「オタク新世紀宣言」発表! 市長も教授もオタクを語る 「コミケットスペシャル6」リポート(1/2 ページ)
「OTAKU EXPO」が併催され、“オタクイベントの国連”が結成された「コミケットスペシャル6」をリポート。コスプレもありますよ!
5年に1度、コミックマーケット準備会が開催するイベント「コミケットスペシャル」が3月28〜29日、幕張メッセ(千葉)にて行われた。
今回はコミケ40周年記念として、海外の28のイベント団体を招いて「OTAKU EXPO」を併催したのに加え、2012年に脅迫事件を受けて自粛した(関連記事)「黒子のバスケ」ジャンルの救済措置として、29日に「黒子のバスケオンリー同人誌即売会 くろケット」を開催した。
“オタクイベントの国連”結成
OTAKU EXPOでは千葉市長の熊谷俊人氏や国立新美術館館長の青木保氏らが登壇した「俺たちのコミケがそんなに悪いイベントなわけがない」シンポジウムも開かれた。コミケのサークル参加経験のある熊谷氏が、地元千葉が舞台となった「俺の妹がこんなに可愛いわけがない」についてのエピソードを披露。アニメでもたびたび描かれている千葉モノレールを中国から聖地巡礼に訪れたりするなど、人を引き寄せるアニメの魅力などを語った。
また、青木氏は元文化庁長官として麻生内閣で推進していた国立メディア芸術総合センター(仮称)を所管していたこともあり、日本のポップカルチャーの魅力、そしてその源流となっているコミケの意義を語った。
大学教員らによるアカデミックシンポジウム「日本発文化創造:同人文化を中心に」では、東京工業大学の出口弘教授を始め、慶應義塾大学の杉浦一徳准教授、明治大学の森川嘉一郎准教授、東北芸術工科大学の吉田正高准教授、日本経済大学の中村仁専任講師らが希少な同人誌などのお宝を披露。
出口教授は出演している放送大学の特別講義「日本漫画と文化多様性〜世界に拡散する絵物語コミュニケーション〜」と同様に軽妙な語り口で、マンガやラノベに見られる日常を描いた絵物語が江戸中期にはすでに存在しており、これが当時ではメインカルチャーであったと紹介。また日常を描いたマンガはインドネシアでも生まれているという。
OTAKU EXPOには海外18の国および地域から28団体が参加しており、これらの団体と日本からコミックマーケット、およびニコニコ超会議を含めた30団体がオタクイベントの国連としてInternational Otaku Expo Association(IOEA)を結成、このIOEAのお披露目とトークセッションを行った。
トークセッションではイタリアのイベント団体「Romics」からサブリナ・ベルッカ代表、およびブラジルのコンベンション「アニメフレンズ」からタカシ・チカサワ代表が登壇した。
ベルッカさんによれば、Romicsは日本のポップカルチャーをメインテーマとしており、特にオタクカルチャーが目玉となっている。イタリアではまだ同人誌作家が少ないため、コミケットでこれだけたくさんの同人誌が頒布されている様子に大変驚いたと話した。
イタリアには1990年代にマンガが輸入され、その深い表現に若い世代が虜になったという。それから2世代が経過し、マンガやアニメはこれらの世代にとっては当たり前の存在となっている。「マジンガーZ」「アタックNo.1」「ベルサイユのばら」などのイタリア語版もいまだに人気があるため売られているそうだ。
ブラジルでは2003年にチカサワさんたちが串田アキラ、影山ヒロノブ両氏を招いてアニメフレンズを開催し、4日間で2万2000人が参加した。昨年には11万6000人が集まるまでに成長している。ブラジルでは「キャンディ・キャンディ」や「マッハGoGoGo」などのアニメが放送されていたが、聖闘士星矢でアニメ人気が爆発し、今でもブラジルでは変わらない人気とのことだ。
トークセッションの後は、参加した28団体が壇上に集い、「オタク新世紀宣言」を行った。オタクという言葉が世界中に広まった今、世界のオタク仲間が集まって、マンガ、アニメ、ゲームなどの作品を支え、広め、楽しむために活動していくという。
- 我々は、マンガ、アニメ、ゲームを中心とするオタク文化の素晴らしさを伝え、地位を高める活動を行っていく
- 我々は、協力して我々の愛する文化の普及、振興に努める
- 我々は、お互いの問題に共同して取り組み、解決するよう努める
- 我々は、世界の愛好者と連携し、協力していく
- 我々は、世界の相互理解に貢献できるよう努力する
全文はコミケットスペシャルのWebサイトに公開されている。
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