アニメを作る上で必要不可欠な工程である「動画(原画と原画の間のコマを描き、アニメに動きをつける作業)」。しかしその重要さとは裏腹に、給料は安く、世間的にも評価されにくい仕事とされています。そんな“動画マン”の過酷な実情を描いた漫画がTwitterで話題になっています。
ツイートしたのは、元アニメーターという経歴を持つ漫画家の花村ヤソ(@hanamurayaso)さん。現在、アニメーターを題材とした漫画「アニメタ!」を月刊モーニング・ツーで連載しており、「そんな(アニメーターの)現実が少しでも多くの人に伝わって欲しくて漫画に描いております」と作品のページをツイートしたところ、「身にしみるお話」「とても良い漫画」と大きな反響を呼びました。
中でも衝撃的なのが、主人公・真田幸が指導役の上司から自分の給料について説明されるシーン。動画マンの給料は完全出来高制で、幸が就職したアニメ会社では1枚あたり210円前後とされています。仮に1枚1時間で仕上げたとして、1日12時間働いても2520円。休みなしで1カ月働いたとしても、税金を引かれると1カ月で手取り6万8000円にしかならない計算です。「休みなしで1カ月6万8000円……」と絶句する幸の表情が印象的。アニメーターは過酷だ、低賃金だとはなんとなく分かっていましたが、まさかここまでとは……。
またもう1つ印象的なのが、「好きでやってるから給料が安くてもしょうがないのかな」という幸のつぶやきを、監督の九条が「それは違う」「『やりがい』と『給料』は別問題だ」と否定するシーンです。「だからといって給料が安くていい理由にはならない。好きでやっている仕事でも、それに見合った額は支払われるべきなんだよ」と九条は語ります。業界が抱える構造的矛盾について、分かっていても何もできない監督のやるせなさが伝わってきます。
作者は過去、アニメーターとして「ヱヴァンゲリヲン新劇場版 序/破」「攻殻機動隊S.A.C.2nd GIG / SSS」「ハチミツとクローバー」などの作品に参加。作中ではその経験を生かし、アニメーターの給与事情だけでなく、作画のテクニックや専門用語、アニメ制作の工程なども事細かに解説しており、業界ルポ漫画としても読み応えがあります。
漫画を読んだ人からは、「とても面白く、泣きました」「アニメーターみたいな人たちにお金が入ってほしい」といった感想のほか、「見合った額は支払われるべき、本当にそう思います」など、仕事の垣根を超えて共感する声も。「アニメタ!」は現在3巻まで発売中です。
(あゆみん)
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