手術後の飼い主を心配して寄り添うワンコ、自身も病気とトラウマを抱え…… 必死で生きる犬を支える飼い主に話を聞いた(2/2 ページ)
――― まるこちゃんと同じように“犬や人間が苦手な犬”=イエロードッグの存在を知ったきっかけ、ボランティア活動を始めたきっかけを教えてください
まるこが散歩中に倒れたこと、犬が苦手で回避したのに接近があったことをインスタに書いたところ、コメントで愛犬家の方から「イエロードッグプロジェクト」について教えていただきました。
まるこは排せつ完全外派の中型犬で健康維持のために1日2回それぞれ1時間ほどのお散歩が必要な犬でした。その為ずっと逃げ続ける散歩をしていました。お相手も嫌な思いをしているのではないか? と気掛かりで、申し訳ない思いでいっぱいでした。なので、先に「接近NGな犬」であることをお伝えできるこのプロジェクトは希望となりました。
倒れるようになったころ、2021年の2月以降、SNSを通じてイエロードッグプロジェクトを知ってもらうべく発信する活動を1人で開始しました。たくさんの方が情報拡散にご協力くださいました。メディアで記事にもしていただきました。ですが現状は変わらず、犬を回避するため早朝4時の散歩をしていました。そんな早朝でも、まるこの排せつ中に背後からの急接近があり発作を起こし倒れたとき、もう私も心身ともに限界にいました。
そんな中、SNSでたくさんの人が応援してくださって勇気をもらいました。また、まること同じようにお散歩がかなわず早朝や深夜にお散歩している犬と飼い主さんがたくさんいることを知りました。なんとかしたい、そして、地域で広まっていなければ意味を成さないことを痛感していましたので、みんなの町で広めるためのボランティア団体を立ち上げました。
――― イエロードッグを周知するボランティア活動について、具体的な活動内容を教えてください
まずはサクセスモデルを作るため、埼玉県に私の在住地域含め2カ所の強化地域を設けました。町で広めるということは老若男女問わず、子どもから高齢の方までお伝えしなくてはなりません。高齢の方にも分かりやすいチラシをデザインし、子ども用のチラシも制作しました。強化地域で、チラシ掲示とチラシ設置を行っていきました。同時にSNSでも発信。ドッグイベントに出店し啓蒙活動も行いました。また、ラジオにも多数出演させて頂き、イエロードッグたちへの理解が深まるようお伝えしていきました。
――― 2021年に活動を始めたとのことですが、現在手応えは感じておられますか
団体を立ち上げて啓蒙活動を始め約3カ月ほどで成果が出始めました。まるこの地域でも半年後には安心してお散歩できるようになりました。高齢の愛犬家の方が立ち止まって「どうぞ」と道を譲ってくださったり、ウオーキングしている高齢の方が遠くから「黄色いリボンの子だね」とあたたかく見守ってくださったり……泣きそうなくらいうれしかったです。別の地域でもイエロードッグの飼い主さんから活動に感謝され、「犬を近づけないでもらえた!」と喜んでいただけました。
――― 今後の活動の方針や展望があれば教えてください
犬の世界にはヘルプマークやシルバーシートのようなものがありません。共通認識のサインがないということはウインカーのない車社会のようなものです。イエロードッグの飼い主たちは、ウインカーのない車社会で高速道路にのるようなお散歩を続けています。お相手にも、こちらにも悪意がないのにぶつかってしまうのです。
黄色いリボンをサインとすれば、遠くからでも判断してもらうことができます(まるこの地域では50メートルほど離れた場所でも気付いていただけています。感謝です)。実際に広まった町ではあたたかいエピソードがたくさんあります。“ハッピーサインで目に見えないあたたかなつながりをもたらしていくイエロードッグプロジェクト”この成功例を全国に広げていきたいです。
町での周知活動、成功した方法をレポートにまとめて必要な方は無料ダウンロードできるようにしています。また、大阪支部を発足し、東の拠点を埼玉県、西の拠点を大阪府とし、全国に広めていきたいと思っております。
チラシは全て無料でダウンロードできます。リボンやメッセージバッジもチャリティー販売しております。公式リボンは半年から1年のお散歩モニターを経てイエロードッグだと気付いてもらえたものを公式リボンとしています。まだまだ全国的には知られていないプロジェクトですので、「近づかないでね」または「さわらないでね」とメッセージが書かれたバッジやバッグなどもチャリティー販売しております。
――― 最後に読者にメッセージをお願いします
まるこや、私どもの活動、また、頑張っているイエロードッグたちに心を寄せて頂きありがとうございます。イエロードッグたちは、病気の子、トラウマを抱える子、先天性の子、犬にかまれるなどの事故で犬が苦手になってしまったり、人に突然触られることで人が苦手になってしまったりと事情はさまざまです。
活動をしていると、自分の町でイエロードッグを見たことがないとのお声を頂戴します。ですが、いないのではなくてまだ広まっていないために、この黄色いリボンのサインが必要な方に情報が届いていないのが現状です。あなたの町にも人知れず、早朝や深夜にお散歩をして、追い込まれている犬と飼い主さんがいるかもしれません。愛犬家同士がともに豊かなドッグライフを過ごしていくための、また、町で犬と人がハッピーにつながっていくためのイエロードッグプロジェクトです。
犬たちにとってのお散歩は、ただ楽しいものではありません。健康維持のため、そして飼い主とのパートナーシップを構築するために必須なのです。イエロードッグの飼い主である私自身も、逃げているときはお相手に申し訳ない気持ちでいっぱいでしたし、嫌な顔をされることもあり、とても孤独でした。社会から取り残されているように感じました。どうかそのように取り残される犬と飼い主さんがいませんようにと思っています。
なんとか、皆さんと笑顔でつながりたい。黄色いリボンはお相手に感謝の思いを込めてつけています。きっと判断するのに不安な気持ちもあると思います。せめてもの思いで、お相手に分かりやすいよう大きな目立つリボンと「近づかないでね」のメッセージグッズを使用しています。
見守ってくれてありがとう、立ち止まってくれてありがとう、道を譲ってくれてありがとう……みんなからもらった大切なお散歩という時間。本当に感謝です。この笑顔の輪を全国に、どんな犬も受け入れられる社会になりますように。みなさまのお力添え心から感謝いたします。引き続き応援のほどよろしくお願いいたします。
(了)
染川さんはInstagram(@maruco4649)でまるこちゃんの様子を伝えるほか、さまざまなSNSで「みんなのイエロードッグプロジェクト【公式】」の情報を発信しています。
みんなのイエロードッグプロジェクト【公式】
イエロードッグのまるこちゃんの飼い主である染川美智子さんが2021年に発足したボランティア団体
埼玉、大阪に支部を持ち全国にイエロードッグの啓もう活動やチャリティーグッズの販売を行っている
公式Webサイト
X(Twitter/@sugitoyellowdog)
Instagram(@sugitomachi)
各種リンクツリー
画像提供/取材協力:まるこ イエロードッグ(@maruco4649)さん
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