闇より暗い? 「世界一黒い塗料」で作ったパラパラ漫画がエモすぎ 「紙が呼吸をしているよう」「芸術の域を超えてる」と感動呼ぶ(1/3 ページ)

きれいで怖くて神秘的。

» 2024年07月21日 18時45分 公開
[城川まちねねとらぼ]

 “世界一黒い塗料”を使ってパラパラ漫画を作る動画がYouTubeに投稿されました。

 この動画が投稿されたのは米アニメーション会社ライカに勤務するアンディ・ベイリーさんのYouTubeチャンネル「Andymation」(@andymation)。このチャンネルでアンディさんはパラパラ漫画のほか、短編映画やストップモーション映画なども公開しています。

世界一黒い塗料で世界一黒い紙を

 今回使用するのは、世界で最も暗い塗料の1つと言われている、光陽オリエントジャパンの水性アクリル塗料「真・黒色無双」。「より光を吸収し、反射を抑える」ためにとても暗くなり、アンディさんは以前この塗料で描かれた絵をみて「まるでシルエットのよう」と思ったとのこと。光を100%吸収するのはこの世でブラックホールのみと言われますが、「真・黒色無双」は可視光を99.4%吸収するのだそうです。

 パラパラ漫画は、全部で210ページになる予定。まず、屋外に置いた作業台に210枚の白いカードを並べていき、そこへ黒のプライマーをスプレーしました。

YouTubeチャンネル「Andymation」 まずは屋外でプライマーを塗布することからスタート(画像はYouTubeチャンネル「Andymation」から)

 しかし後日戻ってくると、何と雨が降っていてカードがびしょぬれに。そこで屋内へ作業の場を移し、別のやり方を試すことにしました。ただアンディさんは、室内で塗装スプレーを使うのは「よほど良い塗装用部屋とマスクと換気がなければおすすめしない」と助言を加えています。

 そして210枚のカード全てにプライマーをスプレーし、乾燥させてから、エアブラシで「真・黒色無双」を塗布。もう一度乾かし、「真・黒色無双」を2度塗りすれば出来上がり。室内で1枚1枚塗っていくのはとても時間がかかったそうです。

YouTubeチャンネル「Andymation」 エアブラシで2度塗り(画像はYouTubeチャンネル「Andymation」から)

ついに完成した“黒の中の黒”カード 描かれる物語は?

 こうして真っ黒なカードが出来上がりましたが、さてここにどんなパラパラ漫画を描こうかと考えるアンディさん。「暗闇を怖がる気持ち」について考えるうち、幼いころに初めてパニック発作を起こしたときのことを思い出しました。

 それが起こったのは、叔母の家で初めて「シナモントースト」を食べさせてもらいおいしさに感動したあと、夜に母親と車で帰宅していたときのこと。後部座席で満天の星空を見上げていたときにパニックが起こったとアンディさんは回想しました。

YouTubeチャンネル「Andymation」 パニックを起こす表情は「ムンクの叫び」をイメージ(画像はYouTubeチャンネル「Andymation」から)

 そのときのことを思い出しながら制作し、ついに完成したパラパラ漫画。漆黒のような黒い紙に、白の色鉛筆でアニメーションが描かれています。

 内容は、まず満点の星空の下に立っていた男の子が突如として不安に駆られ、エドヴァルド・ムンクの「叫び」のような表情に。そして雨に降られ、うずくまり、もうだめかと思われたとき、ふいに現れた「天使」が男の子を繭のように包み込み守る、というもの。不安に駆られ救われる、人間の繊細な心の動きが210ぺージで表現されています。

YouTubeチャンネル「Andymation」 天使によって守られる男の子(画像はYouTubeチャンネル「Andymation」から)

 この動画には、「すごくエモいパラパラ漫画」「泣いちゃった」と素直に感動を伝える人や、「芸術の域を超えている。人間の感情を完璧に描いている」「この“黒の中の黒”はとても美しいけど、恐ろしくもあるよね」「白の色鉛筆がついに最良の使い道を得たんだ」「紙が呼吸をしているよう」などと、作品に心を揺さぶられた人からのコメントが多数書き込まれました。

 また「世界一黒い塗料で黒い紙を作る」と「パラパラ漫画のストーリーと絵」の、どちらのアイデアにも感嘆する人が多く、「動画のコンセプトがすばらしい」と絶賛する声も寄せられています。

       1|2|3 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2409/05/news039.jpg “電車でのご視聴にご注意を” 散歩前は超元気な柴犬→散歩後の激変が720万再生「5年くらい休まず散歩して来たんか?w」
  2. /nl/articles/2409/04/news154.jpg 辻希美、2年放置の“広すぎた屋上”を4人がかりで快適化 大量の家具設置もまだまだスカスカで「東京でこの広さは豪邸」
  3. /nl/articles/2409/04/news022.jpg 「天才!」 人気料理研究家による“目玉焼きの作り方”が目からウロコ 今すぐ試したいライフハックに「初めて知りました!」
  4. /nl/articles/2409/04/news053.jpg 流れが悪い台所の排水管を、プロが高圧洗浄したら…… 姿を現した引くほどデカい“40年モノの油塊”に「まるで化石」「物凄い大きさとか量でびっくり」
  5. /nl/articles/2409/03/news146.jpg 「カリオストロの城」冒頭の名場面 ニセ札でパンパンになった「ルパンの愛車」徹底再現が人気 「見るだけでBGMが脳内再生」
  6. /nl/articles/2409/01/news016.jpg 妻との口ゲンカに負けた夫、“仕返し弁当”を作るはずが…… ツッコミ待ったなしの結末へ「ホントに草」「愛妻弁当にしか見えないんだよなw」
  7. /nl/articles/2409/05/news024.jpg 「黒留袖解体してワンピース作った」 結婚式でも使えそうな“大胆リメイク”に5万いいね 「めっちゃオシャレ」「売ってたら欲しい」
  8. /nl/articles/2409/03/news044.jpg 帰省した次男に、なぜか猫が毎回説教し始めて…… 580万再生のコントのようなオチに爆笑「めちゃくちゃ喋ってる!笑」「何このやりとりw」
  9. /nl/articles/2409/05/news017.jpg スーパーで買ったサツマイモを、湯呑みに植えて育てたら…… ド肝を抜く“盆栽”の完成形に「かっこいい!!」「自由すぎる…」
  10. /nl/articles/2409/02/news024.jpg 「しまむら」に行った58歳父→買ってきたTシャツが“まさかのデザイン”で3万いいね! 「同じ年だから気持ちわかる」「欲しい!」
先週の総合アクセスTOP10
  1. 「しまむら」に行った58歳父→買ってきたTシャツが“まさかのデザイン”で3万いいね! 「同じ年だから気持ちわかる」「欲しい!」
  2. 「地獄絵図」「えぐすぎやろ……」 静岡・焼津市の地下歩道が冠水 “信じられない光景”にネットあぜん
  3. 「なんで欲しいと思ったんですか?」 酔った勢いで購入 → 後日届いた“まさかの商品”に反響 「理性あったら買わないw」
  4. 友人にメダカと睡蓮をあげる→3年後に見に行くと…… 想像を超える“楽園”に「こんなに……!?」「めちゃくちゃ綺麗」
  5. 犬が同じ場所で2年間、トイレをし続けた結果…… 笑っちゃうほどの変貌が379万表示「そこだけボッ!ってw」 半年後の現在について聞いた
  6. 「24時間テレビ」ラストスパートでのやす子へのわいせつ行為に非難 「胸触りにいってる」「気持ちが悪い」
  7. 「これ600円なの?」 大谷翔平が長く愛用しているデコピンの“おやつ入れ”、始球式で注目「おそろだった」「真美子さんが選んだのかな」
  8. 明石家さんま、69歳バースデー迎え長男から幸せ呼ぶ“輝かしいプレゼント” 同席した元妻・大竹しのぶは「最高の笑顔でした」
  9. 300円で購入した格安熱帯魚を、1年じっくり育てたら……宝石に化けた「価格に見合わない」激変に「ダイヤ感出て綺麗」「ラメがすごい」
  10. 「米国人には想定できない」 テスラが認識できない日本の“あるもの”が盲点だった 「そのうちアップデートでしれっと認識しそう」
先月の総合アクセスTOP10
  1. 釣れたキジハタを1年飼ったら……飼い主も驚きの姿に「もはや魚じゃない」「もう家族やね」 半年後の現在について飼い主に聞いた
  2. 「もうこんな状態」 パリ五輪スケボーのメダリストが「現在のメダル」公開→たった1週間での“劣化”に衝撃
  3. 「コミケで出会った“金髪で毛先が水色”の子は誰?」→ネット民の集合知でスピード解決! 「優しい世界w」「オタクネットワークつよい」
  4. 庭で見つけた“変なイモムシ”を8カ月育てたら…… とんでもない生物の誕生に「神秘的」「思った以上に可愛い」
  5. 「米国人には想定できない」 テスラが認識できない日本の“あるもの”が盲点だった 「そのうちアップデートでしれっと認識しそう」
  6. ヒマワリの絵に隠れている「ねこ」はどこだ? 見つかると気持ちいい“隠し絵クイズ”に挑戦しよう
  7. 「昔はたくさんの女性の誘いを断った」と話す父、半信半疑の娘だったが…… 当時の姿に驚きの770万いいね「タイムマシンで彼に会いに行く」【海外】
  8. 鯉の池で大量発生した水草を除去していたら…… 出くわした“神々しい生物”の姿に「関東圏では高額」「なんて大変な…」
  9. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  10. 「なんでこんなに似てるの」 2つのJR駅を比較→“想像以上の激似”に「駅名だけ入れ替えても気づかなそう」