ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(11月25日放送)にジャーナリストの須田慎一郎が出演。所有者不明の土地の使用者に固定資産税を課税するための地方税法の改正について解説した。
所有者不明の土地
土地の所有者に課す固定資産税について、所有者がわからない場合でも、その土地で居住や商売をしている使用者に課税できるよう、政府与党が地方税法を改正する方向で検討していることがわかった。所有者不明の土地に住むなどして使っているケースなどがあり、固定資産税を払わずに土地が使用できるという不公平な現状を放置できなくなった。
飯田)所有者不明の土地は、いろいろなところで問題になりますが、税金の面でも出て来ました。
須田)本来得られるべき固定資産税が入らないということが問題なのです。地方自治体の税収、税金に関して言うと、直接入って来るトップが住民税です。2位が実は固定資産税、3位がたばこ税です。地方にとって固定資産税はひも付きではありませんから、入ったお金は自由に使えるということですが、これがどんどん先細りになって来ると、地方財政に大きな影響を及ぼすことになります。これをどうしたらいいのかという問題が、多くの地方から寄せられていたという経緯があります。その1つに相続の問題があります。相続の際に相続税が高くて払えない、或いは相続するバランスを考えて、相続しない方が金銭的な負担が少ないということで、相続放棄になるケースが多いのです。しかし、放棄したのだから明け渡すかというとそうではなくて、そこに住み続ける、そこを利用し続けるというケースも出ています。実質的な所有者的存在なのだから、相続放棄しているが故に固定資産税を払わないというのは、どう考えても不公平だろうと。そういうところで出ている議論です。
飯田)これは、いまその土地を使っている人の現状に合わせる形になりますね。
須田)使っている人が実質的な所有者なのだから、その人たちに払ってもらおうと。これは合理的な考え方だと思います。
戦後の混乱で登記簿と相違してしまっている土地の問題
須田)そしてもう1点あります。面積としてはそれほど大きくないのですが、戦後の混乱期に、もともとの所有者に断ることなく勝手に住んでしまっている場合や、本来の不動産登記簿とは違ったところに住んでしまっている場合の問題です。日本の不動産の所有権は登記簿ベースなのですが、その登記簿上で所有している土地を表す、地図のような公図というものがあり、それをベースに課税されているわけです。ところが戦後の混乱期で、本来ならば公図上の土地の上に住んでいなくては、或いは商売をやっていなくてはいけないのに、ずれてしまっているケースがある。これをどうするのか。そのうち所有者自身も亡くなって、それもわからなくなるという状況があります。そのために一旦リセットする必要がある。一方で、紙ベースの登記システムも電子化へ移行するに当たり、そこをきちんと整理する必要があるのですね。
飯田)災害が起こった後の復興でも、所有者が誰かわからず、進まないというケースもありますものね。
須田)勝手に利用するわけには行かないですからね。
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