“セーラー服おじさん”こと小林秀章さんが、6月29日公開の映画「よろずや探偵談」で映画デビューを果たします。安心してください、セーラー服着てますよ。
主人公は、うだつの上がらない四十男の嶋四郎。遺品整理の仕事ために、少年時代に憧れていたテレビドラマ「科学探偵 柳生十兵衛」を演じた男の家を訪れた嶋は、かつてのヒーローの死を受けて探偵になることを決意します。しかし依頼されるのは便利屋家業のような仕事ばかり。そんな中、嶋が住む亥鼻市で怪現象が多発し、嶋と自称・助手の未央は自主捜査に乗り出してゆくことになる――というナンセンス娯楽活劇です。
監督は、千葉県出身で2008年にスタートした「ちば映画祭」を主導した沢村東次さん。「自らの生命保険と子ども2人の学資保険を解約して離婚危機に至ってまで作り上げた」と話す渾身の作品となっています。人生賭けてる。
「コミカルな探偵モノを軸にしたちょっと変わった物語にしたい」との理由から、日本各地で自身の考えるキーワードに当てはまる人物と直接交渉したという沢村監督。セーラー服おじさんをキャスティングしたことについて沢村監督は「演技経験などは一切関係なく、小林さんからは放たれている匂いに呼ばれました」とコメント。演技の経験がないセーラー服おじさんですが、「いかがわしさと鋭い眼光を持ち合わせた人物を探していたところ、自分のアンテナに引っ掛かってきたのが小林さん」だったといいます。確かに画面映えしそうだ。
映画初出演となったセーラー服おじさんは「私の素のキャラが引き出せるよう、いろいろ配慮されていたように思います。いつもの定番の『にゃんっ♪』ポーズを効果的に使ってくれたり」と監督の心遣いに感謝。「収録現場のあのピンと張りつめた空気を一緒に吸うことができたのは、貴重な経験でした」と語り、自身の限界に挑む一方で「自分にこんな役が回ってくる日が来ることをあらかじめ分かってたなら、小さいころから劇団に入るなどして、お芝居だけでなく、歌とかダンスとかも、やってりゃよかったと思う」と一抹の後悔をにじませているようです。また、とあるシーンの撮影中で日差しの気持ち良さに思わず眠ってしまい、共演者から「いびきかいてたぞ」といわれてしまったという和気あいあいとした裏話も聞かせてくれました。
出演者には「日本で一番小さな手品師」であるマメ山田さんやアイドルユニット「黒猫の憂鬱」解散後ソロ活動をするくり子さんら、セーラー服おじさんに負けず劣らずの個性豊かな人物をキャスティング。そのため、ザムザ阿佐ヶ谷での上映会では「マメ山田マジックショー」やくり子さんのソロプロジェクト「コバルトブルーは白昼夢」によるステージなど、さまざまなイベントも同時開催する予定となっています。なお7月1日〜2日の2日間に限り、コスプレ衣装やハロウィーンチックなド派手衣装・メークで来場するとドレスコード割引が受けられる企画も。この衣装判定をセーラー服おじさんが行う予定です。せっかくなので教団入りした気分でセーラー服での来場もありかもしれない。
よろずや探偵談は6月29日〜7月2日、東京のザムザ阿佐ヶ谷で上映(同時開催のイベントスケジュール、ドレスコード割引については公式サイトから)。また、カナザワ映画祭2017の「期待の新人監督賞」作品として7月15日〜17日の3日間、監督の舞台あいさつ付き上映が金沢21世紀美術館で行われます。
(藍乃ゆめ)
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