「ここまでしなくても」からにじみ出るスゴ味と狂気 バンダイ「1/1 カップヌードル」作ってみて分かったこと
見慣れたものを再認識させる、プラモデルの力技。
バンダイのプラモデルシリーズであるBEST HIT CHRONICLEの最新作として、「1/1 カップヌードル」が発売となりました(関連記事)。商品名のとおり、日清のカップヌードルを現物と同じサイズでプラモデル化したキットです。とにかくこのキット、誰が見ても「よく分かんないけど、なんかすごいことをやっているんだな、バンダイ……」というのが読み取れ、そして見慣れたものを異化するプラモデルのパワーをプレゼンする、格好の素材となっています。
BEST HIT CHRONICLEは、バンダイが他企業とコラボレーションして送り出すプラモデルシリーズ。題材となるのは「世の中に革新を与えたヒット商品」であり、有名な商品を分解してプラモデル化することで、その商品の仕組みや魅力を改めて知ることができるというシリーズです。これまでに、2/5スケールのプレイステーション、同じく2/5スケールのセガサターンを発売し、今回の1/1 カップヌードルは第3弾の商品となります。
箱のサイズは思いのほか大ぶり。「1/144の大型モビルスーツのプラモかな?」という大きさです。早速開けてみると、中にはマジでバラバラになったカップヌードルの部品が。層状に重なった構造のメンはブロック状の中心部の上にもう一層薄い表面パーツを重ねることで、固まったメンらしい陰影と立体感を再現しています。実質2層構造なので、メンの部品だけで10個もあります。
また、カップヌードルの具材である卵、エビ、謎肉はそれぞれプラスチック製の部品が入っています。おそらく現物をスキャンしたのであろうパーツは妙に生々しく、普段機械っぽい部品が規則的についているのを見慣れている「プラモデルのランナー」に、むき出しのエビがそのままくっついているのはなかなかの違和感。ちなみにネギは薄い緑色のシートをハサミで切って散らすことで再現します。
カップ側もなかなか強烈です。カップヌードルのパッケージの上下には規則的に並んだ金色の模様と赤いラインが入っていますが、これをシールを使わずに再現。歯車のように並んだ白とゴールドの出っ張りを噛み合わせると、カップの上下の模様が作れるようになっています。またカップヌードルのロゴも完全にプラスチック製の部品だけで作成可能。白い部分と赤い部分が別パーツになっており、赤い土台に白い部分を取り付けることで、見慣れたあのロゴが完成します。また、カップ側面の注意書きや栄養成分表示なども、全てパーツに彫刻を入れることで再現されています。
このカップの組み立て工程、もはや現物のカップヌードルとは全く関係ないものになっており、金色の模様や「CUP NOODLE」のロゴを再現する作業は思ったより繊細で正直めんどくさい。しかも現物の構造(スチロールのカップに文字やロゴが印刷されている)とはもう1ミリも関係ない工程を踏むので、異常に生真面目な部品と相まって「これって何をやらされているんだろう」「ここまでしなくてもいいんじゃないか……」という気持ちにさせられます。
この「ここまでしなくてもいいじゃん」という気持ちこそが、このキットの最大のキモです。そもそも「カップヌードルをプラモデルにする」というアイデア自体も「なんで?」と疑問が湧いてくるようなものですが、そのアイデアに正面から取り組み、もはや現物と何も関係ない組み立て方法を取ることによって、アイデア自体の特異性や「そもそも、なぜこんなことを?」という気持ちはさらに際立ちます。このキットは、いかにしてお客さんの心に「こんなよくわからないことのために、ここまでしなくても……」という気持ちを湧き立たせるか、という勝負を仕掛けているように思います。
そのためにバンダイが取らなくてはならないのは、このプラモデルを手に取った誰しもに「なんかよくわからないけどすごいことをやっている」という点を読み取らせるジェスチャーでした。
実際のところ、1/1 カップヌードルのためにバンダイはずいぶん面倒なことをやっているように見えます。カップ上下の模様を再現するためにはリング状の部品を何個も別で成形する必要がある(成形の回数が多いということは型や製造に関するリソースがそれだけ多く必要ということであり、普通なら避けたい)し、カップのロゴだって全部パーツにせず、シールをベタッと貼ってしまえばそれで終わりです。しかしそれでは「カップヌードルを真面目にプラモデルにする」という行為から逃げた印象を与えてしまう。だからこそバンダイはロゴやカップの模様をバラバラにして誰でも組み立てられるパーツにし、買った人にそれなりに手間をかけさせながら組み立てさせるという面倒なルートを選んだのではないでしょうか。
![](https://image.itmedia.co.jp/nl/articles/2009/20/shigeru_200920cupnoodle29.jpg)
「なんかよく分からないけど、すごく面倒くさそうなことをやっていることは読み取れる」という点は、このキットに迫力やすごみのようなものを持たせているように思います。真面目にカップラーメンをリスペクトして「カップラーメンをプラモデルにする」ということの意味をちゃんと考えたぞ、やれることは全部やったぞという説得力が、パーツから伝わってくるようです。
実際自分も「なんだこれ……」「ここまでやらなくても……」と思いながら組み立てたのですが、やっているうちに「そういえば、カップラーメンのロゴや各種の表示を、こんなにまじまじと見たことないな……」という気持ちになりました。例えばカップに印刷されているカタカナの「カップヌードル」のロゴでは、「ド」の字が他と比べて小さいとか、「CUP NOODLE」の文字も「L」と「E」がつながっているとか、そういうところにはこのプラモデルを組んでいなかったら気がつかなかったと思います。バラバラの部品に解体されたものをもう一度自分の手で組み立てることで、見慣れたものの見慣れていないポイントが浮き上がってくる。プラモデルのそんな力を、このキットは改めて思い知らせてくれます。
ここ最近のバンダイは小学館の学年誌の付録として恐竜の骨格のプラモデルを作ったりするなど、BEST HIT CHRONICLE以外にも従来とは異なる商品をポツポツと発表しています。この恐竜の骨格プラモでも、よく写真で見るティラノサウルスの骨を自分で組み立てることで「恐竜の胴体って真ん中にすげえ空洞が空いてるな~」みたいなところに気付けました。この調子でバンダイがこの世の森羅万象を全部プラモデルにしてくれれば、もっとさまざまなことに気付く機会が増えるんじゃないかな~と思います。というわけでまずは皆さんも、見慣れたカップヌードルをプラモデルでマジマジと見直すツアーに出かけてみてはいかがでしょうか。
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