君島憂樹のこれから 「蘭世惠翔としての自分は宝塚で卒業」本名で母・君島十和子の背中から学ぶ日々(1/2 ページ)

「観客として宝塚を楽しむのは、もう少し時間がかかりそうです」

» 2023年08月05日 12時00分 公開
[小西菜穂ねとらぼ]

 人生100年時代といわれる現代、「何歳からでも新しいステージに踏み出すのは遅くない」という考え方が広がっています。著名人も例外ではなく、ある分野で成功を収めた人が転機を経験し、別のフィールドで奮闘する姿は多くの人に勇気を与え、モチベーションやインスピレーションを与えています。

君島憂樹さん 君島憂樹さん

インタビュー連載 「私の人生が動いた瞬間

 君島憂樹さんは2014年に宝塚音楽学校へ入学し、卒業後は蘭世惠翔の名前でデビューし2023年4月末の退団まで月組で活動。約10年の在団期間中、2019年には男役から娘役への転向も経験しました。また、祖父は世界的服飾デザイナーの君島一郎さん(故人)、父は実業家の君島誉幸さん、母は元モデルで美容家の君島十和子さんと“キミジマファミリー”の一員でもあります。

 ねとらぼでは、退団後の新生活開始からおよそ2カ月が経過したタイミングで君島さんにインタビュー。男役のかっこよさと娘役のかれんさを保ちながら、“清く正しく美しく”を体現したような礼儀正しさで全ての質問へ丁寧に答えてくれた君島さん。ベールに包まれた宝塚の世界や、キミジマファミリーの素顔、将来の夢まで広く聞きました。

宝塚退団から2カ月 「社会人2カ月目の気分で学ぶことばかり」

―― まずここまでの新生活を振り返ってみての感想からお聞かせください。

君島憂樹(以下、君島) 退団してあらためて感じることですが、宝塚はある意味ベールに包まれた世界かもしれません。内部のルールや規律がしっかりしていて、結束が固く守られている場所です。そうした世界に約10年近く在籍していたので、外の世界は全てが新鮮で刺激的です。社会人2カ月目の気分で学ぶことばかりです。

―― ファンから見てもとても神秘的な世界という印象があり、イメージを守るため節制することも多かったかと想像します。退団前「まずこれを」と決めて真っ先に取り組んだことはありますか?

君島 在団中はかなわなかったSNS配信はやってみたいと思っていたことの1つです。早速退団翌日から始めました。在団中からあれこれ考えていたので、とても楽しいです。

―― やってみての感想は?

君島 リアルタイムで、投稿したら数秒で反応が返ってくる。今まではお手紙だけのやりとりでしたので、間接的なコミュニケーションだけでした。今はお顔は見えないですが直接コメントをいただけるようになり、見てくださっている皆さまのリアルな存在を感じられるようになりました。コメントに目を通すことがすごくうれしく、新鮮に感じます。反応をいただけてありがたいです。

―― 退団からここまでの2カ月、すでにさまざまな活動に挑戦されてきたかと思います。最も印象深かったお仕事は何ですか?

君島 初めてのテレビ出演で「徹子の部屋」に出させていただいたことです。母が以前2回出させていただいた番組ですが、時を経て20代になった私と一緒に出演させていただけることを非常に喜んでいました。私にとっては初めてのテレビ出演でしたが、国民なら誰もがご存じの有名な番組に出させていただけたことに感謝しています。

―― 生きる伝説のような黒柳徹子さんの印象はいかがでしたか?

君島 本当に伝説みたいな方でした。80代になられた現在もお美しくて、温かく包み込んでくださる感じ。女性として憧れますし、これまでテレビで見ているだけだった“ナマ徹子さん”とお会いできて光栄でした。

「蘭世惠翔としての自分は宝塚で卒業」 君島憂樹としてのこれから

君島憂樹さん

―― あらためて宝塚歌劇団を退団するまでの話をお聞かせください。別のインタビューでは「グレート・ギャツビー」(2022年7月〜10月上演)新人公演で演じた役をきっかけに退団を決めたと拝見しました。

君島 「グレート・ギャツビー」で演じたジョーダン・ベイカーという役は、今でいうキャリアウーマンみたいなすごくかっこいい女性。禁酒法時代の閉ざされた退廃的な世界でも、女性として自分らしい生き方を貫く役柄で、宝塚という世界から抜けて現代社会で生きていくには「こういう生き方ってすごくすてきだな」と感じ、退団を決意するに至りました。

 役の影響もあり、最終的に決めたのは自分自身ですが、その背中を押してくれたのは家族です。背中を押してくれる家族がいる、そういう環境にあったので決められました。

―― 特定の活動がやりたいから退団を決めたわけではないんですよね?

君島 そうですね。芸能活動がしてみたいなという思いもあったんです。それ以上に宝塚の世界を経験したからこそチャレンジできることがあるんじゃないかという気持ちが大きいです。すばらしい歴史がある宝塚歌劇団。でもそこにはない可能性を自分で探してみたいです。

―― ここまではモデルやタレントとしての起用が多く、またお母様の十和子さんとご一緒のお仕事が多い印象です。いずれ1人でお仕事をするとき、何がしたいか考えていますか?

君島 今おっしゃったみたいに、美容やファッションに興味があるので、いただけるならモデルさんのお仕事や、お芝居も大好きなので女優さんのお仕事にも挑戦してみたいです。ゆくゆくは「こういうものがあったら」という自分の考えや思いを形にできる仕事にも関われたらと思っています。

―― 宝塚のOGですとミュージカルに出ている方が多いですよね。出てみたい作品、演じてみたい役はありますか?

君島 いただけるものは何でも挑戦してみたいです。もちろん外の舞台は男性もいらっしゃるので、それだけでも宝塚とは全然違うと思います。宝塚では演じなかったような役もやってみたいですね。

―― では共演してみたい方とかも特に?

君島 今はもうお仕事でご一緒させていただく皆さん、本当にお一人お一人から「あっ! こういう方なんだ」と発見して尊敬することばっかり。機会があればどなたでもご一緒させていただきたいです。

君島憂樹さん

―― 宝塚時代は蘭世惠翔の芸名で活動、退団後は本名の君島憂樹としてスタートを切りました。どちらもすてきなお名前ですが、名前をあらためた理由は?

君島 宝塚を辞めると決めて、一番に思い付いたのが「本名に戻そう」ということでした。芸名で活動しようとは全く考えていなかったです。蘭世惠翔としての自分は宝塚で卒業。直感的ではあるんですけども、自分の区切りとしても、ステップアップの意味でも本名に戻そうと決めていました。

―― 例えば今後舞台に出るとか俳優活動をするときも、蘭世さんのお名前でとは考えていない?

君島 ないですね。これからは本名で活動していく、そこはぶれていません。何かがしたいとかよりも本名で行こうって一番に決めたので、全く迷いはないです。

―― これから芸名に代わって本名が知られていくにあたって、こういうイメージを抱いてほしいと願いはありますか?

君島 それについてはあまり考えたことがないんですけど、どうでしょうね……。宝塚出身ではあるので、その名に恥じない自分でありたいと思っています。宝塚時代から父や母には「やっぱり品格は大事だから」と言われていたので、品格は保っていたいと強く思いますね。

―― 清く正しく美しく?

君島 もちろんです!

―― お名前の漢字がすてきですが、ご自身ではどう捉えていらっしゃいますか?

君島 私の名前は家族で相談して決めたと聞いています。憂の字は名前で使うことが少ない字ですけど、「先を見通す」、樹木の樹には「自分らしく」という意味があり、憂樹という名前には“先を見通して自分の道を歩んでいけるように”と意味が込められています。画数がかなり多いんですけども(笑)、両親のそんな思いが込められていると知ってからは大切にしたいと思っています。

君島憂樹さん 表情豊かにたくさん語ってくれました
君島憂樹さん君島憂樹さん
       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2411/19/news150.jpg 「情報を漏らされ振り回され……」とモデラー“限界声明” Vtuberのモデル使用権を剥奪 「もう支えられない」「全サポート終了」
  2. /nl/articles/2411/20/news028.jpg 「うどん屋としてあるまじきミス」→臨時休業 まさかの“残念すぎる理由”に19万いいね 「今日だけパン屋さんになりませんか」
  3. /nl/articles/2411/20/news224.jpg “ドームでライブ中”に「76万円の指輪紛失」→2日後まさかの展開に “持ち主”三代目JSBメンバー「誰なのか探しています」
  4. /nl/articles/2411/19/news169.jpg 高畑充希と結婚の岡田将生、インスタ投稿めぐり“思わぬ議論”に 「わたしも思ってた」「普通に考えて……」
  5. /nl/articles/2411/20/news031.jpg 「本当に同じ人!?」 幼少期からイボをいじられていた男性→美容師の“お任せカット”が衝撃 「めちゃくちゃ大変身」
  6. /nl/articles/2411/19/news022.jpg 「おててだったのかぁああああ」「同じ解釈の人いた笑笑」 ピカチュウの顔が“こう見えた”再現イラストに共感続々、464万表示
  7. /nl/articles/2411/20/news042.jpg 「腹筋崩壊」 ハスキーをシャンプー&パックしたら…… “予想外のハプニング”に「こ〜れは大変だわ」「沼にでも落ちたのかとwww」
  8. /nl/articles/2411/20/news216.jpg “歌姫”ののちゃん、6歳現在の姿に驚きの声「あれっ!?」「ビックリしてます!」 2歳で「童謡こどもの歌コンクール」銀賞受賞
  9. /nl/articles/2411/20/news041.jpg 黄ばみのある68年前のウエディングドレスを修復すると…… 生まれ変わった姿に「泣いた」「受け継ぐ価値のあるドレス」
  10. /nl/articles/2411/18/news107.jpg 走行中の車から同じ速さで後方へ飛び降りると? 体を張った実験に反響「問題文が現実世界で実行」【海外】
先週の総合アクセスTOP10
  1. 「飼いきれなくなったからタダで持ってきなよ」と言われ飼育放棄された超大型犬を保護→ 1年後の今は…… 飼い主に聞いた
  2. ドクダミを手で抜かず、ハサミで切ると…… 目からウロコの検証結果が435万再生「凄い事が起こった」「逆効果だったとは」
  3. 「明らかに……」 大谷翔平の妻・真美子さんの“手腕”を米メディアが称賛 「大谷は野球に専念すべき」
  4. まるで星空……!! ダイソーの糸を組み合わせ、ひたすら編む→完成したウットリするほど美しい模様に「キュンキュンきます」「夜雪にも見える」
  5. 妻が“13歳下&身長137センチ”で「警察から職質」 年齢差&身長差がすごい夫婦、苦悩を明かす
  6. 人生初の彼女は58歳で「両親より年上」 “33歳差カップル”が強烈なインパクトで話題 “古風を極めた”新居も公開
  7. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  8. 互いの「素顔を知ったのは交際1ケ月後」 “聖飢魔IIの熱狂的ファン夫婦”の妻の悩み→「総額396万円分の……」
  9. ユニクロが教える“これからの季節に持っておきたい”1枚に「これ、3枚色違いで買いました!」「今年も色違い買い足します!」と反響
  10. 中央道から「宇宙戦艦ヤマト」が見える! 驚きの写真がSNSで注目集める 「結構でかい」「どう見てもヤマト」 撮影者の心境を聞いた
先月の総合アクセスTOP10
  1. 50年前に撮った祖母の写真を、孫の写真と並べてみたら…… 面影が重なる美ぼうが「やばい」と640万再生 大バズリした投稿者に話を聞いた
  2. 「食中毒出すつもりか」 人気ラーメン店の代表が“スシローコラボ”に激怒 “チャーシュー生焼け疑惑”で苦言 運営元に話を聞いた
  3. フォロワー20万人超の32歳インフルエンサー、逝去数日前に配信番組“急きょ終了” 共演者は「今何も話せないという状態」「苦しい」
  4. 「顔が違う??」 伊藤英明、見た目が激変した近影に「どうした眉毛」「誰かとおもた…眉毛って大事」とネット仰天
  5. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  6. 星型に切った冷えピタを水に漬けたら…… 思ったのと違う“なにこれな物体”に「最初っから最後まで思い通りにならない満足感」「全部グダグダ」
  7. 「泣いても泣いても涙が」 北斗晶、“家族の死”を報告 「別れの日がこんなに急に来るなんて」
  8. ジャングルと化した廃墟を、14日間ひたすら草刈りした結果…… 現した“本当の姿”に「すごすぎてビックリ」「素晴らしい」
  9. 母親は俳優で「朝ドラのヒロイン」 “24歳の息子”がアイドルとして活躍中 「強い遺伝子を受け継いだ……」と注目集める
  10. 「幻の個体」と言われ、1匹1万円で購入した観賞魚が半年後…… 笑っちゃうほどの変化に反響→現在どうなったか飼い主に聞いた