「ハリウッドと銭湯のコラボ」ってなんだよ! 「この映画宣伝がすごい! 2018 ~勝手に日本宣伝アカデミー賞」イベントレポート(2/2 ページ)
- 10位 グレイテスト・ショーマン
- 9位 ダンガル きっと強くなる
- 8位 アントマン&ワスプ
- 7位 ヴェノム
- 6位 ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル
- 5位 ランペイジ 巨獣大乱闘
- 4位 ヴァレリアン 千の惑星の救世主
- 3位 ジオストーム
- 2位 ザ・プレデター
- 1位 ボヘミアン・ラプソディ
詳細はビニールタッキーさんのブログでもあらためて掲載されるということなので、個人的に印象に残ったものを4つご紹介。
第10位 グレイテスト・ショーマン
実在の興行師をヒュー・ジャックマンが演じて大ヒットしたこのミュージカル映画の受賞理由は……ずばり「興業感が強い」。登美丘高校ダンス部によるパフォーマンスなどが確かに話題になっていましたが、タッキーさんが着目したのは別のところでした。
「よしもとの芸人さんが踊りをコピーしているのも“興業”感があったのだが、秋元康さんという本物の興行師に『これは売れますよ』と言わせている。この構図がかなりうまいなと思いました」(ビニールタッキー)
ちなみになぜか、「クラシアン」ともコラボしているらしいです。
「(同じヒュー・ジャックマンでも)ウルヴァリンだと誰もタイアップしてくれないのに!」(杉山)
第7位 ヴェノム
生物の身体に乗り移るスーパーヴィラン(超人的悪役)である「ヴェノム」。マーベル・ユニバースのなかでも凶悪な彼の受賞理由は、「かわいい」。
「日本版ポスターには“最悪”って書いてあるし、最初こわい感じの映画として売られていたんですよ。だけど気がついたら“かわいい”キャラとして認知されていた。公開された後に、お客さんが“かわいい”って言っている反響動画をつくったり」(ビニールタッキー)
「ジェームズ・キャメロン監督の『アバター』では、全身青いキャラクター造形が受け入れられないかも? と懸念されて、逆に見慣れさせるためにプロモーションでどんどん出したらしいんですよね。『ヴェノム』も本国での宣伝よりも、ヴェノム本体をガンガン出して見慣れさせた結果の“かわいい”なのかも。批評サイト『ロッテン・トマト』での評価が悪かったのはしょうがないよね。批評家は“かわいい”なんて褒め方はできないし」(杉山)
来月にディスク発売をひかえたこの2月には、なんと「#ヴェノムにチョコあげる」なるハッシュタグ企画が行われていました。あ、あざとい!
第3位 ジオストーム
気象コントロール衛星が、突如として暴走し、同時多発的に起こる異常気象で世界が大パニックになる映画「ジオストーム」。過去のディザスター・ムービーのハイライトをてんこもりにしたような内容でしたが、宣伝の受賞理由は「なんでもあり」。
「まず吹き替えにブルゾンちえみさんが入り、ジオストームのGとかけて『with Gです』とやっていた時点でぼくの中では盛り上がりました。そして、最年長お天気キャスターの森田さんもイベントに出演。まあ至極当然といえば当然。こんなことって起きますか? と聞かれた森田さんが『難しい』と言ってましたが(笑)」(ビニールタッキー)
なんと、「実力No.1実演販売士」として知られるというレジェンド松下さんによる「ジオストーム宣伝動画」なるものも公式でUPされています。「なんでそこがつながったのか分からない」(杉山)って、本当にその通りです。
つづいてB'zが吹き替え主題歌を歌っているという情報、キャラクター「ぐでたま」とのコラボも行われたという情報も繰り出され、もう胸ヤケがしそうになりましたが、極めつきに紹介されたのが……銭湯とのコラボ!
その名も「地終嵐(ジオストーム)湯」。銭湯メディアで取り上げられるハリウッド映画……。
「浴場にある富士山の絵によく見ると気象衛星が書いてあり、極寒の世界も表現されているんですよ」(ビニールタッキー)
「ぼくも行ったんですけど、結構良かったです。映画自体も前評判よりヒットしていたと感じます。内容も好きだけれど、これだけいろいろやったのがちゃんと響いていた」(杉山)
「ブルゾン、レジェンド松下、B'z、ぐでたま、銭湯……とても1つの映画とは思えないコラボレーションですよね。でもこれだけ節操なくやったときに眉をひそめる人がいない作品というのが、いい温度感だったのかなと」(ビニールタッキー)
第1位 ボヘミアン・ラプソディ
それぞれバラエティに富んだ(富みすぎた)すごい映画宣伝が行われてきたなかで栄えあるグランプリに輝いたのは、伝説的ロックバンド・クイーンのボーカルであるフレディ・マーキュリーの人生を描いた「ボヘミアン・ラプソディ」。その受賞理由は……「リスペクトがある」でした。
「みんなが、フレディとクイーンが好きというのがすごく感じられるプロモーションばかりなんです。例えば来日イベントで鏡開きをしていたんですが、これ、実際のクイーンが最初に来日したときにもやってるものなんです。オマージュなんですよね。ハッピも既製品じゃなくて、しっかりと映画ビジュアルにあわせて作られたきれいなグラデーションで」(ビニールタッキー)
見ると、ハッピの襟には役名と俳優名が両方書いてあり、マスコミへの配慮も効いています。
「あと、この映画でジョン・ディーコン役のジョー・マッゼロさんがすごく好きになって。ロジャー・テイラー役のベン・ハーディーさんが来日できなくてハリボテを一緒に連れていたんですけど、そのハリボテはマッゼロさんが持って帰り、次第にInstagramでツーショットや添い寝している画像をあげていくようになったんです。それを見たベン・ハーディー本人が嫉妬するという流れがあってからの……なんと今日2月9日のInstagramでは、ハリボテとベン・ハーディーさんが一緒に寝ている動画が投稿されたんですよ! 最高でした」(ビニールタッキー)
確かに、これはやば面白い。
細かすぎる「ボヘミアン・ラプソディ」最高ネタが飛び出しまくるなかで、ビニールタッキーさんが強調したのは、キャストのみならず、どのプロモーションに出てくる芸能人にも「ボヘミアン・ラプソディ」への愛が感じられたということ。
「イベントに出てきた芸能人の方がみんな、関係ないスキャンダルとかの話をするのではなくて、この映画自体の感想を楽しそうに語っているのが本当にいい」(ビニールタッキー)
「最初の映画としての評価は高くなかったものが、ファンによってしっかり広がっていっているのがいいよね。映画というのは興行だから“どれだけだますか”のプロモーションになってしまうときもあるんだけど、ボヘミアン・ラプソディのプロモーションはきちんと観客にも向きあっていた」(杉山)
作品にリスペクトをもって行われたプロモーションが結果として、観客に対してのプロモーションと興行収入にもつながりつつ、「面白」感もかもしだしていた……。素晴らしいオチとなった2018年のランキングでした。
「宣伝も含めて映画を愛したい」
中盤では、杉山さんによる「海外での面白映画宣伝」も惜しみなく紹介された本イベント。
「家電量販店のテレビから実際に貞子が出てくる」(リング)
「アリみたいに小さいサイズのティーザー映像」(当然アントマン&ワスプ)
「タクシーに乗ったらいつのまにか異常気象の街についてしまう」(なんでもありなジオストーム)
など、日本での海外映画宣伝も顔負けの面白宣伝がもりだくさんで、帰ってから動画をあさるのに一生懸命になってしまいました。
「こんなひどい宣伝するなら行かないって言う人もいますけど、ぼくはどんな宣伝も『そんなことはないんじゃない?』とひとまず見るようにしています。もちろん映画も観に行ってます。映画を売りたいという気持ちが伝わってくる宣伝のことは、ポジティブに受け止めたい」(ビニールタッキー)
「宣伝に注目していると、映画を見る前から映画のことを考えられて、楽しめる時間が長くなるんですよね。昔のホラー映画なんか、『全米38州で上映禁止!』とか宣伝で嘘ばっかついてたけど(笑)、それも面白かったし。宣伝も含めて映画を愛したいという気持ちを思い出しました」(杉山)
ふたりの「宣伝愛」と「映画愛」がたっぷり伝わってきた2時間。ビニールタッキーさんによるブログ更新も、楽しみにしています!
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