトルを知ってしまう
- 玩具解析バレ:おもちゃの解析で新しいプリキュアなどが判明する
- 関係者バレ:業界関係者からのリーク
どの「情報バレ」もSNSなどで拡散され、意図しないタイミングで目に触れることとなり、公式発表を楽しみに待っているファンからすればとても腹立だしいものと思います(中にはこういった「情報バレ」を全く気にしない人もいて、その考え方には個々の温度差があります)。
ただ、これは不快であるという「お気持ち」の問題だけでもないのです。これらの行為は明確にプリキュアというコンテンツに損害を与える行為なのです。
商標バレとは?
プリキュアで最初に起こるのは「商標バレ」です。
「商標バレ」とは、特許庁の登録商標の照会により次期プリキュアのタイトルやロゴが公式発表前に判明してしまうことです。通常、アニメやゲームなどは、他者に名称を使用されないように公開前に商標登録出願しておくことが一般的です。企業が商標登録の出願を行うと2〜3週間後にその内容が公開され、誰でも「特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)」を通して閲覧可能になります。
また、原則として出願日から2、3週間程度経過後、出願内容が一般に公開されます(出願公開)
初めてだったらここを読む〜商標出願のいろは〜 | 経済産業省 特許庁
プリキュアシリーズでも、例年10月中旬に新しいタイトルの「商標登録願い」が出され、10月下旬〜11月上旬にかけて一般公開されています。
(例えば2022年放送中の「デリシャスパーティ・プリキュア」(「・」はハートマーク)は、2021年10月18日に商標登録願いが出され、11月2日に出願内容が一般に公開されています)。
例年の流れでは、11月末に次のプリキュアの正式タイトルが東映アニメーションから発表されます。その情報を待たずに11月上旬に商標登録の情報を先にネットなどで拡散することが「商標バレ」と呼ばれている行為です。
公式からの発表を楽しみにしているファンからすれば、不用意に次期プリキュアのタイトルが目に入ってしまうこととなってしまいます。
Twitterでは「商標速報bot」などが意図せず拡散してしまうこともあり、情報を見たくない人にとってはなかなか防ぎきれない現状があります。この「商標バレ」は、東映アニメーション側が意図した情報公開ではないため、これを拡散する行為はマナー的には良くありません。
公開されている情報をどう扱おうと自由じゃないの?
とはいえ「機密情報の違法なリーク」ではなく一般公開されている情報です。
「国から公開されている情報なのだから、どう扱おうと個人の自由じゃないのか?」と思われる方も多いかと思います。
確かに公開されている情報ですので、おそらくSNSで拡散しても法的には問題はないかもしれません。ただ、公開されている情報だからといってどう扱っても良いわけではないのです。
この商標検索は「商標により利害関係が発生する人」が検索して、似たような商標がないかを調べるための制度です。特許庁のWebサイトには「先行商標登録調査」のために使用することが書かれています。
出願前には先行商標調査を行うことが大切です。他人が既に同一・類似の商標(マークが類似し、かつ、商品・役務が類似するもの)を登録している場合には、登録を受けることができないだけでなく、無断で使うと商標権の侵害となる可能性もあるためです(参考:「商標権は出願したらすぐに取れるの? 商標権を取るにはいくらかかるの?」経済産業省 特許庁Webサイト)。
例えば「食」を意識したパーティーグッズ「デリシャスパーティ」を企画している企業が、事前に類似した商標はないかを調べるためにあるものです。
それを利害関係の全くない人がわざわざ商標を調べて、興味目的やバズり目的で「拡散する」のは本来の商標検索の目的ではありません。
これは「官報で告知されている自己破産者」を本来の目的ではない「自己破産者マップにして公開してはダメ」なのと広義では通ずるものと思われます(参考記事:物議を醸した「破産者マップ」が閉鎖)。
商標バレを拡散する行為は「別に法的には問題ないかもしれないけど、わざわざ拡散するのは少なくともプリキュアファンとしてはあまりお行儀のよくない行為」であることは認識しておいた方がよいと思います。
もちろん、公開されている商標を「個人的に見に行く」のは何も問題ないと思われます。個人的に商標を検索して「ああ、来年はこんなタイトルなんだな……」と胸の内にしまっておくことは良いと思います(自分もやります)。
さらにネタバレOKなクローズドな仲間内で話す事もありだと思います(自分もやります)。
ただ「SNSで不特定に拡散する行為」はお行儀がよくない行為だと個人的には思います。
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