「アバター」新作の衝撃シーンをサム・ワーシントンが語る「親になったことで恐怖を感じるように」 ネタバレ来日インタビュー(1/2 ページ)
ちょびっとネタバレあり。
ジェームズ・キャメロン監督による新作映画「アバター:ウェイ・オブ・ウォーター」が12月16日から公開中です。前作に引き続き主人公ジェイクを演じるのは豪出身俳優のサム・ワーシントン。前作ラストで壮絶な戦いの結果、倒されたはずのクオリッチ大佐役として悪役常連俳優スティーヴン・ラングも続投しています。
2009年に公開された第1作は、圧倒的な映像美と独創的な世界感から全世界興行収入No.1を記録(当時。「アベンジャーズ/エンドゲーム」に一時抜かれるも2021年にトップを奪還)。約200年後の未来、地球から遠く離れた神秘の星“パンドラ”を舞台に、先住民ナヴィと荒廃した地球を離れた人類との確執と戦いを描きました。
サムが演じる元海兵隊員のジェイクは、ナヴィを知り、ナヴィの女性と恋に落ちたことで人類のもとを離れ、新作では家族を築きパンドラの住民として暮らしています。対してスティーヴン演じるクオリッチ大佐は、前作でナヴィを最も苦しめた人物。ジェイクらの手によって命を落としたはずでしたが、“アバター”の体を得て再びパンドラに足を踏み入れます。ねとらぼでは、来日したサムとスティーヴンにインタビュー。お互いの役について思うことや、衝撃の展開の裏側まで詳しく聞きました。
※具体的ではありませんが、ストーリーの展開に触れる部分があります
サム「クオリッチはジェイクの過去」 スティーヴン「ジェイクは裏切り者」 お互いが語るそれぞれのキャラ
―― ジェイクとクオリッチ大佐は、良くも悪くもお互いがお互いにとって非常に運命的な相手と解釈しています。演者の立場からサムの言葉で大佐を、スティーヴンの言葉でジェイクを説明してください。
スティーヴン・ラング(以下、SL) クオリッチにとってジェイクは失望そのもの。かつてジェイクとは仲間、同類で、兄弟のような関係だった。海兵隊出身のジャーヘッド(髪形に由来した海兵隊員の蔑称)としてね。ジェイクは自分にかけられた期待や、高いリスクとそれに見合った報酬もあると分かっていたのに、道を外れていってしまった。クオリッチは、戦士としてジェイクの能力を高く評価しリスペクトしつつも、価値観の変化や彼の選択を受け入れられない。ガッカリしているんだ。
サム・ワーシントン(以下、SW) ジェイクにとって、大佐は自分の“過去”。簡単に殺せるような存在ではない。大佐との物語は今作でも続いているけれど、終着点はご存じの通りでそこに至るまでには自分自身と折り合いをつけなければいけない。つまり、自分が過去にしてしまったことと――。その象徴が大佐なんだ。だから殺すのも大変というか、殺しにくい相手というか。
SL クオリッチは、ジェイクは自分をだましていると思っているだろうね。
SW (大笑いしながら)そう?
SL ジェイクは自分がどういう人間で、どこに属すべきか分かっていないと。作品のテーマはファミリーだけど、クオリッチからすればジェイクはそのファミリーを裏切った男。ナヴィと家庭を築くまでに、クオリッチの視点から見れば男のファミリー、人間のファミリー、海兵隊のファミリーが犠牲になっている。
―― 興味深い話です。クオリッチだけでなく、直近でいえば「ドント・ブリーズ」シリーズで演じた盲目の男のように、スティーヴンは悪役で高い評価を得ています。演じる際の心構えはあるのでしょうか?
SL 第一に、役割としてはヴィラン(悪役)だろうと、そのキャラ自身は悪役ではないと思っている。誰もが自分の物語の主人公でヒーローなんだ。対外的には明らかにヒーローでなくてもね。
役になりきる上では、どこか共感できるポイントを見つけ、それをとっかかりにする。クオリッチにしても、盲目の男にしても人間性を見つけなくてはならない。他の役だって同じこと。私自身が愛せなければ、薄っぺらい張りぼての悪役になってしまう。観客から愛されずとも、きちんと同じ人間と認識されるキャラにしたい。
―― 今度はサムに。前作との違いとして、キャメロン監督もジェイクが父親となったことに触れています。あなた自身も前作のヒット後に父親になったということで、新作に挑むにあたり前回との違いは感じましたか?
SW 子どもを守りたいという気持ちは父親の本能。一方で大切な人がいるからこそ、同時に恐怖を感じる。これも同様に子どもを持つと自然に生まれる感情で、役に取り入れている。新作でのジェイクは、親として学びの過程にあり、子どもたちの話に耳を傾け、命令するだけでなく子どもたちを尊重し受け入れていく。彼自身も1作目のように無鉄砲ではなくなった。私もジェイクと同じように親として学んでいる最中です。
―― ジェイクは作中、父親として最悪の出来事を経験します。かなりショックな内容でしたが、この撮影に挑むにあたり、心境はどんなものだったのでしょうか。
SW 家族を守り、愛することを通じてストーリーを描いてきた。この旅路の途中でジェイク一家に何が起こったとしても 共演者との関係を構築することが大切だ。私たちの間にしっかりとした関係性が築けていれば、劇中で何が起きてもリアクションは自然に、そして正直に生まれる。先ほどおっしゃったような出来事が起きたときにも、生々しいリアルな感情が出てくるんだ。
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