土手にわんさか生えていた「野草の種」→発酵させると…… 日本料理に欠かせない“あるもの”を作る検証にびっくり仰天(1/3 ページ)

可能な限り自力で調達。

» 2025年01月23日 19時00分 公開
[羽野源一郎ねとらぼ]

 土手にわんさか生えている野草を使い“日本の料理に欠かせないもの”を作り上げる動画がYouTubeに投稿されました。根気のいる作業に取り組む様子は、記事執筆時点で13万回以上再生されています。

【実験】土手に生えてた野草の豆で味噌を作れるか?

土手にある豆

 動画を投稿したのは、野草を食べることが好きすぎるあまり、野草料理に関するYouTubeチャンネル「野草研究所」を開設した道端つくしさん。今回は新潟県を訪問し、情報提供者のKさんにマメ科の植物「ヤブツルアズキ」が多数生えているポイントまで案内してもらいました。

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 ヤブツルアズキは、和菓子や赤飯などでおなじみの「小豆」の原種ともいわれる野草。黒いサヤに入っている豆のサイズは非常に小さいものの、タンパク質はしっかり含まれています。Kさんにも協力してもらいながら、道端さんは持参した紙袋が黒いサヤでパンパンになるほど大量のヤブツルアズキを採集。これを原料にして、あるものを作っていきます。

みそを作るために採取したヤブツルアズキ お目当ての植物「ヤブツルアズキ」

必要な原料はあと2つ

 つくしさんが挑戦するのは、みそ作り。一般的なみその原料は大豆と塩とこうじの3つですが、次は海で採取した5リットルの海水を精製します。そこまでやるのか……!

 水中のごみをフィルターで濾し取ったら鍋で煮込み、ある程度まで水分を飛ばしたところで再度ろ過。硫酸カルシウムなどの不要な成分が取り除かれた海水を新しい鍋で煮立たせペースト状にしたら、コーヒーフィルターで濾し取ります。このフィルターに残った白い物をフライパンで加熱。どんどん炒めることで、「海水から作った俺の塩」が出来上がりました。

みそを作るために海水から作り上げた塩 海水から作った塩
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 これで豆と塩が用意できたので次はこうじの培養。よく洗った新潟県魚沼産のコシヒカリを2時間水にひたした後、弱火で15分蒸します。おけに米を広げて、温度が40度位にまで冷めたところで乾燥こうじを投入。森の奥深くから天然のこうじ菌を採取して必要量まで培養するとなったら、それだけでドキュメンタリー番組1本分の大作となってしまうので今回は市販のこうじを使います。

 蒸した米とこうじ菌を交ぜ合わせたら煮沸消毒した清潔なタオルで包み、自作した培養装置にセット。丸1日放置するとこうじ菌はしっかり繁殖し、特有の良い香りを漂わせていました。米とこうじをバットに広げ、煮沸消毒した湿り気たっぷりの布を被せて、常温でさらに1日放置。次の日には自家製培養米こうじが出来上がっていました。

もらった米で培養したこうじ こうじも用意した!

熟成させること数カ月

 新潟で採取したヤブツルアズキの粒300グラムと海水から生成した「俺の塩」120グラム、自力で培養した米こうじ600グラムの3つがそろいました。動画ではあっさりと登場したアズキ粒ですが、サヤから全て取り出すのに2週間かかったとのこと。むいた際に混入したごみをふるいにかけたり、ドライヤーの風を当てて吹き飛ばしたりしながら豆粒だけの状態にしたそうです。何と根気のいる作業……。

 ヤブツルアズキの粒が柔らかくなるまで水で煮込み、その間にこうじと塩を交ぜておきます。水分が飛ぶまでじっくり煮込んだところで、こうじ菌が豆粒を分解しやすいようヤブツルアズキをすりつぶしてペースト状に加工。程よく冷めたら、つぼの中で塩とこうじと交ぜ合わせて数カ月熟成させます。

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ヤブツルアズキを煮てすりつぶす 煮たヤブツルアズキをペースト状に加工
こうじと塩とヤブツルアズキペーストを交ぜ合せる つぼの中で混ぜ合わせて熟成させれば……

 後日、道端さんは「粒が残っている状態だと発酵が遅く、納豆のような臭いになってしまう」という事例を知り、予定を変更。完全にすりつぶした上で裏ごしを行い、「こしあん」のような状態にまで細かくしました。これならスムーズに熟成も進みそうです。

完成したみその味は……?

 こしあん状態でつぼの中に入れてから3カ月。無事に発酵は進み、「ヤブツルアズキの自家製小豆みそ」が出来上がりました! 色は通常のみそに近く、変な臭いや傷んでいる様子もなさそうです。ついに完成したみそを前に、つくしさんは「いやーここまで来るまで長かった……」と感慨深げにつぶやいています。

出来上がったヤブツルアズキのみそ ヤブツルアズキみその完成!

 みそが完成したのであれば、やることは1つ! 自家製のだしを鍋に入れてヤブツルアズキみそを溶き「みそ汁」に仕上げます。自家製みその風味だけを味わうため具は一切入れていません。見た目と味はばっちりで、一口飲んだ道端さんは「完っ璧にみそ汁! これは良いぞぉ!」と大喜び。うま味が凝縮されており、感動するレベルだと伝えています。合わせて「焼きみそにぎり」も用意。みそ汁と比べるとその風味には“アズキの癖”が出ており、香りにあんこの要素が少し入っているそうです。

ヤブツルアズキのみそ汁を実食 味はばっちり!

 自分が増やしたこうじ菌によるうま味と一緒に、「毎日当たり前のように口にしている物が、いかにいろんな人の努力のもとに生み出されているのか」を痛感したという道端さん。感謝の言葉とともに、最後の一口を飲み干しました。

「動画一本のボリュームじゃないんよw」

 野草の種を使って徹底的にこだわりながらみそを作り上げる様子には、「ツルマメなら食べたことあるけど…たくさん種類があるんだ野草って…」「こうじ菌なんてどうするんだろ? って思ってたらさすがに市販品で安心したwww」「工程全てがめちゃくちゃすごくてなんか感動しました」「一番手間がかかっている小豆のえり分けを一瞬で出してくるあたり強者感ある」「動画一本のボリュームじゃないんよw」などの感想が寄せられています。

 つくしさんはX(Twitter/@wild_grasses)アカウントでも野草に関する情報を発信中。YouTubeチャンネルでは、近くに生えている木から“メープルシロップ的なモノ”を作ろうとしたり、雑木林からスパイスを採取しようとしたりする動画などが公開されています。

動画提供:YouTubeチャンネル「野草研究所」さん

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