バーチャルYouTuber(VTuber)たちの間でも広く活用されているSNSのTwitter。時にはある話題で短期間のうちに大きな盛り上がりを見せ、その話題に関連したツイートや人物が一躍有名になるということも起こる。所謂「バズる」といわれる現象だ。
そんなTwitterで、今回思いもかけないバズり方で一躍有名になった新人VTuber「斗和キセキ」ちゃんをご存じだろうか。3月1日よりYouTubeデビューした彼女が、今回とある理由で話題となり、一時Twitterトレンドにも乗ることとなった。
その理由が、「彼女が背中に背負っている三角形のオブジェクトが、『ガンダムアストレイレッドフレーム改』に似ている」からというものである。
「斗和キセキ」ちゃんとは
斗和キセキちゃんは、先月末からTwitterデビューし、今月からはYouTubeの動画投稿も開始したVTuber。マルチクリエイターのじーえふ(@grapefruit_uhr)氏がプロデュースを手掛けている。
初投稿動画は「RAINBOW GIRL」をバンド演奏でカバーしたMV。リアルとバーチャルを融合させた、歌詞に合わせた映像は、初投稿ながらかなりのハイクオリティだ。
ガンダムアストレイレッドフレーム改との出会い
そんな彼女が今回話題となったのは、3月4日の上記のツイートが発端になっていると見られる。視聴者からのツイートの「ガンダムアストレイレッドフレーム改」の写真に対しハリセンボンのあの人のようなツッコミを入れている。
ガンダムアストレイレッドフレーム改は、マンガ「機動戦士ガンダムSEED VS ASTRAY」に登場する機体。背中の三角形は、「タクティカルアームズIIL」という武装である。(なおこの武装は変形するので必ずしも三角形では無い)
斗和キセキちゃんが背中に背負っている三角形のオブジェクトが、上記の武装に似ているということでこの機体が話題に上がったようだ。ちなみにキセキちゃんはこの際にガンダムアストレイレッドフレーム改のことを調べたらしく、これが彼女と同機体の出会いといっていいだろう。
「モビルスーツ系VTuber」として話題に Twitterフォロワーは1日で10倍以上、サンライズ公式にも目をつけられる
そんなガンダムアストレイレッドフレーム改に関するツッコミツイートについて、当時の本人としては全く予想していなかった(できるわけがない)だろうが、このツイートが拡散され、斗和キセキちゃんは「モビルスーツ系VTuber」「レッドフレーム改のVTuber化」として話題に。
ガンダムファンの注目を集め、なんとTwitterのフォロワー数は4日時点の3000人から1日で5万人まで上りつめるというとんでもない勢いでバズってしまう(執筆現在は7万人を突破)。
ついにはレッドフレーム改本人(?)扱いまでされてしまい、彼女としてもこのバズり方は大いに不服な様子。そんな中……
なんとまさかのサンライズライツ営業部公式Twitterの目にも留まってしまう。Twitterでは「#towakiseki」及び「レッドフレーム改」がトレンド入りも果たした模様で、まさに破竹の勢いといえる。
影響はTwitter外にも
さらに影響はTwitterだけにとどまらず、ショップ作成サービス「BOOTH」では、斗和キセキちゃんの背中のアレの「3Dモデル」が配布され、このモデルをつけたアバターがVRChatに集結するという展開に発展。
また現在、Amazonで1/100スケールのレッドフレーム改のプラモデルが売り切れ状態になっている。こちらについては直接的に影響したのかは定かでないが、そうだとしたらあまりにも凄すぎる。
ちなみに、「astray」という言葉は「道に迷って、道を外れて」という英単語である。これは運命のいたずらだろうか……。
バズったのは「レッドフレーム改」のおかげだけではない
さて今回、思わぬ形で話題となってしまった彼女だが、今回たまたまレッドフレーム改が引き金となってバズっただけで、そうでなくともいずれ彼女はきっと注目を集めていたのではないだろうか。
彼女のYouTube動画を見てもらえばわかるが、実際のプロレスラーを呼んで「画面を叩き割られずに何分持たせられるか」計るなど、かなりユニークな動画を投稿している。
その企画内容の面白さもちろんだが、より興味深いのは「バーチャル」と「リアル」の垣根を超えた活動を当たり前のようにやっている点だ。これは記事上部の「RAINBOW GIRL」のMVにも表れている。
VTuberといえば基本的にはバーチャルの世界で完結している活動が多い。もちろんそれも悪いことではなく、バーチャルだからこそ良いということもあるのだが、彼女のように常識に囚われない自由なスタイルもまたVTuber界に新たな風を吹き込んでくれるのではないだろうか。
YouTube一本目の動画の、「迂闊に次元超えていこうな」という投稿者コメントには、筆者としては今後の活動への期待が膨らむ思いがしている。「新しい世代を創るバーチャルYouTuber」というキャッチフレーズは伊達ではない。
またそもそも、今回Twitterでこれほど大きく話題となったのは、「彼女がレッドフレーム改に似ていたから」ではなく、「『レッドフレーム改に似ている』と言われた彼女の反応が面白かったから」のように感じる。
視聴者からのネタ振りにわざわざ調べてまでツッコんだりと、律儀に反応を返してくれるのが面白かったからこそ、Twitterで多くのファンを獲得できたというのもあるだろう。
Twitterは、VTuberとしてのキャラクターを動画外でも表現できる場所である。今回の「レッドフレーム改騒動」は、決して偶然だけでなく、斗和キセキちゃん自身の魅力が呼び込んだものでもある。
今は「ガンダムアストレイレッドフレーム改」の印象が大きいのは間違いないが、いずれ「斗和キセキ」という存在がその印象を上書きする個性を発揮していくような、そんな予感がして止まない。彼女の今後の活動、そしてプラモデルの発売日にも大いに注目していきたい。
(文 高橋佑司/編集 花茂未来)
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