腹ペコへ、ホルモンの“マシマシ”な思い
―― ホルモンはサブスクで配信しないんですか?
亮君: サブスクでも面白い形で配信できるなら、いつか置いてもいいかなとは思ってはいるんですけど。スマホも普及しているし、そっちの方が便利で、自分たちの音楽が広がる可能性があることも理解していますし。ただ、僕はパッケージや歌詞カードのアートワークを含めて音楽の一つだと思っているので、曲だけを配信する形にはしたくない。そのうち、音と融合するスマホでしか味わえないカルチャーというか、新しい音楽のアートワークがアウトプットできるのならバンバン出したいです。ゲームをクリアしなければ音楽が聴けないとかまたやっちゃいそうですけど(笑)。
―― ゲームをクリアしなければ鑑賞できないという“狂気の視聴システム”なDVDが過去ありましたね……。
亮君: 「Deka Vs Deka 〜デカ対デカ〜」(2015年発売)ですね(笑)。あれは映画1本作れるくらいの予算がかかっちゃって……。ふざけた発想ですけど、ああいうのを作るのも僕の本気の夢だったし、あれもロックの表現の一つと本気で思っているので絶対に完成させたくて、「予算足りないなら、僕出します!」ってなかば半ギレで1000万円自腹で払って、僕のわがまま通させてもらい、バンドの新しいクリエティブの表現ができたと思ってます。結果、ONE OK ROCKやSEKAI NO OWARIのライブDVDよりも売れましたからね(笑)。1000万円が無駄にならなくてホッとしました(笑)。
―― 発想が独自路線を突っ走っていますよね。新作も特典マシマシですし、これで2292円-痛風苦痛価格-(税抜)、安いのにお腹いっぱいって感じです。
亮君: 製造単価考えると、レコード会社泣かせの低価格なんですが、僕はこれでも高いって文句出るんじゃないかと心配だったんです。これだけデザインにこだわったところで、買う側からすれば「パッケージなんてどうでもいい、曲だけ聞きてえんだよ」という音楽だけを求めているファンも少なくないと思うんです。それはまっとうな意見だと思いますけど、僕的にはそういうホルモンに音楽だけを求めているファンってヤリたいだけのカラダ目的の男と同じだと思うようにしてます(笑)。バンドはもちろん音楽が一番大事ですけど、音楽以外の要素全て含めてホルモンのロックだと思ってますので。寝起きの口臭含めて愛してくれるファンを育てたい(笑)。いろんな意味で楽しませて満足させたいという思いがあります。でも、握手券や写真集みたいなの無理やり入れるような、アイドル商法は嫌だし、価格も高いコレクターズアイテムにもしたくなかった。定価を上げずに付加価値を増やすか、こうなったらアイデアで戦うしかないなと。それがあの特典たちでしたね。
―― ホルモンが復活した際に行われるライブのチケットを購入する権利が当たる「先行リザーブチケット抽選券」や「グッズがすぐに売り切れて買えない」という声に応えるためオープンした「ONLINE SHOPプラチナVIPラウンジ入場チケット」はバンドのCD特典として分かりますが、飲食店で特別サービスが受けられる「腹ペコえこひいきグルメクーポン」は聞いたことがないです。
亮君: 商品自体に特典をつけるんじゃなくて、むしろファン同士でなんかやってください、お願いしますという、ずうずうしい発想からきてます(笑)。飲食店をやっている腹ペコは同封の「腹ペコ宣言ステッカー」を店の前に貼れば、ホルモン好きなお客さんが集まるし、お客さんからしたらその店を知らなかったとしても「この店ホルモン好きなのか、じゃあ行こうかな」と入るきっかけになるし、えこひいきサービスも受けられる。
さらに店側には集まったクーポンの数で非売品のポスターやホルモンのサインがもらえたり、腹ペコ優良店としてステッカーの星が増えたりと特典があって、星10個の店が出てきたら、その店の食券でしかホルモンのライブチケットが買えないとかにしたろうかなとかいろいろ考えてます。
サービスを受けられる店は「腹ペコえこひいき.com」というサイトから検索できるんですが、実はそのサイトに公式登録していない風俗店まであるらしくて(笑)。どんなえこひいきサービスが受けられるんだろう?(笑)。
―― ちょっと気になるな……。
これからは僕らのパンチが届かない人に“同じ味”を“違う形”で届けたい
―― 最近ではフランチャイズ制を導入しましたね。ホルモン2号店、斬新すぎます。
亮君: 僕、いつもラーメン二郎でものを例えるんですけど、ラーメン二郎って、わざわざ広告でCMを打ったり、町歩く人に試食キャンペーンなんかも絶対にしない。それでも、あの味が好きな人が集まるじゃないですか。アレが本来理想。でも、絶対、まだ未体験でも食わず嫌いなだけで、食べてみたら意外と好きな味だったっていう人がいると思うんですよ。それと同じで、ホルモンの曲を聞いたことなかった人が何かのきっかけで聞いてみたらこの音楽にドンピシャにハマったり、僕と価値観が同じ人はまだまだ隠れていると思うんです。
僕はそれを信じていて、そういう人たちを探したいっていう挑戦とロマンがあるんです。だけど、そういう人たちに振り向いてもらうために、無理に活動を変えたり、味を薄めてまで食べてもらおうとは思わないし、そんな時間もない。だから僕らは音楽性も活動のスタンスは変えず、今まで通りマイペースな活動はしつつ、違う層へのアプローチは2号店に任せたいなと。僕らのパンチが届かない人に“同じコッテリの味”を“違う形”で届けてくれたらいいなと思っていて、それで今回のフランチャイズ制という発想にたどり着きました。
それって早い話カヴァーソングとか、モーニング娘。の第○期とか、三代目 J SOUL BROTHERSとかと同じと思われそうなんですけど、それとは違う形で、僕らがまだ出会ってないいろんなシーンの人間に2号店経由でホルモンの音楽を食べてもらえたらと思っています。
―― ホルモンは20年以上活動していて、ファンも多く、ロック界をけん引するバンドと言っても過言じゃないくらいの人気バンドだと思いますが、こうして書籍という新しい形で売り出したり、マシマシな特典だったり、フランチャイズ制だったり、ハングリー精神旺盛に独特なアプローチをし続ける理由の根源ってなんなのでしょう。
亮君: 僕はいつも自分の好きなことをピュアにやっているだけなんです。核になってる部分は、僕の中に、もう一人“中学生の自分”がいるんですけど、そいつがいつも「ファンの意見なんか無視しろ」って言ってきたと思ったら「自己満になるな!ちゃんとファンをエンタメに満足させろ」とか、矛盾していろんな角度から文句を言ってくるんです(笑)。だから、いつもそのもう1人の自分を喜ばすことが一番楽しみなんです。
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ついにホルモンが帰ってくる。