【うっかりおうちで死にかけた】忙し過ぎてトイレに行かなかったら、真夏に猛烈な寒気を感じて意識がなくなった……というお話(1/2 ページ)
病名は「腎盂腎炎(じんうじんえん)からの敗血症」だったそうです。
ねとらぼ読者から自宅で起こった危険な出来事をインタビューする企画「うっかりおうちで死にかけた」。今回は「忙し過ぎてトイレに行かなかったら敗血症で死にかけた」というお話を伺いました。
連載:うっかりおうちで死にかけた
我が家は落ち着く、心が安らぐ場所―― そんなイメージに反して、時には自宅でも命に関わるような危険な事故が起こることが。ただ日々過ごす場所だけあって、どんな危険があるのか気付きにくいもの。そこで「うっかりおうちで死にかけた体験談」を募集して、いろいろな人からいろいろ聞いてみよう、という企画です。
真夏の昼間なのに「あまりの寒さに全身がガタガタ震えていました」
真夏の昼間に猛烈な寒気を感じ震えが止まらなくなり、押入れから冬用の毛布を引っ張りだそうとしたら力が入らず、押入れに上半身を突っ込んだまま意識消失。救急外来で診てもらったところ、「発見が遅かったら死んでいた」と言われたことがあります。
―― 一体、何が起こったんです?
2010年7月のある日、大学4年生だった私は自宅で卒業論文の研究データをまとめている最中に寒気を感じました。ガンガンに効かせていた冷房を止めても、寒気は収まるどころか次第に増していきました。「おかしいな?」とも思ったのですが、研究のことで頭がいっぱいで、取りあえず長袖を着込みました。
そのうち、手が震えてきてキーボードも打てなくなり、「こりゃイカン!」と外出していた母へ連絡。帰りを待っているあいだ(20分間ぐらい?)も、あまりの寒さに全身がガタガタ震えていました。意識が朦朧(もうろう)としながらも暖かいものを求めて押入れから冬用布団を引っ張りだそうとしたのですが、引っ張る力が入らず面倒臭くなり、布団に上半身を突っ込んだ後、意識がなくなりました。
―― 夏の話とは思えない、明らかにヤバい状況が続きますね。
帰宅した母に全身を揺さぶられて意識が戻ったのですが、気持ち悪くなり布団へ嘔吐(おうと)。その後も気持ち悪さと寒気と全身の震えが止まらず、総合病院の救急外来へ車で連れて行ってもらいました。
尿検査と血液検査の結果、菌が出てきたこと、それから、背中の腎臓のあるところに痛みがあったことから「腎盂腎炎(じんうじんえん)からの敗血症」と病名がつきました。
編集部注:敗血症について
日本集中治療医学会らによる情報サイト「敗血症.com」によれば、敗血症とは「感染症により臓器の障害が起こっている状態」「(感染症に対する体の)防御反応がコントロールできなくなり、自分自身の体の臓器(心臓、肺、腎臓など)が障害を受ける」。日本国内で1年間に、推定約10万人が亡くなっているという。
原因となる感染症は多種多様だが、腎盂腎炎は啓発パンフレットにも原因例の1つとして掲載されている。杏林大学医学部付属病院によると、この感染症は「腎盂内(腎臓内の尿のたまるところ)で細菌が繁殖し腎臓にまで炎症が及んだもの」。本記事の以降の話にも関連するが、予防法の1つとして「水分を適切にとって、膀胱に尿を溜めこまないうちに排尿する」ことが紹介されている。
―― 敗血症になった原因は?
当時は就職難でなかなか就職先が見つからず、私は就活と卒論を同時進行でやっていました。その多忙さから水分を取らなくなって、トイレに行く回数が減る→尿路に入った菌が腎臓までさかのぼり繁殖して、腎盂腎炎になる→腎臓から血液に細菌が入り込んで敗血症になったようです。
治療のために2週間くらい入院しているあいだも40度前後の高熱が続き、寒気がひどく電気毛布+毛布で過ごしていました。後遺症などはありませんでしたが、退院後も1カ月間は全身がひどくだるく、寝っぱなし。その間、研究も就活もストップしてしまいました。
―― 病気はもちろんですが、そっちのダメージもキツいですね……。
その後、何とか採用をもらい、卒論提出もできましたが、あの出来事以来、常に500ミリのペットボトルを持ち歩いて水分摂取し、どんなに忙しいときでもトイレには行くようになりました。
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