何が問題? プリキュアファンを毎年悩ませる「商標バレ」サラリーマン、プリキュアを語る(1/2 ページ)

プリキュアでも商標バレは毎年のように起こります(幸いにも2022年はまだ起きていません)。

» 2022年11月24日 18時00分 公開
[kasumiねとらぼ]

 毎年11月になると多くのプリキュアファンは「商標バレ」に悩まされます。知らない方は全く知らない異世界のお話かもしれませんが、一部のプリキュアファンからしたら由々しき問題なのです。

プリキュア 2022年「デリシャスパーティプリキュア」も佳境に入ってきました(出典:Amazon.co.jp

 「商標バレ」とは「商標登録の情報から、公式発表前に次作のプリキュアのタイトルが判明してしまう」というものです。プリキュアに限らず、スーパー戦隊、仮面ライダーなどニチアサ関係では毎年のように発生しているネット上での出来事ですね。アニメに限らずゲームなどでもよく見かけます。

 「商標バレってなぜ起こるの?」「公式発表よりも先にタイトルを知ってしまうことの何が悪いの?」と思われる人も多いかと思いますので、一度まとめておこうと思います(この「商標バレ」の根は深いものがあり、自分の経験として、娘がまだ幼稚園に通っていたころ、公式発表前に次期プリキュアのタイトルが幼稚園中に知れ渡っていた、ということが実際にありました)。

※幸いにも2022年はまだ「商標バレ」は起きていません

kasumi プロフィール

プリキュア好きの会社員。2児の父。視聴率などさまざまなデータからプリキュアを考察する「プリキュアの数字ブログ」を執筆中。2016年4月1日に公開した記事「娘が、プリキュアに追いついた日」は、プリキュアを通じた父娘のやりとりが多くの人の感動を呼び、多数のネットメディアに取り上げられた。


プリキュアにおける「情報バレ」

 「東映アニメーションからの公式発表前にタイトルやビジュアルなどの情報がネットに拡散され見てしまう」ことを「情報バレ」と定義すると、プリキュアで起きる情報バレには主に3種類あります。

  • 商標バレ:商標登録から次期タイトルを知ってしまう
  • 玩具解析バレ:おもちゃの解析で新しいプリキュアなどが判明する
  • 関係者バレ:業界関係者からのリーク

 どの「情報バレ」もSNSなどで拡散され、意図しないタイミングで目に触れることとなり、公式発表を楽しみに待っているファンからすればとても腹立だしいものと思います(中にはこういった「情報バレ」を全く気にしない人もいて、その考え方には個々の温度差があります)。

 ただ、これは不快であるという「お気持ち」の問題だけでもないのです。これらの行為は明確にプリキュアというコンテンツに損害を与える行為なのです。

プリキュア プリキュアの電子玩具から情報がバレてしまうことも(出典:Amazon.co.jp

商標バレとは?

 プリキュアで最初に起こるのは「商標バレ」です。

 「商標バレ」とは、特許庁の登録商標の照会により次期プリキュアのタイトルやロゴが公式発表前に判明してしまうことです。通常、アニメやゲームなどは、他者に名称を使用されないように公開前に商標登録出願しておくことが一般的です。企業が商標登録の出願を行うと2〜3週間後にその内容が公開され、誰でも「特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)」を通して閲覧可能になります。

また、原則として出願日から2、3週間程度経過後、出願内容が一般に公開されます(出願公開)
初めてだったらここを読む〜商標出願のいろは〜 | 経済産業省 特許庁

 プリキュアシリーズでも、例年10月中旬に新しいタイトルの「商標登録願い」が出され、10月下旬〜11月上旬にかけて一般公開されています。

(例えば2022年放送中の「デリシャスパーティ・プリキュア」(「・」はハートマーク)は、2021年10月18日に商標登録願いが出され、11月2日に出願内容が一般に公開されています)。

 例年の流れでは、11月末に次のプリキュアの正式タイトルが東映アニメーションから発表されます。その情報を待たずに11月上旬に商標登録の情報を先にネットなどで拡散することが「商標バレ」と呼ばれている行為です。

プリキュア 特許情報プラットフォーム商標検索結果から。「デリシャスパーティプリキュア」は2021年10月18日に出願され、2021年11月2日に公開されていることが分かります

 公式からの発表を楽しみにしているファンからすれば、不用意に次期プリキュアのタイトルが目に入ってしまうこととなってしまいます。

 Twitterでは「商標速報bot」などが意図せず拡散してしまうこともあり、情報を見たくない人にとってはなかなか防ぎきれない現状があります。この「商標バレ」は、東映アニメーション側が意図した情報公開ではないため、これを拡散する行為はマナー的には良くありません。

プリキュア 特許情報プラットフォーム商標検索結果から。歴代のプリキュアの名称も商標登録されています

公開されている情報をどう扱おうと自由じゃないの?

 とはいえ「機密情報の違法なリーク」ではなく一般公開されている情報です。

 「国から公開されている情報なのだから、どう扱おうと個人の自由じゃないのか?」と思われる方も多いかと思います。

 確かに公開されている情報ですので、おそらくSNSで拡散しても法的には問題はないかもしれません。ただ、公開されている情報だからといってどう扱っても良いわけではないのです。

 この商標検索は「商標により利害関係が発生する人」が検索して、似たような商標がないかを調べるための制度です。特許庁のWebサイトには「先行商標登録調査」のために使用することが書かれています。

 出願前には先行商標調査を行うことが大切です。他人が既に同一・類似の商標(マークが類似し、かつ、商品・役務が類似するもの)を登録している場合には、登録を受けることができないだけでなく、無断で使うと商標権の侵害となる可能性もあるためです(参考:「商標権は出願したらすぐに取れるの? 商標権を取るにはいくらかかるの?」経済産業省 特許庁Webサイト)。

 例えば「食」を意識したパーティーグッズ「デリシャスパーティ」を企画している企業が、事前に類似した商標はないかを調べるためにあるものです。

 それを利害関係の全くない人がわざわざ商標を調べて、興味目的やバズり目的で「拡散する」のは本来の商標検索の目的ではありません。

 これは「官報で告知されている自己破産者」を本来の目的ではない「自己破産者マップにして公開してはダメ」なのと広義では通ずるものと思われます(参考記事:物議を醸した「破産者マップ」が閉鎖)。

プリキュア

 商標バレを拡散する行為は「別に法的には問題ないかもしれないけど、わざわざ拡散するのは少なくともプリキュアファンとしてはあまりお行儀のよくない行為」であることは認識しておいた方がよいと思います。

 もちろん、公開されている商標を「個人的に見に行く」のは何も問題ないと思われます。個人的に商標を検索して「ああ、来年はこんなタイトルなんだな……」と胸の内にしまっておくことは良いと思います(自分もやります)。

 さらにネタバレOKなクローズドな仲間内で話す事もありだと思います(自分もやります)。

 ただ「SNSで不特定に拡散する行為」はお行儀がよくない行為だと個人的には思います。

       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2412/18/news202.jpg 「何言ったんだ」 大谷翔平が妻から受けた“まさかの行動”に「世界中で真美子さんだけ」「可愛すぎて草」【大谷翔平激動の2024年 「家族愛」にも集まった注目】
  2. /nl/articles/2412/20/news023.jpg 60代女性「15年通った美容師に文句を言われ……」 悩める依頼者をプロが大変身させた結末に驚きと称賛「めっちゃ若返って見える!」
  3. /nl/articles/2403/21/news088.jpg 「庶民的すぎる」「明日買おう」 大谷翔平の妻・真美子さんが客席で食べていた? 「のど飴」が話題に
  4. /nl/articles/2412/21/news038.jpg 皇后さま、「菊のティアラ」に注目集まる 天皇陛下のネクタイと合わせたコーデも……【宮内庁インスタ振り返り】
  5. /nl/articles/2412/21/news056.jpg 真っ黒な“極太毛糸”をダイナミックに編み続けたら…… 予想外の完成品に驚きの声【スコットランド】
  6. /nl/articles/2412/21/news088.jpg 71歳母「若いころは沢山の男性の誘いを断った」 信じられない娘だったけど…… 当時の姿に仰天「マジで美しい」【フィリピン】
  7. /nl/articles/2412/20/news096.jpg 新1000円札を300枚両替→よく見たら…… 激レアな“不良品”に驚がく 「初めて見た」「こんなのあるんだ」
  8. /nl/articles/2412/18/news015.jpg 家の壁に“ポケモン”を描きはじめて、半年後…… ついに完成した“愛あふれる作品”に「最高」と反響
  9. /nl/articles/2412/15/news031.jpg ザリガニが約3000匹いた池の水を、全部抜いてみたら…… 思わず腰が抜ける興味深い結果に「本当にすごい」「見ていて爽快」
  10. /nl/articles/2412/17/news195.jpg 「ほぼ全員、父親が大物芸能人」 奇跡的な“若手俳優の集合写真”が「すごいメンツ」と再び話題 「今や全員主役級」
先週の総合アクセスTOP10
  1. ザリガニが約3000匹いた池の水を、全部抜いてみたら…… 思わず腰が抜ける興味深い結果に「本当にすごい」「見ていて爽快」
  2. ズカズカ家に入ってきたぼっちの子猫→妙になれなれしいので、風呂に入れてみると…… 思わず腰を抜かす事態に「たまらんw」「この子は賢い」
  3. フォークに“毛糸”を巻き付けていくと…… 冬にピッタリなアイテムが完成 「とってもかわいい!」と200万再生【海外】
  4. 鮮魚スーパーで特価品になっていたイセエビを連れ帰り、水槽に入れたら…… 想定外の結果と2日後の光景に「泣けます」「おもしろすぎ」
  5. 「申し訳なく思っております」 ミスド「個体差ディグダ」が空前の大ヒットも…… 運営が“謝罪”した理由
  6. 「タダでもいいレベル」 ハードオフで1100円で売られていた“まさかのジャンク品”→修理すると…… 執念の復活劇に「すごすぎる」
  7. 母親から届いた「もち」の仕送り方法が秀逸 まさかの梱包アイデアに「この発想は無かった」と称賛 投稿者にその後を聞いた
  8. ある日、猫一家が「あの〜」とわが家にやって来て…… 人生が大きく変わる衝撃の出会い→心あたたまる急展開に「声出た笑」「こりゃたまんない」
  9. 友人のため、職人が本気を出すと…… 廃材で作ったとは思えない“見事な完成品”に「本当に美しい」「言葉が出ません」【英】
  10. セレーナ・ゴメス、婚約発表 左手薬指に大きなダイヤの指輪 恋人との2ショットで「2人ともおめでとう!」「泣いている」
先月の総合アクセスTOP10
  1. 「何言ったんだ」 大谷翔平が妻から受けた“まさかの仕打ち”に「世界中で真美子さんだけ」「可愛すぎて草」
  2. 「絶句」 ユニクロ新作バッグに“色移り”の報告続出…… 運営が謝罪、即販売停止に 「とてもショック」
  3. 「飼いきれなくなったからタダで持ってきなよ」と言われ飼育放棄された超大型犬を保護→ 1年後の今は…… 飼い主に聞いた
  4. アレン様、バラエティー番組「相席食堂」制作サイドからのメールに苦言 「偉そうな口調で外して等と連絡してきて、」「二度とオファーしてこないで下さぃませ」
  5. 「明らかに……」 大谷翔平の妻・真美子さんの“手腕”を米メディアが称賛 「大谷は野球に専念すべき」
  6. 「やはり……」 MVP受賞の大谷翔平、会見中の“仕草”に心配の声も 「真美子さんの視線」「動かしてない」
  7. ドクダミを手で抜かず、ハサミで切ると…… 目からウロコの検証結果が435万再生「凄い事が起こった」「逆効果だったとは」
  8. 「母はパリコレモデルで妹は……」 “日本一のイケメン高校生”グランプリ獲得者の「家族がすごすぎる」と驚がくの声
  9. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  10. 「真美子さんさすが」 大谷翔平夫妻がバスケ挑戦→元選手妻の“華麗な腕前”が話題 「尊すぎて鼻血」