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“シミがベリベリ剥がれるクリーム”はウソ 漫画村関与の代理店が偽装広告作成、販売元は「広告見たことない」(2/2 ページ)

実在のテレビ番組で紹介された、と記載するなど悪質な手口。

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H社「そのような広告は見たことがない」

 こうした情報を受け。編集部では「塗るだけでシミが剥がれるシミ消しクリーム」の販売元、H社に取材を申し込みました。

――H社の「塗るだけでシミが剥がれるシミ消しクリーム」についてお伺いしたいのですが、当該商品の訴求ページ(広告)はA社グループに制作を依頼したものですか。

H社の広告担当者はい。

――広告には「シミが剥がれる」という表現がありますが、実際にはドライフルーツなどを用いて演出しているとの情報が寄せられているのですが。

H社の広告担当者私の方では何も把握していませんでした。

――A社グループがそういった訴求のページを作っていたことは把握していましたか。

H社の広告担当者分からないです。うちは基本的に代理店さんに全ておまかせしてしまうので、(広告代理店が)どんな広告をやっておられるのかまで把握していません。

――なるほど。当該のクリームについては「シミが剥がれるクリーム」として販売しているものということで間違いないでしょうか。

H社の広告担当者(シミは)剥がれはしないです。

――剥がれないんですか。当該のクリームの名前で検索してみたら「シミが剥がれる」という表現のページがたくさんできたのですが、それをご覧になったことはないですか。

H社の広告担当者(見たことは)ないです。

――訴求のページが出来上がったあとにA社グループからH社に対して「こんな感じでよろしいでしょうか」というお伺いはないのでしょうか。

H社の広告担当者ないです。

――H社とA社グループは取引が多い間柄なのでしょうか。

H社の広告担当者はい。




A社グループ「(ドライフルーツを使った広告を作ったのは)事実」

 編集部は情報提供の内容、H社からの回答を踏まえてA社グループにあらためて取材を申し込みました。すると代理人の弁護士から、A社グループおよび、H社の社名、「シミが剥がれるクリーム」の商品名を伏せることを条件に回答書が送られてきました。

――「塗るだけでシミが剥がれるシミ消しクリーム」の広告については、A社グループ内で訴求ページを作成しましたか。また、その広告作成時に、自社社員をモデルとしたうえで、ドライフルーツの皮などを用いてシミが剥がれ落ちたような演出をしたことはありませんか。

A社グループ社内調査を行った結果、ご指摘の通り、当該商品の一部広告素材として当社担当者員がモデルとなり、ドライフルーツを用いた演出を行い、記事ページを制作していたことが事実として確認できました。

 当社としましては、上記事実関係が確認できたことから、H社とも協議しながら、本件広告に関する現在具体的な対応について検討させていただいております。

――作成広告の一部で、Facebook・Instagramなどに上がっている写真を無断で抜き取り、作成したと思われる訴求ページが存在していました。A社グループ社内では、著作権・肖像権の取扱についてどのようなレギュレーションを設けていますか。

A社グループご質問を受けて社内調査を実施したところ、広告素材の作成にあたり、Facebook・Instagramなどのページから直接画像等を無断使用していた事実は確認できませんでした。

 もっとも、上記社内調査においては、検索エンジンで画像検索をした結果得られた画像を使用していたという事実も明らかになっております。そのため、上記検索結果にSNSページからの画像が混入していた可能性は否定できません。

 当社では法令遵守の見地から社員研修の際に各種法令の遵守に関する研修を行うなど、社員の法令遵守精神の育成に努めてまいりましたが、制作の現場での著作権・肖像権の取扱いについては、具体的なレギュレーションを設定しておりませんでした。

 つきましては、本件を機に、当社としても著作権・肖像権の取扱いについてもレギュレーションを設け、権利侵害の発生を未然に防ぐ体制を構築していきたいと考えております。

――これまでに消費者庁などから訴求ページについて問い合わせや指導を受けたことはありますか。

A社グループA社及び、グループ会社であるB社に対し、消費者庁を含む行政庁より直接問い合わせや指導を受けた事実はございません。




大阪府「広告を依頼した広告主に一定の責任」

 回答書で虚偽広告の作成を認めたA社グループですが、広告主のH社に責任はないのか。また法律上こうした表現の広告は問題がないのか。厚生労働省の監視指導・麻薬対策課に問い合わせました。

 担当者はあくまでも広告や商品の実物を見なくては判断がつかないとしたうえで、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(薬機法)」の第66条では誇大広告を禁じる記述があるとのこと。もし違反が認められれば、二年以下の懲役、もしくは二百万円以下の罰金、またはこれを併科される可能性があることになります。

 また大阪府健康医療部薬務課にも見解を聞いたところ、「仮にそのような広告が存在しているとした場合、広告主が『広告代理店が勝手にやったこと』と主張したとしても、究極的には広告を依頼した広告主に一定の責任があると考えられる」とのこと。広告代理店の関与については、「まずは広告主に事情を聞き、その事情によってケースバイケースで対応することとなるだろう」とのことでした。

(Kikka)

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