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若い女性2人が土俵上で、大統領の寝室で…… 謎のSNSアカウントを描く漫画「じどり」のオチが現代ホラー

世にも奇妙な物語感がある。

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 柏木大樹さん(@kasiwagidaiki)がTwitterに投稿した短編漫画「じどり」が、怖さと面白さを兼ねそろえていると好評です。広大なインターネットの世界、どこかに存在していそうなリアルさがまたゾクゾクきますね……。






柏木大樹 じどり 始まりはありふれたアカウントから

 話は、とあるごくごく普通のSNSアカウントの話から始まります。白人と黒人の女性2人組がさまざまな場所で撮影した自撮り写真を不定期に上げているというもので、フォロワーも1桁のみ。特に話題に上がるようなものではありませんでした。


柏木大樹 じどり 普通のアカウントでしたが……?

 しかしある日、このアカウントからとんでもない自撮り写真が投稿されたことで風向きが大きく変わります。2人が笑顔で飲み物を飲みながら写っている場所は、明らかに紛争地。背景では兵士が銃を撃ち、赤子を抱えた男性が頭から血を流しながら走っています。


柏木大樹 じどり 明らかに異様な写真

 この異様な投稿は、またたく間に炎上。「不謹慎にも程がある」「この2人からSNSを取り上げるべき!」「どうせ合成だろ」といったコメントが多数寄せられる事態に。これを機に2人の過去の投稿が掘り起こされる事になっていくのですが、さらに異様な写真の数々が広がっていました。


柏木大樹 じどり さらに見つかる異様な写真の数々

 そこに写っていたのは、関取が相撲をとっている土俵の上、マッターホルンの頂上、自宅で皿洗いをしているおばさんのすぐ横……などなど、とても若い女性たちが自撮りをできるとは思えないようなシチュエーションの数々。さらには某国の大統領が寝室で寝ているすぐ横で写っているものまで見つかります。

 あまりの事態に見かねた某国の大統領は、身辺警護を強化し2人の身元を徹底的に調査することに。が、数日後、歩いている大統領の肩に寄り掛かるように写る2人の写真が投稿されます。さらに、SNSの運営も2人のアカウントを何度か凍結したものの、数時間後にはなぜか勝手に復活。もはや2人は誰にも止められませんでした。


柏木大樹 じどり もはや誰にも止められなくない2人

 気付けばフォロワーが1億を超え、勝手にさまざまなグッズが作られるようになっていた2人。しかしある日、真っ黒な写真を1枚投稿したのを最後に、更新が途絶えます。時を同じくして、メキシコのとある鉱山で天井に突き刺さった2人の女性の遺体が見つかる奇妙な事件が発生。身元は不明でしたが、“あの2人”ではないかという臆測がネットを駆け巡ります。


柏木大樹 じどり 2人は死んでしまったのか……?

 この事件に、いくつかのマスコミが興味を示しました。取材班が2人の遺体を確認しようと安置所へ向かうと、いつの間にか遺体はどこかへ消失。同時に、“あの2人”のアカウントが更新されます。そこに写っていたのは、安置所で今まさに遺体を確認しようとしていたマスコミたちの横で頭から少し血を流しつつ自撮りをしている、“あの2人”の姿でした。


柏木大樹 じどり 遺体はどこへ……?


柏木大樹 じどり !!

 もはや怪奇現象となってしまった2人に、人々は恐怖。皆フォローを外し、2人を追い続けているのは一部の機関や“物好き”だけになっていました。

 そんななか、ある1人の“物好き”が独自の調査によりとうとう2人の正体を突き止めることに成功! ネットに正体を投稿しようと、キーボードをたたきます。……が、次の瞬間、“物好き”の横に、“例の2人”現れ「Smile」の言葉とともに自撮りに一緒に写されてしまいました。同時に、3人はどこかへ消滅。

 それからしばらくして、“例の2人”……いや、“例の3人”はまた新たに自撮り写真を投稿します。そう、3人目は、2人を追い続けていたはずの“物好き”。なぜかその姿は笑顔で、とても楽しそうな表情を浮かべています。まだアカウントの投稿を見続けていた一般人がこの投稿を見て、「……増えてる」と独り言をつぶやいたところで、話は終わり。


柏木大樹 じどり 怖過ぎる

 ……いや怖っ! 幽霊が出るわけでも化け物が出るわけでもないのに、異様な怖さがあります。この漫画にリプライ欄などでは、「SCPかな」「とても引き込まれました」「これは素晴らしい」「かわいいのに怖い」「こんなアカウントあったらずっと見てる」「社会の闇を引き出した名作」といった声が寄せられていました。

 誰が運用しているのかよく分からないSNSアカウントが多数存在する現在、人々が心のどこかに抱えている不気味さをこれでもかと具体的に描きあげた一作でした。……ところであなたがフォローしているそのアカウント、本当に“現実の人間”のものでしょうか……?

画像提供:柏木大樹さん



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