“夢の国”はこうしてできたのか! 「舞浜駅」周辺の約70年間を“年代別”に航空写真で比較→「ディズニーリゾート」が出来上がっていく様子が壮観(1/3 ページ)
ディズニーシーは本当に“シー”だった。
国土地理院のWebサイト「地理院地図」では、ある場所の上空からの景色を年代別に見ることができます。今回は、東京ディズニーランドが位置する「舞浜」の航空写真を、1945年ごろから2019年までの約74年間、年代別で比べてみました。
1945〜1950年
現在の東京ディズニーリゾートの一帯は、もともと江戸川河口の干潟でした。戦前までは漁港として栄え、すぐ近くの大都市・江戸/東京に新鮮な魚介類をもたらしていました。
現在の地図と1945〜1950年の航空写真を重ねてみると、もとからあった干潟の面積は現在の東京ディズニーリゾートの大きさに遠く及びません。特に地図の南端付近、後のディズニーシーにあたるエリアは、ディズニーというよりシンプルにシー。
1974〜1978年
1960年代になると、現在の舞浜地区を含めた埋め立て工事が始まりました。こうしてできた土地に「舞浜」という名がついたのは、1975年のこと。この地名について、かつてはアメリカのマイアミビーチにちなんで命名されたという説がありましたが、現在では1975年の町議会の内容をもとに、「浦安の舞」(神社などでみられる舞の一種。1940年につくられた)に拠るとされています。
1974〜1978年の航空写真では、まだ整えられた埋立地とわずかな倉庫群が見えるばかりです。埋立地の西側には旧江戸川、東側は新たに造られた人工河川・見明川(みあけがわ)が流れています。
1979〜1983年
1979年〜1983年の航空写真で目を引くのは、なんといっても首都高速道路です。東京・千葉を舞浜経由でつないでおり、のちの発展が想像されます。また、舞浜の横には新たな埋立地が増えました。これは、現在物流街となっている浦安市千鳥地区です。ちなみに、この時点では“ディズニーランド”の位置はまだ更地となっています。
1984〜1986年
1984〜1986年の航空写真では、ついにディズニーランドが登場。なお、東京ディズニーランドの開業は1983年4月です。もう開業から40年以上たっているんだなあ。
さらに拡大すると、現在もおなじみのワールドバザールやシンデレラ城、スペース・マウンテンなどが見えます。また、白く目立つ道路状のものは、2017年にサービスを終了したグランドサーキット・レースウェイです。園の周囲には広大な駐車場も見受けられ、まさにこれから発展していくところ、といった風情です。
1987〜1990年
それからほんの数年後の光景ですが、1987〜1990年の航空写真では少しずつ建物が増えている様子が確認できます。
2009年
一気に20年ほど進み、2009年の航空写真では、2001年に開業したディズニーシーももうすっかり充実。一気に現在に近づいた!
2019年
2019年の舞浜は、よく見ると2024年6月に開業したディズニーシーの新エリア「ファンタジースプリングス」にあたる地域が工事中であることが分かります。
干潟が巨大なテーマパークへ。舞浜の航空写真の変遷は、まさに“夢の国”の建国史のようでした。
参考文献
- 地理院地図(電子国土Web)
- 千葉県教育委員会「12.浦安の干潟とディズニーランド」
- 浦安市「地域名の由来」
- 浦安市「沿革と市域の変遷」
- 浦安市「浦安の舞」
- 東京ディズニーリゾート「開園当時のマップをご紹介」
- 東京ディズニーリゾート「『グランドサーキット・レースウェイ』が約3年間の歴史に幕を閉じます。」
- 東京ディズニーリゾート「『東京ディズニーシー大規模拡張プロジェクト』基本計画の合意およびディズニー社とのライセンス契約の延長について」
文:近藤仁美(こんどう・ひとみ)
クイズ作家。国際クイズ連盟日本支部長。これまでに、『高校生クイズ』『クイズ!あなたは小学5年生より賢いの?』等のテレビ番組の他、各種メディア・イベントなどに問題を提供する。2023年、「Trivia Hall of Fame(トリビアの殿堂)」殿堂入り。著書に『人に話したくなるほど面白い! 教養になる超雑学』(永岡書店)など。
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