さらば、そして…… 「ULTRAMAN」FINALシーズン、神山健治×荒牧伸志が紡いだ「ウルトラマン信仰」の行方インタビュー(1/3 ページ)

シリーズを締めることの難しさを「ある意味不可能」と回顧した神山監督。

» 2023年05月13日 14時00分 公開
[西尾泰三ねとらぼ]

 Netflixでアニメ「ULTRAMAN」FINALシーズンの配信が5月11日からスタートしました。

「ULTRAMAN」FINALシーズン デュワッ!

 原作は、『鉄のラインバレル』でも知られる清水栄一さんと下口智裕さんの同名漫画。円谷プロダクション製作の特撮テレビドラマ「ウルトラマン」から時がたった後の世界を舞台に、かつてウルトラマンと同化した早田進の息子・進次郎が強化スーツをまとい、等身大の戦士として戦うストーリーです。

 アニメは、「攻殻機動隊 SAC_2045」も共同監督得を務めた神山健治×荒牧伸志コンビによる特撮感あふれるフル3DCGアニメとして、シーズン1(全12話)が2019年、シーズン2(全6話)が2022年に配信されました。

 原作が続く中、FINALと銘打ったアニメシリーズは、原作に沿いつつ、神山×荒牧両監督によるストーリーが紡がれています。メインPVでエドが語る「ウルトラマン信仰を殺すこと」「厄災となったウルトラマン」などの言葉が象徴するように、骨太のストーリーで、さらには、初代ウルトラマンに連なるストーリーと読むこともできるものとなっています。

アニメ『ULTRAMAN』FINAL -Official Main Trailer-

 これまでも折に触れて神山×荒牧両監督にインタビューしてきたねとらぼですが、FINALシーズンを作り終えた両監督に、あらためて作品を振り返っていただきました。作品を観る前でも観た後でも、新たな発見につながる内容です。

神山健治×荒牧伸志 神山健治×荒牧伸志両監督に聞く「ULTRAMAN」FINALシーズン

レナ推しのFINALシーズン、その理由

佐山レナ

―― 「攻殻機動隊 SAC_2045」でお2人にインタビューさせていただいたとき、プリンについてお聞きしました(関連記事)。神山さんが「作品のテーマを描く上で必要とされたために生まれたキャラ」とお話されていて、そのときは分からなかったのですが、作品を観終えるとふに落ちました。アニメ「ULTRAMAN」FINALシーズンでは、佐山レナ、それとMARIESUITがそのポジションに当たるように思います。ただ、シーズン1のときにはこうなるとは予測していなかったのではないでしょうか?

神山 全く予期していませんでしたし、FINALシーズンに取り掛かろうという絶妙なタイミングで原作にMARIESUITが登場したのを見て「そっちにいったかー」と。レナは進次郎らと違って当事者ではないからこそ、目線も含めていいヒロイン、のつもりで描いていたので。必然的にFINALシーズンに出すことになるとは思いましたが、びっくりはしました。

荒牧 僕もあれはすごく意外で、「そっちに?」って正直思いました。でも、その線でやるからには全力でやろうと、FINALシーズンでは変なてらいもなく全力でレナを推す方向性になりましたね。

 原作の清水さん、下口さんとはいいコミュニケーションが取れていたので、任せていただけた部分も多く、物語の再構成も意外と快く受け入れられました。個人的にはシーズン2から原作と少し離れたと感じる部分もあるのですが、観た方に原作のポイントは押さえていると感じていただけるならありがたいです。

「ULTRAMAN」FINALシーズン

―― 原作は続いていますが、FINALと銘打ったアニメシリーズは何らかの結末に向けてストーリーを再構成されたわけですよね。

神山 はい。これまで、勝手にプロファイルしながらやってきた部分もあったんですが、アニメシリーズを締めるネタとしては、原作でも最初からフリがあった「ウルトラマンは宇宙における厄災」だろうと。ただ、清水さん、下口さんから明確な答えはいただけていなくて、何というか、「エドでいいのか?」みたいな逡巡はありました。

 あとは、進次郎のキャラクター。もしかしたら清水さんや下口さんが抱いている進次郎像と、僕が抱いたそれは違うかもしれない。もっと熱血漢だとおっしゃっていたので。原作1巻でナンパしようと思ってくじける進次郎が描かれているんですが、僕が最初に原作を読んだとき、進次郎のそういうところが面白い部分ではないかと考え、アニメではそれが強調されています。そういう意味では原作とちょっと離れちゃった部分かもしれませんが、僕としては寄り添ったつもりでやりました。

特撮の正しい継承 アニメ「ULTRAMAN」のアクション

―― モーションキャプチャーを使ったフル3DCGは、特にアクションシーンで特撮っぽさを堪能できました。

荒牧 正しい特撮の継承の仕方だという感じはしましたね。

神山 作画のアニメもCGアニメもやった僕が一番感じるのは、作画のアニメで20分通しのアクションは、さまざまな事情でできない。CGは比較的にアクションシーンが得意で、楽ではないですがそれを最大限に生かそうとしました。

「ULTRAMAN」FINALシーズン

―― MARIESUITはどちらかといえば防御特化ですが、アクションシーンをもっと描きたかったですか?

神山 いや、むしろあれこそが描きたかったというか。

荒牧 出オチじゃないですが、変身することが一番おいしいキャラクターだと捉えて描きました。女性の描き方が問われる時代で、もっと何かやれよと思われるかもしれませんが、ドラマの中ではあれが一番はまった。実はすごく強い、みたいなのはないなと思ったので、そこは正しい位置に置いたつもりではあります。MARIESUITに限らず、シチュエーションをどう変えて、どういう戦いを見せようかというのは作り手の妙味です。

神山 セクシーなキャラクターまで出てきたのもそういう理由だと思います(笑)。同じ特撮でも、戦隊やライダーはセクシー路線がまぁまぁあるけど、ウルトラマンではほとんどなかった。そういう意味では、スタッフも実は楽しかったはず。だからこそ、あれだけ面白いシーンになったのだろうと。

バルキュア

荒牧 バルキュア自体は、清水さんのアイデア。すごいなと思います。

 テクニカルな話ですが、フル3DCGでは、新しいキャラや背景を限られたコストの中で量産するのは難しいものです。そうした課題は現在でも根本的には解決されていないのですが、一つの見せ方として、苦手なことはやらない方向に収れんしていきました。

神山 昔の特撮アニメだと、「マジンガーZ」タイプというか、毎回同じ舞台に敵がわざわざやって来ていて、新しいセットはそんなに出てこないんですよね。ウルトラセブンあたりがピークかなと思いますが、特撮をやりながらドラマパートを分厚くしていくのは大変だったと思うんです。

 構造として、CGは特撮と似ている。作画のアニメだと、スーツのウルトラマンを出っぱなしにするのは大変ですが、CGアニメならやれる。そして、一度作ったものは、強度がかなり高い。一方で、1カットしか出てこないけど必要、みたいなものはCGアニメの弱点でもあります。今回、3シーズン作ったことで、どこが得意か、そして、苦手なところは見せる必要がないと見えてきたように感じています。

       1|2|3 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2403/01/news052.jpg スーパーで売れ残っていた半額のカニを水槽に入れてみたら…… 220万再生された涙の結末に「切なくなった」「凄く感動」
  2. /nl/articles/2403/01/news159.jpg 薬剤師は「医者憧れ」「そいつが見たって薬変わらへん」 バラエティー出演芸人の発言に批判殺到 かまいたち濱家らが相次ぎ謝罪
  3. /nl/articles/2308/31/news023.jpg 庭の草刈り中に小さな卵を発見、孵化させてみたら…… 命の誕生の記録に「すごい可愛い!」「すてきな家族」
  4. /nl/articles/2403/02/news015.jpg 生後2カ月赤ちゃん、ミルクを飲むとなぜか“信じられないほどカメラ目線”に かわいすぎる目力に「懐かしい〜」「たまらん!」
  5. /nl/articles/2308/13/news007.jpg 脱皮に失敗したセミを助けたら…… “ありえない姿に大変身”した姿に感嘆の声「驚きました」「貴重な映像」
  6. /nl/articles/2403/02/news025.jpg イケメンを自覚しているインコの登場シーンに「歩き方がww」「10回はリピート」 笑いをこらえきれない姿がSNSで話題
  7. /nl/articles/2403/01/news028.jpg 伝説の魚・タキタロウと出会い“人生が狂った”学生、驚きの現在が117万表示 数奇な運命に「ロマンだ」「釣りキチ三平世代には憧れ」
  8. /nl/articles/2309/27/news019.jpg 最大2キロ超の“高級カニ”が千葉で大発生!? 浜名湖の名産を都会のドブで「開始1分」採取、食す様子に反響
  9. /nl/articles/2403/02/news023.jpg 世界を旅する女性サックス奏者、外国の路上で演奏していたら…… 驚きの超展開が560万再生「音楽に国境はない」「すごい出会いと巡り合わせ」
  10. /nl/articles/2403/02/news008.jpg 赤ちゃんに、パパが本気で「モンスターズ・インク」のサリーのまねをしたら…… “100点満点”の反応が「めっちゃ可愛い」「そっくり!」
先週の総合アクセスTOP10
  1. 小泉進次郎、生後3カ月の長女を抱く姿に「貴重なパパの顔」 2023年末には小泉元首相の“幸せじいじ姿”も話題に
  2. 庭にアジサイがあるなら知っておくべき!? 春になる前に急いでやりたい“大きな花を咲かせる”お手入れ術に反響続々
  3. 生まれたばかりの孫に会いに来た両親、赤ちゃんを見た瞬間号泣し…… 幸せあふれる光景に「一緒に泣いちゃいました」
  4. つんく♂、「僕の大好きな妻」と元モデル妻の貴重ショット公開 「めちゃくちゃお綺麗」と反響
  5. 小泉純一郎元首相、進次郎&滝クリの第2子“孫抱っこ”でデレデレ笑顔 幸せじいじ姿に「顔が優しすぎ」「お孫さんにメロメロ」
  6. 「ずっと手を触って」「強烈な口説きが」 グラドル、元K-1王者のセクハラ行為を“告発”→反論しバトルに 「引っ込んどけよロバは」謎の容姿罵倒で流れ弾も
  7. 2歳娘、帝王切開で入院するママの前では強がっていたが…… 離れてから号泣する姿に「いじらしくて可愛くて朝から泣いた」
  8. 業務スーパーの“高コスパ”人気冷凍商品に「基準値超え添加物」 約1万5000個販売……自主回収を実施
  9. 長女と赤ちゃんの夜のルーティンが「可愛いしか言えん」 愛が強すぎな姉から逃げる姿に「嫌いじゃないのねw」「素敵な姉妹」
  10. 「ほんと愛でしかない」「心から尊敬します」 “6男7女の大家族”うるしやま家のスーパーママ、“15人分のお弁当作り”が神業レベルで称賛の声
先月の総合アクセスTOP10
  1. 釣れたキジハタを1年飼ってみると…… 飼い主も驚きの姿に「もはや、魚じゃない」「もう家族やね」と反響
  2. パーカーをガバッとまくり上げて…… 女性インフルエンサー、台湾でボディーライン晒す 上半身露出で物議 「羞恥心どこに置いてきたん?」
  3. “TikTokはエロの宝庫だ” 女性インフルエンサー、水着姿晒した雑誌表紙に苦言 「なんですか? これ?」
  4. 1歳妹を溺愛する18歳兄、しかし妹のひと言に表情が一変「ちがうなぁ!?」 ママも笑っちゃうオチに「かわいいし天才笑」「何度も見ちゃう」
  5. 8歳兄が0歳赤ちゃんを寝かしつけ→2年後の現在は…… 尊く涙が出そうな光景に「可愛すぎる兄妹」「本当に優しい」
  6. 1人遊びに夢中な0歳赤ちゃん、ママの視線に気付いた瞬間…… 100点満点のリアクションにキュン「かわいすぎて鼻血出そう!」
  7. 67歳マダムの「ユニクロ・緑のヒートテック重ね着術」に「色の合わせ方が神すぎる」と称賛 センス抜群の着こなしが参考になる
  8. “双子モデル”りんか&あんな、成長した姿に驚きの声 近影に「こんなにおっきくなって」「ちょっと見ないうちに」
  9. 犬が同じ場所で2年間、トイレをし続けた結果…… 笑っちゃうほど様変わりした光景が379万表示「そこだけボッ!ってw」
  10. 新幹線で「高級ウイスキー」を注文→“予想外のサイズ”に仰天 「むしろすげえ」「家に飾りたい」