日本には「春分の日」と「秋分の日」という祝日がある。春分・秋分は二十四節気に含まれ、昼と夜の長さがほとんど等しくなる日である。
春分・秋分に対応する夏冬の節気といえば、夏至・冬至。夏至は昼の長さが、冬至は夜の長さがそれぞれ一年で一番長くなる。
ところが、「夏至の日」「冬至の日」は祝日ではない。夏至がくる6月には今のところ祝日はないし、祝日にしちゃえばいいのに……。
そもそもなぜ「春分」と「秋分」は祝日なのか、この謎が分かれば、夏至と冬至が祝日にならない理由も分かる。
春分の日の前後は「春の彼岸」
春分の日が祝日になった経緯
春分の日・秋分の日が祝日になった経緯をたどってみよう。
この2つの祝日は、現在日本の祝日を法的に規定している「国民の祝日に関する法律」が制定された1948年当初から存在する。さらに昔にさかのぼれば、春分の日・秋分の日という祝日は、1927年に制定された「休日ニ関スル件」に規定されていた「春季皇霊祭・秋季皇霊祭」が改称されたもの。
では、春分と秋分が祝日になるきっかけだった、春季皇霊祭・秋季皇霊祭とは何だろう。
天皇を祀る儀式「皇霊祭」
皇霊祭とは、歴代の天皇・皇后の霊を祀る儀式のこと。この儀式は彼岸に由来するもので、私たちが彼岸の墓参りをするのと基本的には同じである。
墓参りなどをして先祖を祀る「彼岸」は、春分の日・秋分の日の前後各3日を合わせた各7日間、すなわち1年で14日間のことをいう。
皇霊祭は、宮中行事の中でも特別に大きいものとして祝日となった。宮中の祭が由来の祝日、という点ではもともと「新嘗祭(にいなめさい)」であった「勤労感謝の日」が近いだろう。
結論、夏至と冬至を祝日にする理由がない
つまり、彼岸という古くからの風習が、宮中で大きい行事となって祝日に指定されたものが、法律の改正で春分の日・秋分の日という名前になった……というのが真相。夏至と冬至にはそのような行事がないので、祝日にはならなかった。決して夏と冬だけがハブられている訳ではないのだ。
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