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実は世界に約4万種も存在。話題の「ゴミムシ」について、ゴミムシ専門家に聞いてみた

「ゴミムシ」ってよく聞くけど、何なの?

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 2014年と2015年の年またぎ、日本中を駆け抜けた「マクドナルド連続異物混入」騒動。青いビニールから人間の歯まで、バリエーション豊かな異物が混入していたことで話題になった。人間の歯も気になるけど、もう1つ注目を集めたのが「ゴミムシ」の混入例。少なくとも筆者の周りでは、ゴミムシのことを「このゴミムシ野郎!」のような悪口の一種だと思っていた人々に衝撃を与えた様子。

 じゃあ、一体全体ゴミムシってどんな虫なの? というわけで、日本産環境指標ゴミムシ類データベース・WEB図鑑「里山のゴミムシ」の作成に携わっている、北海道開拓記念館学芸員・堀繁久さんにゴミムシのアレコレについて教えてもらった。

堀繁久さん(以下、堀さん) 「一般的に、甲虫目オサムシ科に属していている昆虫の中でも“中小型の一部のグループ”の昆虫を『ゴミムシ』と呼んでいます」

 なんと、世界中で約4万種、日本だけでも1600種類以上存在しているというゴミムシ類。それほどたくさんいるゴミムシを見分ける特徴は?

堀さん 「前足の脛に当たる部分に、触覚を手入れするための凹みを持っていたり、やや偏平な体型や長い脚が、体の特徴になるかと思います」


画像 堀さんのお気に入りの「アオゴミムシ」。堀さん「黒っぽいものが多いゴミムシですが、『アオゴミムシ』は鮮やかな緑色をしてるんです」

 近くで見てみると、比較的繊細な手足をしている様子。つぶらな瞳も印象的だ。 

堀さん 「主な生息地は海岸や草原、森林、河畔、湿原や高原など、良好な自然環境のある場所。基本的には室内にいる昆虫ではないです」

 その和名の由来は「ゴミ捨て場にいる虫を食べる虫だから」とも言われていますが、諸説あるため堀さんからは回答しかねるとのこと。とはいえ、“良好な自然環境のある場所”に住んでいるのに「ゴミムシ」と呼ばれているなんて、なんだか切ない話。

 それにしても、外にいるはずのゴミムシなのに、マクドナルド騒動ではなにゆえハンバーガーの中に入っていたのだろうか。どの段階で混入したかなどは分かっていませんが、加熱調理済みのゴミムシ、ということは工場で混入した可能性も。

堀さん 「野外に生息しているゴミムシは、きちんと設備の整っている工場などの場所であれば、通常入ってくることはありません。現段階では、混入理由は不明です」

 起こるはずのないゴミムシとの奇跡の出会い、なんて言ってる場合ではない。ところで、ハンバーガーの中にいたゴミムシは、何ゴミムシなのだろうか?

堀さん 「テレビなどでみる限り、公開されているのは腹面だけなので判断するのは難しいですね」

 無念。最後に、ゴミムシの魅力を聞いてみた。

堀さん 「自然環境の良好さなどを教えてくれる、環境指標となる重要な昆虫なんです。他の昆虫やミミズを捕食するハンターでもありながら、フォルムも美しく、今だ未知の種が存在する……自分にとっては最も魅力的な生き物ですね」

 ひしひしと伝わる堀さんのゴミムシ愛! なんだか、不名誉な形で有名になってしまったことが悔やまれる……。

(大貫未来/清談社)

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