艦これ艦娘“作戦的”プロフィール「ルンガ沖海戦」編
艦これ秋イベント“決戦! 鉄底海峡を抜けて!”期間もいよいよ終盤に突入。そして、アイアンボトムで実際にあった史実の海戦解説も、終盤戦のルンガ沖海戦だ。
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ちっこい駆逐艦だけでようやったようやった
艦これ秋イベント“決戦! 鉄底海峡を抜けて!”も終盤戦。そして、一連のアイアンボトムサウンドでおきた史実の海戦解説も、最終戦のルンガ沖海戦に突入した。第三次ソロモン海戦で大規模な輸送作戦に失敗した日本軍は、ガダルカナル島を奪い返すことをほぼ断念したものの、すでに送り込んだ陸軍を“餓死させない”ために、日本海軍は輸送を続けなければならなかった。しかし、大型の輸送船を使って大量の物資を送ることは不可能。そこで、これまでの成功率が高かった水雷戦隊の輸送に望みを託すことになった。揚陸時間を短縮するために、半分だけ食糧を詰め込んで浮くようにしたドラム缶を駆逐艦に載せ、ガダルカナル沖に突入したら、そのまま海に落として陸にひっぱっていく「ドラム缶輸送」だ。
その最初の作戦を第2水雷戦隊が1942年11月30日に実施することになった。第2水雷戦隊司令の田中頼三海軍少将が率いるのは、「長波」「高波」「巻波」「黒潮」「親潮」「陽炎」「江風」「涼風」の駆逐艦8隻。このうち、「巻波」「黒潮」「親潮」「陽炎」「江風」「涼風」の6隻は輸送隊として、ドラム缶を1隻当たり200本を搭載し、その代わりに魚雷を半分降ろしてしまった。
そんな8隻の駆逐艦を、米海軍は5隻の巡洋艦と6隻の駆逐艦で待ち伏せしていた。2106、米艦隊はレーダーで日本艦隊を距離2万6000で発見。しかし、レーダーの輝点が陸地と接近していて区別がつかず、2115になってようやく7隻の敵艦を認識する。日本海軍は、2112に前路警戒のため先行した高波が距離6000で「敵らしきもの」を発見した。米艦隊に遅れること6分。しかし、2115には“肉眼”で7隻の敵艦隊を確認している。この夜戦でも米艦隊レーダーと日本艦隊見張員は、ほぼ同時に敵艦隊を識別できたことになる。
米駆逐艦は2116に魚雷発射の許可を求めているが、米艦隊司令官は2120にようやく許可を出す。2121には日本艦隊に先んじて砲撃を開始し、敵に最も接近していた高波は集中砲火を浴びて、戦闘開始わずか4分間ですべての主砲と魚雷発射管、機関室に被弾して戦闘能力を失ってしまう。しかし、高波は被弾する直前に8本の魚雷を発射していた。
高波が自分を犠牲にして敵の砲雷撃を一身に受けてくれたおかげで、戦闘体制を整えることができたほかの駆逐艦は、2122に「長波」「江風」「涼風」が煙幕を張りつつ反転、敵を引きつけるため砲撃を開始する。「黒潮」「親潮」「陽炎」「巻波」は、発砲を控えて敵に見つかることなく前進し、「黒潮」「親潮」は2128〜2129にかけて魚雷を射出して反転。「長波」「江風」「涼風」も退却しながら2132〜2133にかけて雷撃を行い、「陽炎」はさらに敵に接近して2152に魚雷を射出している。
彼らの魚雷は、2127、2128、2139、そして、2148と敵巡洋艦に次々と命中する。最後に魚雷が命中した1隻は沈没し、そのほかの3隻も戦闘に復帰するまで1年以上かかる大きな損害を受けた。日本艦隊の損害は、高波が沈没、長波が被弾して損傷したのみ。しかし、今回も主目的である輸送には失敗した。ドラム缶輸送は駆逐艦によって4回実施するが、最後の第4次作戦で駆逐艦「照月」を魚雷艇の攻撃で失ったことが影響して終了になる。以後、ガダルカナル島に対する輸送を完全に断念した日本軍は、1943年2月の撤退に向けた準備に取りかかる。
田中司令官は、ルンガ沖海戦後に「敵の遠距離から魚雷を発射してそのまま配下の駆逐艦を置き去りにして真っ先に逃げてきた」と上層司令部から非難されてしまう。しかし、この行動自体は圧倒的優勢な敵に奇襲を受けた戦術として至極妥当なものだ。それよりも、高波が「敵らしきもの見ゆ」と知らせた2112から「全軍突撃」を下令する2122までの「10分間の空白」こそ、ごく短時間の撃ち合いで勝敗が決まる夜戦において致命的なミスだったといえるかもしれない(俺提督の超私的評価)。
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