毎春恒例ドラえもん映画の最新作「映画ドラえもん のび太の新恐竜」(2020年3月6日公開)の主題歌をMr.Children(以下、ミスチル)が担当することが発表されました。
「のび太の新恐竜」は声優陣を一新してからのドラえもん映画としては15作目にあたり、脚本を「映画ドラえもん のび太の宝島」(2018年)と同じく川村元気さんが担当します。11月19日に映画の公式サイトなどで主題歌のニュースが同時に発表されるや、「早く聞きたい!」「エンディングで泣くな、多分」と、ネット上で大きな反響を呼びました。
ミスチルは1992年のメジャーデビュー以降、さまざまなCMやテレビドラマ、実写映画のタイアップ曲を手掛けてきましたが、意外にもアニメ映画に関わるのは「ONE PIECE FILM STRONG WORLD」(2009年)、「バケモノの子」(2015年)に続いて5年ぶり3度目。ミスチルのファンからは「ドラえもんとは一生縁がないと思っていた」という声も出ています。
【訂正:2019年11月20日11時20分 初出で「ミスチルの公式Twitterアカウントで発表された」と記述しましたが、非公式アカウントによるツイートでした。おわびして訂正いたします。】
主題歌を担当するにあたり、ミスチルのメンバー桜井和寿さんのコメントが発表されましたが、ドラえもんと初めて出会った小学生のころに思いをはせつつ「ドラえもん50周年、そして僕も50歳となる年に、運命の再会ができた事に心から感謝です」と、50歳の節目に50周年を迎えるドラえもんとの再会に喜びを語っています。
Mr.Children 桜井和寿コメント全文
ハッキリと覚えている。
小学4年生の時、両親が僕にドラえもんを買ってきてくれた。
家に帰り、自分の部屋のベットに寝転ぶと、頭上にある小さな棚に1巻から5巻がきれいに並んで置かれていた。
そしてそれを僕は複雑な思いで受け取った。
なぜなら、当時僕は勉強を全くしない子供だった。宿題なんかした事がない。漢字も書けなければ、読書もした事がなかった。当然、通知表に刻まれる数字は体育以外は1と2で埋まった。
それを見兼ねた両親はきっと「しっかり勉強しなさい」そう言いたかっただろう。
でも、そう言ったところで、素直に勉強するはずがない事をわかっていて、「宿題しなさい」でも、「読書しなさい」でもなく、「まずはここから始めましょうね。はい、ドラえもん」そんな気持ちで買ってきたのだろう。
そして、その複雑な親の心情を子供ながらにキャッチした僕は、逃げ場をなくした気持ちになって、しばらく読みも開きもせず、並んだ背表紙の1から5の数字を眺めていた。
警戒心の強い猫にオモチャを与えた時のそれのように、僕は3日後くらいにドラえもんを恐る恐る開き、その後、我を忘れ夢中で読みふけった。
僕にとってはじめての読書。はじめて好きになった本。はじめて感動で泣いた本。
それ以来、背表紙の数字は増えていき、棚に入りきらないくらいのドラえもんが並んだ。中2の夏に音楽と出会うまで。
本当はその後も、僕の人格形成に関わるドラえもんとのエピソードがあるのですが、長くなるのでこの辺でやめておきます。
ドラえもん50周年、そして僕も50歳となる年に、運命の再会ができた事に心から感謝です。
のび太にとってのドラえもんのように、「ドラえもんという存在が、ストーリーが、プロジェクトそのもの」が、弱く情けない自分に寄り添ってくれているのだと、改めて噛み締めながら、音楽でドラえもんに携わらせてもらいました。
絶対観てくださいね。
聴いてくださいね。
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