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庭で遊びたい小学生 VS 絶対に生えてくる雑草 4年間の戦いをまとめた自由研究「雑草全滅大作戦」が一大スペクタクル

ナウシカを思わせる壮大なラスト。

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 庭で花火を楽しむために雑草と戦う小学生。塩水をまいたり、除草シートを使ったり、4年間の攻防を経て、最後は地面を踏み固め続けることに――。

 とある姉弟が長年取り組んでいる自由研究「雑草全滅大作戦」が大スペクタクルだと春ごろ反響を呼びました(関連記事)。

 姉はすでに中学生となり、弟も今年度で卒業。ラストチャンスとなった2020年夏、たどり着いた結末は……?


雑草全滅大作戦雑草全滅大作戦 4年目となる2020年は、地面を踏む作戦を採用。7カ月以上踏み続けた結果、庭はどうなったのか?

 Twitterユーザーのぺこ(@peco3575)さんの長女と長男が、夏休みの自由研究を兼ねて除草を始めたのは2017年のこと。庭で遊びたい一心で、塩水や除草シートなど、毎年試行錯誤を重ねてきました。しかしどれもうまくいかず、レポートは毎回「自然の力には勝てない。今のところ、自分たちの力で草を抜くしかない」と結ぶはめになったといいます。


雑草全滅大作戦 挑戦する以前の庭。足下が見えないほど雑草が……(画像は編集部で適宜ぼかし等をかけています)

雑草全滅大作戦 毎度、悲しいながらも含蓄のある言葉で結ばれるレポート

 長女が中学に上がり、長男が単独で臨むこととなった3年目(2019年)も、結果は例年と同じく失敗に。それでも彼はこのとき、「土が固いと雑草が生えにくくなる」可能性に気付きました。この知見を生かして、4年目は人為的に土を固くしようと、踏み固める作戦を採用。彼自身もまもなく小学校を卒業するため、挑戦も最後になるだろうと、研究は万全を期して冬(2020年1月5日)からスタートしました。

 「土踏み」の効果を確かめる対照実験として、庭の半分のみを毎日欠かさず歩き回ることに。もう半分は何もせず放置します。2カ月ほど経ったころ、歩き回った側だけがほぼさら地になり、放置した側には草が生い茂るという、明白な効果が現れました。この結果を当時ぺこさんがツイートで紹介したところ、大きな注目を集め、農家からも「発芽して根がつく前に草を殺す有効な除草法」と評価されています。


雑草全滅大作戦雑草全滅大作戦 赤線の手前だけ踏み続けたところ、奥との差が明白に


 春が訪れて暖かくなり、植物の成長が盛んになっても「土踏み」の効果は継続。緊急事態宣言に伴う休校により、実験はますます捗ったようです。しかし、敵ながらさすがと言うべきか、踏んでいないエリアは草ぼうぼう。夏にはどうなることやらと、家族を震えさせます。


雑草全滅大作戦 3月14日、仕切り前後の差がより激しく

雑草全滅大作戦 4月22日、手前側の除草はうまくいっているものの、奥はかなり茂っている

 そんな不安は的中し、5月には雑草が急成長。踏んでいる側にまで芽吹き始めてしまいました。6月になって休校が解けると、実験に使える時間も少なくなり、庭はじわじわと草に浸食されていきます。やはり人類は自然にあらがえないのか……?


雑草全滅大作戦雑草全滅大作戦 5月8日、踏んだ側にも発芽。5月24日になると、家の壁とのキワなど歩きにくい部分では普通に伸びている

雑草全滅大作戦 自粛解除後の6月4日。雑草の進撃に、ウォールマリアが破られたような絶望感

 長い梅雨が訪れ、雨や蚊に悩まされながらも長男は奮闘。雑草の反抗をある程度しりぞけます。


雑草全滅大作戦 6月11日、雨の夜も実験は続く

雑草全滅大作戦 7月15日、実験のなかで体力をつけ、元気に踏み続けた結果、人類の居場所が復活した

 そして夏休み。長きに渡る実験もいよいよ大詰めです。長男は最後の仕上げとして、「途中で踏むのを止めたらどうなるか」を検証するため、「踏まないエリア」を増やしました。すると約3週間で、放置されたエリアには草が繁殖。元の木阿弥になってしまいましたが、「踏む効果」自体は証明されたといえるでしょう。


雑草全滅大作戦 7月29日、これまで踏んできた手前側を分割し、左側を「踏まないエリア」に

雑草全滅大作戦 3週間ほど経過した夏休みの終わりごろには、もう左側に茂みが

 ただ、研究の成果は見えたものの、「踏み続けない限りは生える」雑草のたくましさに感じ入るところがあったのか、考察は「“雑草”かどうかを決めるのは、いつだって人間の心」と、哲学の領域へ。レポートは「今まで雑草と戦ってきたのが間違いだった。これからは雑草と共存していくことを決めた」と、壮大な結論で締めくくられました。


雑草全滅大作戦 「風の谷のナウシカ」を想起すらさせる、壮大なエンディング

 今後は雑草を生やしたままにし、必要に応じて草むしりをするとのこと。レポートの末尾には「今までゴメンね」と、優しい言葉が添えられました。

 こうして完結を迎えた研究の4年間について、ねとらぼ編集部はぺこさん家族を取材しました。


雑草の知識と体力がついた有意義な4年間

―― 長期間の研究で、親子ともに大変だったと思います。お子さんの心が折れるようなことはありませんでしたか?

ぺこ 私から見て、心折れている姿は見たことがありません。どちらかといえば、写真係の私が折れそうでした(笑)。寒い日も暑い日も外へ出ることへの抵抗感、蚊との戦い、全て心折れていたのは私だけです(笑)。息子はひたすらやる気まんまんでした。

―― 4年間さまざまな方法で除草を実践されていますが、全てお子さんのアイデアですか?

ぺこ そうです。主に長女の提案が多く、それに長男が賛同し、親が「まぁがんばりん」と見守る感じです。自分たちで決めたことなので、あまり私から口出しできず、たまにヤキモキしていました(笑)。

 例えば2年目に防草シートを使ったとき、「もっと全面に広げないとー!」と思っていましたが、子どもらが真剣にやっていたので黙りました。逆にアドバイスを求められれば意見を言いましたが、ほとんど子どもたちの考えで進行していたので、楽といえば楽でした。

―― 当初の目的は「庭での花火」でしたが、実現したときのお子さんの反応は?

ぺこ とにかく楽しそうでした。テレビ番組の「スッキリ」で取り上げられたときに加藤浩次さんが勧めてくれた「ドラゴン」(関連記事)を遊びました。子どもたちは初めてのドラゴンにかなりはしゃいでいました!

―― レポートのまとめでは、どこに注力していましたか?

ぺこ とにかく全ページに力を注いでいて、特に挿し絵にはこだわりがあるそうです。毎年絵柄が変わっているので、親としてはそこも成長したなぁ、変化したなぁと。全40ページほどで、写真は300枚を超えています。

―― まとめるにあたって苦労されていた点があれば教えてください

ぺこ 「雑草学」という分野まで踏み込んでいて、資料から重要な部分を抜粋するのに苦労していたようです。大人ですら苦労しました。奥が深すぎて(笑)。

―― 研究は「雑草と共存」という結論に至りましたが、今後は庭をどのような方針で維持されるのでしょうか?

ぺこ 庭は今まで通り、私のストレス発散としての草抜きで維持していきます。特に庭を使わない場合は、息子がレポートに書いた通り、そのまま生えていてもらいます。

―― 長い実験を振り返っての、お子さんの感想を聞かせてください。また、次なる計画などありますか?

ぺこ 雑草の知識はもちろんですが、体力がついたことに、本人かなり喜んでいます。実験では3重跳びや逆立ち移動などもしていて、筋肉が付きまくりました! 思わぬ副産物です。次はとりあえず、普通の勉強をがんばるそうです(笑)。

画像提供/取材協力:ぺこ(@peco3575)さん


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