「ギャンブル依存症」の現実や対処法を描く漫画に注目 借金をし親にはウソを、そして盗みにまで手を染めて(2/5 ページ)
ギャンブル依存症に周囲の人間はどう向き合えばいいのか
―― あらためて、この漫画の趣旨を教えてください
三森 この漫画は、厚労省の依存症対策推進室における、2018年度の依存症啓発事業の一環として制作されました。依存症の自助グループや病院を回り、取材させていただいたうえで執筆しています。
―― ギャンブル依存症はどの時点で疑うべきと考えていますか?
三森 どの依存症もそうですが、損失がひどくなったときですね。ギャンブルに関しては、遊びじゃなくて生活費を稼ぐ発想になったら、依存症の可能性が高いと思います。あと、借金のことが頭から離れない、なのにまたギャンブルを繰り返してしまうとか。
あとは、楽しいと思えなくなったとき。最初は楽しく趣味としてやっていたのに、だんだんストレス発散のため、生活費を稼ぐため、孤独感やイライラを消すため……となると、依存しやすくなります。
―― 作中の武田先輩が親に借金を肩代わりしてもらったくだりで、「やってはいけない対応」とありました。では、周囲の人間はどのように対応するべきなのでしょう
三森 本人に病気の可能性を知らせること、入院や自助グループをすすめること、入院費を出すこと、回復できることを伝えることでしょうか。とにかく借金を肩代わりするとかお金を貸すとかは、本人が自分の心の問題に気付けず、依存行為を繰り返してしまいます。
依存症は、そもそも依存行為をする前から問題が始まっていて、なぜその行為に自分が手を出してしまうのか? そこまでして打ち消したい苦痛は何なのか? ――そこに向き合って自分を変えないと、問題は解決しないケースが多いように感じます。また、責めたりバッシングすればするほど、本人がストレスを溜め込んでまた依存行為に走ったり、最悪自殺する可能性は十分あります。
―― 最後に、この漫画をどんな人に読んでほしいですか?
三森 依存症を「甘え」だと思ってる人や、依存症を知らない人ですかね。特にネットの声はかなり強烈で、根深いものだと感じています。多くの人が無知ゆえに依存症の人を責め立てていて、それ自体が本人の治療の邪魔をしているからです。本人は十分自分を責めています。
専門書を読まずとも、漫画なら読めるかたも多いです。多くの人に依存症について知っていただいて、回復を応援できる社会になってほしいなと考えています。
協力・作品提供:三森みさ(@mimorimisa)さん
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