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これはいい展示! 貴重すぎて普段は非公開、日本初の地下鉄「1000形の車内」へ潜入してみた(2/3 ページ)

「うへの」「此ノ戸」、懐かし楽しい! 「地下鉄博物館」の名物展示を体験。【写真39枚】

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「極悪デコピン炸裂」で廃止 「リコ式吊手」

 このように1000形は、当時最先端の技術が惜しみなく使われ、現代にも受け継がれている一方で、「不評で廃止」となった設備もありました。その1つが「リコ式吊手」です。

吊手 リコ式吊手。使われないときはジャマにならないように、バネの力で窓側に退避する

 この吊手は「鉄製(持つところはホーロー製)のバネ内蔵」型。乗客のジャマにならないように、また、車内を明るく広く見せるために、普段はバネの力で窓側へ「ハ」の字型に退避する仕組みを採用していました。現代の一般的な吊手と比べると、ゴッツリと頑丈で、揺れる走行中でも体をしっかりと支えられるほどにずぶとい剛性がありました。

 しかし大きな問題がありました。この吊手は、手を離すとバネの力でギョン! と元の位置に戻ります。それが、座席から立ち上がった人のおでこにゴン!!! うわぁぁぁぁ。この直撃は「目から火が出るほどの激痛」だったそうです。乗客トラブルの元になる上、部品の摩耗や故障で整備に手間がかかるなどの理由から、このリコ式吊手は後に廃止されました。

「ATS」も備えていた

 現代につながる装備といえば、「ATS(自動列車停止装置)」も見逃せません。1000形は日本で初めてATSを搭載した車両でもあるそうです。ATSは衝突や脱線などの事故を防ぐための安全装置。車両が止まるべき位置を超えてしまったときなどに、非常ブレーキを作動させます。

 1000形には「打子式」と呼ばれる機械式のATSを備えます。線路脇に置かれた可動式の「打子(たたき棒/トリップアーム)」が起き上がり、車両の「ブレーキコック(トリップコック)」に当たることで非常ブレーキが機能します。信号状況などに応じて起き上がる打子と、車両の下部に剥き出しに備わるブレーキコックがポイントです。

 この打子式ATSは単純な仕組みながらも高い信頼性があったことから、銀座線や丸ノ内線、大阪市営地下鉄、名古屋市営地下鉄などでも使われたそうです。銀座線、丸ノ内線では1993年まで使用されました。

ピン 白く塗られているのが打子式ATSのためのブレーキコック(車体)と、打子(レールのわき)。(オーバーランなどで)打子が当たる→コックが開く→非常ブレーキが動作するという仕組み

地下鉄の輝かしい歴史と約90年のノスタルジーを「感じられる」スポット

 うほほほ、すごい、楽しい、へぇぇマジか! 日本初の地下鉄にはじめて乗った当時の人もこんなことを感じたに違いありません。


正面左 1000形

 愛すべき必見車両「1000形」。次回の内部公開日(直近)は「2018年11月3日〜4日」と「2018年12月29日」です。皆さん、どうかこの貴重な機会をお見逃しなく。

 ほかにも地下鉄博物館は、丸ノ内線の初代車両「300形」の実物、運転中の揺れまで体験できる「電車シミュレーター」などなど見どころ盛りだくさん。誕生約90年、地下鉄の輝かしい歴史と心地よいノスタルジーを「体験」しにいってみてはいかがでしょうか。

地下鉄博物館

  • Webサイト:http://www.chikahaku.jp/
  • 入館料:大人210円、子ども(満4歳以上中学生まで)100円
  • 開館時間:10時〜17時(最終入館:16時30分)
  • 所在地:東京都江戸川区東葛西6-3-1 東京メトロ東西線葛西駅高架下
  • 休館日:月曜日(祝日・振替休日となる場合はその翌日)、年末年始(12月30日〜1月3日)
  • ※2018年12月11日から「千代田線全通40周年&半蔵門線開通40周年記念」の特別展を開催(2019年1月27日まで)

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