施設内に置いていた『鬼滅の刃』20冊がなくなっていたとして、Twitterで自主的な返却を訴えていた山口県の温浴施設「おんせんの森」が(関連記事)、10月15日、スタッフブログを更新し(1・2)、なくなっていた『鬼滅の刃』が無事返却されたことを報告しました。
ブログによると、当該の『鬼滅の刃』は段ボールで10月13日に郵送されてきたとのこと。段ボールには差出人からの手紙も入っており、「この度は大変ご迷惑をお掛けしました。返せば済む話ではありませんが、先ずはお返し致します」「読み終わったら返そうと思っていた矢先に大事になっており、怖くて返せなくなっておりました」など、反省の言葉もつづられていたそうです。
編集部ではあらためて施設の担当者にお話をうかがいました。
―― 差出人とはその後お話をされたりしたのでしょうか。
担当者:私は直接話はしなかったのですが、12日に一度電話があり、スタッフが受けていたそうです。電話では「本当に申し訳ございませんでした」「反省しています」とおっしゃっていたそうで、こちらとしても当初から「間違って持って帰ってしまったという人はコソっと元に戻しておいてほしい」という姿勢でしたので、特にそれ以上詮索したりはしませんでした。
―― 警察には言わず、自主的な返却を呼びかけたことについて、ネット上では賛否いろいろな意見がありました。今振り返ってみてどう思いますか。
担当者:紛失に気付いてからもう何週間もたっており、まさか戻ってくるとは思っていませんでした。地域だけでなく、全国のみなさんも思いを重ねてくださって、それが届いたのかなと思います。Twitterはときに凶器にもなりますが、無限の可能性があるとも感じました。
―― 『鬼滅の刃』を持って返ってしまった人について、今はどのように思っていますか。
担当者:これだけの反響があったら、私ならきっと怖くて逃げてしまっていたと思います。今の状況で返却するのは大変な勇気がいることですし、スタッフによれば電話越しの声は震えていたそうです。いろんな人のツイートを見て考えを改めてくださったのか、それとももしかしたら『鬼滅の刃』を読んで、炭治郎のまっとうな生き方に何か感じるものがあったのか……。本当のところはもちろん分かりませんが、しっかりと反省してくださったのは間違いないと思っています。
施設のブログでは今回の騒動について、SNSの可能性を感じた一方で、差出人にもきっとつらい思いをさせてしまったのではないかと振り返っています。そのうえで、最初に発信した「そっと返してください」というメッセージの通り、本人が改心し、勇気をもって本を返してくれたことで当初の“想い”は遂げられたとし、これ以上、差出人に対する誹謗中傷をしないよう呼びかけました。
同施設は9月13日、施設内に置いていた『鬼滅の刃』20冊がなくなっていたことに気付き、「誰かが道を踏み外しそうになったら 皆で止めような」と原作のセリフを引用しつつ、自主的な返却を求めるツイートを投稿。その姿勢や優しさに共感が集まり、全国から『鬼滅の刃』の寄付が相次いでいました。
※画像提供:おんせんの森
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小学校での調べ学習を想定。