「運命の人」をテーマに恋愛模様を描く漫画が切なすぎます。幼少期に知り合った2人は、両思いだったはずなのですが……。
主人公の土田秀は小学校3年生のとき、転校先で席が隣になった女の子、小川るいと仲良しになりました。授業や給食などの班行動も、ことあるごとに一緒。同じ中学に進み、家族ぐるみの付き合いを続け、秀はるいを運命の人だと感じていました。
ともに成長してきた2人は、中学卒業後に別々の進路へ。地元を離れ専修学校に進んだ秀を、るいが手紙で元気づけたり、やがて地元で就職したるいの職場に秀が顔を出したり、親交は続きます。
何年かが経ち、就職を決めた秀の下に、驚きの知らせが届きました。るいが職場で会った男性と結婚し、幸せそうな写真を送ってきたのです。「運命の人だと思っていたのは、“誰かの”運命の人だった!!」と落胆し、彼はすっかりまいってしまいました。
さらに月日が流れ、秀のもとには同窓会の誘いが。おそるおそる顔を出した居酒屋には、昔よりずっときれいになった、るいの姿がありました。
「誰と誰が別れた」「当時あの子が好きだった」などと皆がぶっちゃけて盛り上がるなか、1次会は閉会。2次会との合間に、るいと秀は2人きりになりました。帰りのタクシーを探す間、彼女は「私、結婚するまで、ずっと秀が運命の人だと思ってた」と、急に打ち明けます。
秀も「オレもだ」と応えますが、それ以上話が発展することはなく、るいはタクシーに乗って去っていきました。「運命を信じて疑わなかった僕らは、安心しすぎた。何もしなかった」と、秀のつぶやきがただただ空しく残ります。
その後2人が、連絡をとり合うことはありませんでした。「うっかり運命が動き出さないように、しっかり運命に見捨てられるように」――。秀が残した言葉が、古い恋を潔く諦める決意を示唆して、漫画は幕を閉じます。
作者は「鯖とコーヒー」(関連記事)でも男女の機微を描いて見せた、漫画家の奥香織(@okukaori1124)さん。事故物件に住むお笑い芸人、松原タニシさんの体験を漫画化した『ゼロから始める事故物件生活』を、「やわらかスピリッツ」で連載中です。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 結婚前の女性が昔の恋人と再会……その行方は? ラストが重く刺さる漫画「鯖とコーヒー」
ずしっと来る読後感。 - 芸人が番組の企画で事故物件に住んだら…… 恐怖体験描く漫画『ゼロから始める事故物件生活』書籍化
事故物件に住み続けられるメンタルの強さがすごい……。 - 「試しに抱いてみます? ほれほれ」 自分アピールが不器用すぎる後輩女子漫画にニヤニヤが止まらない
いろいろ心内を想像して応援したくなるかわいい後輩ちゃんです。 - 夕飯作るとき「ハデにぶちかまそうぜ」とハイタッチ “アメリカンなノリ”に付き合える新婚夫婦の4コマがやれやれ、尊いな
こんな相手と結婚したい……! - 仕事が間に合わない→非常ベル押して「騒ぎのうちに早く!」 OLが猟奇的な同僚に振り回される『耐え子の日常』−同僚編−
SNSで人気のギャグ漫画「耐え子の日常」、2巻発売を記念してねとらぼで出張連載。第4回は「猟奇的な同僚」編。