夜景をバックに、きらめく車体をタ暮れに浮かび上がらせるような1枚。車のコマーシャルのようなかっこいい写真ですが、実はこれ、ミニカーを野外で撮影したものなんです。今回は、フルカラーで大きさもA4サイズ、たっぷりとミニカーの写真が堪能できる『miniCAR GRAPHIC』と、ミニカー撮影をもっと楽しむための技が詰まった『撮ろう!ミニカーの写真』シリーズ、合わせて4冊をご紹介します。
今回紹介する同人誌
『miniCAR GRAPHIC』 A4 16ページ 表紙・本文カラー
『撮ろう!ミニカーの写真 vol.1』 A5 16ページ 表紙・本文モノクロ
『スマホで撮ろう!ミニカーの写真iPhone編』 A5 16ページ 表紙モノクロ 本文カラー・モノクロ
『撮ろう!夜景とミニカーの写真』 A5 16ページ 表紙モノクロ 本文カラー・モノクロ
作者:E.P.
てのひらに乗る、憧れの名車を激写!
まず『miniCAR GRAPHIC』は、黒い表紙につややかなボディーのミニカーがかっこいい! 今回の特集は「夜景とミニカー」だけあって、高速道路を背景にしたり、ビルの前に停まっていたりと、ムードたっぷりな写真が掲載されています。都会のライトに照らされるミニカーは、小ささよりもカッコよさを前面に感じます。でも、眺めているとなんだか街並みもミニチュアに見えてくるような不思議な気持ちにもなってきますね。
ご本は写真と記事で構成されているのですが、まず言及されるのは“この車はどんないわれがあるか”という点。作られたいきさつ、新型モデルが出たときの世の中の反応などがまとめられ、車に詳しくない私にも親しみやすい導入です。
そしてそれがミニカーになったときにはどんなふうにデフォルメがされているのかを、細やかな観察眼でチェックされています。基本的にサイドミラーがないことを、記事で指摘されてはじめて気が付きました。小さな子どもの手にもやさしいように、それでいて元の車の魅力を損なわないように。ミニカーには、車の魅力がぎゅっと詰まっているんですね。
いざ撮影! スマホだって大歓迎
著者の方は2007年からミニカーの撮影を続けられているそうで、はじめはガラケーでの撮影だったとか。現在はミラーレスカメラとスマホを中心に撮影を楽しまれており、『撮ろう!ミニカーの写真 vol.1』『スマホで撮ろう!ミニカーの写真iPhone編』『撮ろう!夜景とミニカーの写真』では、撮影のテクニックや、スマホアプリの比較レビューなど、実際にミニカー撮影をしてみたくなった人のために役立つ情報を取り上げていらっしゃいます。
撮影時は、少し高いところにミニカーを置くことで、低いアングルから被写体を捉えて、地平線の位置を低くして背景となじませる、というミニカーならではの対策から、「野外撮影は寒い」などの普遍的な、でもよく起こりそうなちょっとしたポイントも押さえてあるのがうれしいです。
ショールーム巡りから、世界も視野にいれて。ミニカー撮影には、こんな楽しみ方があったんだ!
『撮ろう!ミニカーの写真』シリーズは、撮影テクニックだけでなく、ミニカーにまつわるいろんな視点での楽しみ方が載っています。例えば、実際に車のショールームを見に行き、元の車とミニカーの比較をじっくり観察されています。「サイドウィンカー下のマークもしっかり再現されている」といわれてみれば、確かにそうですね。その言葉に促されて、あらためてミニカー写真をじっと見てみると、車のおしりについているリアウイングの厚みのあるところとか、きりりと美しいお写真になっているからこそ引き立つ「ミニカーならではの造作」がかわいらしく、愛らしく思えてきました。
さらに、実はミニカー撮影は近年インドネシアで大人気! という、世界に目を向けた記事も。その理由を著者さんは「インドネシアでの自動車文化への意識の高まりと、それに対して自動車普及率が追いついてないのでは」と分析されています。さらにご自身も、Facebookでインドネシアのミニカー撮影グループに参加し、作品もアップして、異国の方との交流をしていらっしゃるんですって。遠く離れたところでも、この楽しさを感じている人がいるんだ! と思うとうれしくなりますね。
撮影からはじまり、元の車との見比べや、世界のミニカー撮影事情まで。写真だけじゃなく、未知の世界を先導して走ってくださるようなご本です。
今週のシャッツキステ
著者紹介
司書メイド ミソノ:秋葉原カルチャーカフェ「シャッツキステ」でメイドとしてお給仕する傍ら、とある大きな図書館で司書としても働く“司書メイド”。その一方で、こよなく同人誌を愛し、シャッツキステでも「はじめての同人誌づくり」「こだわりの特殊装丁」の展示イベントを開く。自身でも同人誌を作り、サークル活動歴は「人生の半分を越えた辺りで数えるのをやめました」と語る
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 決してひと事ではない? 同人誌『夜10時カギを忘れて家に入れず初めてカプセルホテルに泊まった話』
忘れたと確信したときのドキドキ感……。 - ガーターベルトに仕込みメガネ メガネフリークしか出てこない1ページまんが「めがねのね〜眼鏡の音〜」が狂気の沙汰
「委員長の眼鏡ふきを煎じて飲んで、心を落ち着かせよう」 - 税率で変わる2人の関係 お金“異形頭”マンガ「おかねちゃん!」は恋するコインの物語
手袋はめてるのもポイント高いです。 - こんなの待ってた! アメコミの効果音を集めた辞書がマニアックすぎて心くすぐる
今週はサークル「FANDOMAIN」さんの同人誌「アメリカンコミックス効果音辞典 スーパーヒーロー誕生から70年代まで」をご紹介。 - マンボウ最弱伝説はウソ? 「着水の衝撃で死ぬ」「朝日が強すぎて死ぬ」などの真偽を研究者が判定
今回はマンボウ研究家が調査結果などをまとめた「マンボウの都市伝説-噂の根源と真偽- ver.3」をご紹介。 - 黒電話っぽいけどダイヤルがない……? レトロかわいい「磁石式電話機」にファンタジー脳が刺激される
こんな面白い電話機があったとは。 - 音が出るものから計算できないものまで!? 作者の“変な電卓”愛が爆発した同人誌に電卓の可能性を感じる
変な電卓が114種類を掲載した「変な電卓2017」を紹介します。 - “もしも埼玉にプロサッカークラブがなかったら” 架空の“埼玉”が舞台のちょっぴり変わったサッカーマンガ
同人誌『かつてこの地に栄えたというでんせつの』をご紹介。 - 「人工培養肉」を作って食べてみた 理系大学院生が体を張った同人誌にドキドキが止まらない
味付けはクレイジーソルトがおすすめだそうです。 - 「取ってしまえばどうということはない」 魚屋さんがまとめた寄生虫データが食卓に安心を届けてくれそう
「魚屋が出会う身近な魚の寄生虫」をご紹介。フルカラーで寄生虫の画像が載っているので、苦手な人は注意。 - 「えっ、名前って誰でも変えられるの?」 改名を経験した著者による同人誌が読み物としても傑作だった
現在、Amazonプライム会員向けに無料配信中。 - 「る」で終わるは序の口? 「しりとりが絶対に強くなる10の方法」でワンランク上の戦いを
今週はサークル「弐人国家」さんの同人誌「しりとりが絶対に強くなる10の方法」をご紹介。 - ポスドクたちのリアルな声に共感 研究者を応援する同人誌「月刊ポスドク」
付録の「進捗ラムネ」が気になる。 - 萌えと宇宙は無限大? 女子高生×人工衛星の組み合わせにロマンを感じる「衛星研究部」
作者は、実在の人工衛星をかわいく擬人化させた「現代萌衛星図鑑」の二人。