“夢の国”はこうしてできたのか! 「舞浜駅」周辺の約70年間を“年代別”に航空写真で比較→「ディズニーリゾート」が出来上がっていく様子が壮観(1/3 ページ)

ディズニーシーは本当に“シー”だった。

» 2024年08月25日 07時30分 公開
[近藤仁美ねとらぼ]

 国土地理院のWebサイト「地理院地図」では、ある場所の上空からの景色を年代別に見ることができます。今回は、東京ディズニーランドが位置する「舞浜」の航空写真を、1945年ごろから2019年までの約74年間、年代別で比べてみました。

現在の舞浜の地図 現在の舞浜。画像中央付近の、東京ディズニーリゾートがあるエリアの変遷を見ていきます※出典:地理院地図(電子国土Web)、編集部で一部切り取り

1945〜1950年 

1945〜1950年の舞浜の写真 1945〜1950年の舞浜の写真 ※出典:地理院地図(電子国土Web)、編集部で一部切り取り

 現在の東京ディズニーリゾートの一帯は、もともと江戸川河口の干潟でした。戦前までは漁港として栄え、すぐ近くの大都市・江戸/東京に新鮮な魚介類をもたらしていました。

1945〜1950年の舞浜の写真と現在の地図を重ねたもの 1945〜1950年の舞浜の写真と現在の地図を重ねたもの ※出典:地理院地図(電子国土Web)、加工は編集部によるもの

 現在の地図と1945〜1950年の航空写真を重ねてみると、もとからあった干潟の面積は現在の東京ディズニーリゾートの大きさに遠く及びません。特に地図の南端付近、後のディズニーシーにあたるエリアは、ディズニーというよりシンプルにシー。

1974〜1978年

1974〜1978年の舞浜の写真 1974〜1978年の舞浜の写真 ※出典:地理院地図(電子国土Web)、編集部で一部切り取り

 1960年代になると、現在の舞浜地区を含めた埋め立て工事が始まりました。こうしてできた土地に「舞浜」という名がついたのは、1975年のこと。この地名について、かつてはアメリカのマイアミビーチにちなんで命名されたという説がありましたが、現在では1975年の町議会の内容をもとに、「浦安の舞」(神社などでみられる舞の一種。1940年につくられた)に拠るとされています。

 1974〜1978年の航空写真では、まだ整えられた埋立地とわずかな倉庫群が見えるばかりです。埋立地の西側には旧江戸川、東側は新たに造られた人工河川・見明川(みあけがわ)が流れています。

1979〜1983年

1979〜1983年の舞浜の写真 1979〜1983年の舞浜の写真 ※出典:地理院地図(電子国土Web)、編集部で一部切り取り

 1979年〜1983年の航空写真で目を引くのは、なんといっても首都高速道路です。東京・千葉を舞浜経由でつないでおり、のちの発展が想像されます。また、舞浜の横には新たな埋立地が増えました。これは、現在物流街となっている浦安市千鳥地区です。ちなみに、この時点では“ディズニーランド”の位置はまだ更地となっています。

1984〜1986年

1984〜1986年の舞浜の写真 1984〜1986年の舞浜の写真 ※出典:地理院地図(電子国土Web)、編集部で一部切り取り

 1984〜1986年の航空写真では、ついにディズニーランドが登場。なお、東京ディズニーランドの開業は1983年4月です。もう開業から40年以上たっているんだなあ。

1984〜1986年の舞浜の写真の拡大図 1984〜1986年の舞浜の写真の拡大図※出典:地理院地図(電子国土Web)、編集部で一部切り取り

 さらに拡大すると、現在もおなじみのワールドバザールやシンデレラ城、スペース・マウンテンなどが見えます。また、白く目立つ道路状のものは、2017年にサービスを終了したグランドサーキット・レースウェイです。園の周囲には広大な駐車場も見受けられ、まさにこれから発展していくところ、といった風情です。

1987〜1990年

1987〜1990年の舞浜の写真 1987〜1990年の舞浜の写真 ※出典:地理院地図(電子国土Web)、編集部で一部切り取り

 それからほんの数年後の光景ですが、1987〜1990年の航空写真では少しずつ建物が増えている様子が確認できます。

2009年

2009年の舞浜の写真 2009年の舞浜の写真 ※出典:地理院地図(電子国土Web)、編集部で一部切り取り

 一気に20年ほど進み、2009年の航空写真では、2001年に開業したディズニーシーももうすっかり充実。一気に現在に近づいた!

2019年

2019年の舞浜の写真 2019年の舞浜の写の図真 ※出典:地理院地図(電子国土Web)、編集部で一部切り取り

 2019年の舞浜は、よく見ると2024年6月に開業したディズニーシーの新エリア「ファンタジースプリングス」にあたる地域が工事中であることが分かります。

 干潟が巨大なテーマパークへ。舞浜の航空写真の変遷は、まさに“夢の国”の建国史のようでした。

参考文献

文:近藤仁美(こんどう・ひとみ)

クイズ作家。国際クイズ連盟日本支部長。これまでに、『高校生クイズ』『クイズ!あなたは小学5年生より賢いの?』等のテレビ番組の他、各種メディア・イベントなどに問題を提供する。2023年、「Trivia Hall of Fame(トリビアの殿堂)」殿堂入り。著書に『人に話したくなるほど面白い! 教養になる超雑学』(永岡書店)など。

       1|2|3 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2409/15/news052.jpg 高校3年生で出会った2人が、15年後…… 世界中が感動した姿に「泣いてしまった」「幸せを分けてくださりありがとう」【タイ】
  2. /nl/articles/2409/14/news009.jpg そうはならんやろ “バラの絵”を芸術的に描いたら……“まさかの結果”が200万再生 「予想を超えてきた」【海外】
  3. /nl/articles/2409/16/news020.jpg 「猛犬注意! 触らないでください」と貼られたフェンスをのぞいたら…… 吹き出し注意の光景に「ちょっと!www」「休憩中?」
  4. /nl/articles/2409/16/news032.jpg 100均の紙粘土でこのクオリティーを!? 『ファイブスター物語』のモーターヘッドを制作、野生の原型師に称賛
  5. /nl/articles/2409/16/news010.jpg 100均のクッションゴム、まさかの使い方に目からウロコ 家中の“プチストレス解消法”に「思いつかなかった!」「これはすごい」
  6. /nl/articles/2409/16/news037.jpg 「とんでもなく遠い」 空港に向かうドライバーを絶望させる“衝撃の標識”が話題 「なぜそこに」「飛行機が必要そうな距離」
  7. /nl/articles/2409/11/news120.jpg 「やば絵文字」見つけた―― LINEで送られてきた“見たこともない絵文字”の正体が予想外 「え、ほしい」「どうやって使うんや」
  8. /nl/articles/2409/16/news018.jpg 88歳女性「誰もしてないようなメッシュにしたい」→驚がくの大変身が850万再生 「どぅえええええ?!」「カッコ良すぎて憧れます」
  9. /nl/articles/2409/16/news034.jpg フーセンガムの「あたり」を磨き続けたら…… “とんでもない発想”が斜め上すぎる 「もうええやろw」「今までで一番理解できない」
  10. /nl/articles/2409/16/news031.jpg 仙猫カリン様そっくりだった子猫、3年後には…… 「本物だ」「想像以上にカリン様」と反響を呼ぶ成長っぷりが10万いいね
先週の総合アクセスTOP10
  1. “緑の枝付きどんぐり”をうっかり持ち帰ると、ある日…… とんでもない目にあう前に注意「危ないところだった」
  2. 食べた桃の種を土に植え、4年育てたら…… 想像を超える成長→果実を大収穫する様子に「感動しました」「素晴らしい記録」
  3. 「天才!」 人気料理研究家による“目玉焼きの作り方”が目からウロコ 今すぐ試したいライフハックに「初めて知りました!」
  4. 義母「お米を送りました」→思わず二度見な“手紙”に11万いいね 「憧れる」「こういう大人になりたい」と感嘆の声
  5. 「しまむら」に行った58歳父→買ってきたTシャツが“まさかのデザイン”で3万いいね! 「同じ年だから気持ちわかる」「欲しい!」
  6. 猛毒ガエルをしゃぶった30分後、口がとんでもないことに…… 直視できない異常症状に「死なないで」「この人が苦しむってよっぽど」
  7. 33歳の「西郷どん」二神光さん、バイク転倒事故での急逝に衝撃 1年前の共演者は“願い”明かし「叶わないなんて」
  8. 「コレ入れると草が生えない」 外構工事のプロがやっている“究極の雑草対策”に注目
  9. 「へー知らんかった」 わずか7年で“消えた駅” 東京メトロが明かす“知れば納得の歴史” 「だからあんなに……」
  10. 秋葉原のトレカ店が“買い占め被害” 近隣店とその常連客が共謀し“全口購入の人員確保” 「大変遺憾で残念な限り」
先月の総合アクセスTOP10
  1. 釣れたキジハタを1年飼ったら……飼い主も驚きの姿に「もはや魚じゃない」「もう家族やね」 半年後の現在について飼い主に聞いた
  2. 「もうこんな状態」 パリ五輪スケボーのメダリストが「現在のメダル」公開→たった1週間での“劣化”に衝撃
  3. 「コミケで出会った“金髪で毛先が水色”の子は誰?」→ネット民の集合知でスピード解決! 「優しい世界w」「オタクネットワークつよい」
  4. 庭で見つけた“変なイモムシ”を8カ月育てたら…… とんでもない生物の誕生に「神秘的」「思った以上に可愛い」
  5. 「米国人には想定できない」 テスラが認識できない日本の“あるもの”が盲点だった 「そのうちアップデートでしれっと認識しそう」
  6. ヒマワリの絵に隠れている「ねこ」はどこだ? 見つかると気持ちいい“隠し絵クイズ”に挑戦しよう
  7. 「昔はたくさんの女性の誘いを断った」と話す父、半信半疑の娘だったが…… 当時の姿に驚きの770万いいね「タイムマシンで彼に会いに行く」【海外】
  8. 鯉の池で大量発生した水草を除去していたら…… 出くわした“神々しい生物”の姿に「関東圏では高額」「なんて大変な…」
  9. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  10. 「なんでこんなに似てるの」 2つのJR駅を比較→“想像以上の激似”に「駅名だけ入れ替えても気づかなそう」