SUPER☆GiRLS、10周年記念インタビュー 10周年を超えて活動していくスパガの本音を聞いた(1/2 ページ)
渡邉幸愛「私、このグループへの愛も今MAXで、今の第4章が大好き」。
「SUPER☆GiRLS」――スパガの略称で呼ばれる女性アイドルグループが、2020年で結成10周年という一つの区切りの年を迎えた。
エイベックス初のアイドルグループとして、2010年のデビュー以降、後に“戦国時代”と形容されるアイドルシーンの王道を走り続けてきたスパガ。数度にわたるメンバーの卒業、加入を“第x章”と表現し、2020年12月29日時点では、10人体制の第4章として活動している。
10周年という1つの節目を迎える前に、その活動を終えるアイドルグループは枚挙にいとまがない。だから、スパガが10周年を迎えたこと自体は、ファンでなくともねぎらいの言葉をかけておかしくないものだ。しかし、スパガにとって結成10周年の年は決して順風満帆ではなかった。
2020年1月には、スパガも所属するエイベックス・エンタテインメントのアイドル専門レコードレーベル「iDOL Street」の設立者で、スパガのプロデューサーでもあった樋口竜雄さんがエイベックスを退社。さらに、エンターテインメント市場にも大きなインパクトを与えたコロナ禍により、スパガは当初6月に予定していた10周年記念ライブが中止という憂き目にも遭った。
それでも、12月23日には6年ぶりのベストアルバム「超絶少女☆COMPLETE 2010〜2020」をリリースし、前日には延期となっていた10周年記念ライブを開催。その場では、リーダーの渡邉幸愛さんがグループから2021年6月に卒業することを発表した(関連記事)。節目の年を終えようとしている中、これまでとこれからのスパガについて、渡邉さんをはじめ、3期の阿部夢梨さん、長尾しおりさん、4期の金澤有希さん、樋口なづなさんに普段聞けないような質問をぶつけてみた。
全てがなくなった――悔しい思いが一番募った1年
―― スパガにとってあるいは第4章にとって、2020年はどんなムードでしたか?
渡邉 SUPER☆GiRLSにとって2020年は結成10周年のメモリアルイヤーで、2019年から大型コラボ企画や5年ぶりの写真集発売など10個の発表をさせていただくなどして、10周年に向けて盛り上げてきましたが、この形になってしまって。10周年記念ライブも一度は中止となり、正直悔しい思いが一番募った1年でした。
―― 最も悔しかったことは?
渡邉 やっぱり、当初6月11日に日本青年館ホールで予定されていた10周年記念ライブが中止になったことです。日本青年館ホールは第1章のスパガがワンマンライブした会場で、グループとしても思い入れのある場所なので、私たちもそこに向かって頑張ろうとみんなで気持ちを高めていただけに、ズシッと重い悔しさや落ち込みがあったんです。
―― それを伝えられたときはどんな気持ちに?
渡邉 4月の時点ではすでに、リモート会議ではありましたが、こういうライブにしたい、こんな曲をやりたいなど、セットリストをみんなで話し合っていたのですが、5月に入って中止が決まってしまいました。
開催の可否判断をギリギリまで遅らせていましたが、他のアイドルさんやアーティストさんの多くがその頃にはイベントの中止や延期を決めていて、私たちもどこかで「無理なのかな」とは感じつつありました。それでも、やっぱり自分たちもファンの皆さんもこのライブを楽しみにしていたからこそ、希望を捨てられず、だからこそ中止が決まったときはとっても悲しかったです。
―― 5月14日の中止発表時は、開催中止ということで、12月にやれるかどうかも決まっていませんでしたよね。どうモチベーションを維持したんですか?
渡邉 開催中止を発表した同日、門林有羽ちゃんというメンバーの1人が体調不良で活動休止となったことも併せて発表(編注:10月に活動再開)されて、大げさに聞こえるかもしれないのですが、“全てがなくなった”みたいな思いで、正直立て直すのが大変でした。「何のためにアイドルやっているんだっけ?」みたいな気持ちになって。
それでもSNSや配信などでファンの方と交友を深め、普段だったら会えなかった人にも出会えた1年ではあったので、そこはいい経験というか、良かった部分だったと思います。
―― 配信系はかなり増えましたよね。
渡邉 そうですね。このコロナ禍でもそうだったのですが、メインの活動が結構配信に寄ったことは私たちも少し悩みましたし、それでいいとは思っていません。もちろんそこで好きになってくださる方もいるので、無駄とは思っていないのですが、一方で、テレビやラジオなどでの露出は本当に特別なもの。チャンスをいただいたときに、それをつかめる自分たちでいなきゃいけないし、私たちはそのための準備を常にしていきたいです。
―― Zoom会にも積極的だった印象です。
渡邉 配信系だとSHOWROOMなどを既にやらせていただいていた中で、Zoomはどんな感じなのかハテナが多かったのですが、顔を見合わせてファンの皆さんと交流していると、ファンの皆さんは期待を持って待っていてくれていて、会えない状況の中でもとても愛を感じました。そのことに気付けてからは、この時間を楽しむぐらいの気持ちでやらなきゃ駄目だなと思うようにしました。
会えないからこそ、ファンの皆さんにこんなに支えられてたんだなというところとか、ライブが大好きだったんだなといった気持ちを、Zoom会で再確認できました。リアルのイベントができない限りは続けると思いますね。
10年の変化、第4章の変化
―― 結成10周年、結成初期と現在でグループとして大きく変化したことは?
渡邉 成長はいろいろなところで感じますが、今は、最初からいたメンバーが1人もいなくて、それぞれが途中加入を経験しているメンバー。最初からやっている人よりも、後からグループに入る方が、メンタル的にも技術的にも強くなると思うんです。難しいことなんです、もともとあるものに溶け込んでいくことは。それを今のメンバーは全員が経験してるので、メンタル面に私たちは今すごく強いのかなと思います。
―― では逆に、望ましくない、あるいは意図しなかったような変化は?
渡邉 スタッフさんの環境です。第4章が始まったときはプロデューサーさんがいらっしゃって、野望をいっぱい話してくれて、私たちもそこに向かってキラキラ進んでいた部分がありました。でも事情があって辞めることになり、自分たちの力で道を歩んでいかなければならなくなったとき、自分たちの無力感だったり、スタッフさんとうまく手を取り合っていかないといけない複雑で難しい状況にも直面することになりました。
―― 今お話に挙がったのは、iDOL Streetの樋口竜雄プロデューサーのことですね。スタッフも最初からいた方はかなり減っていたり?
渡邉 最初からいらっしゃるスタッフさんはごくわずかになりましたね。スパガは、スタッフさんありき、ファンの人ありきで、メンバーがいて、チームワークでやってきたので、今、私たちを支えてくださっているスタッフさんとまた新しいタッグを組んでやっていきたいなって思っています。
―― 第4章が始まってからの約2年では何が変わりましたか?
渡邉 私はリーダーになって、責任感が強くなったと感じます。私、このグループへの愛も今MAXで、今の第4章が大好き。自分は先輩みんなが作ってくれたスパガのおかげで、いいステージに立たせていただいたり、番組に出させていただいたりしてきましたけど、私がリーダーとして上に立つ中で、第4章をそういう憧れの場所にまだ連れて行ってあげられていない。そこは悔しいし、もっとうまくできたらいいのにと思う日々です。
長尾 私と夢梨は今もですけど、ずっと年下、一番後輩でもあったんですが、第4章になるとき先輩がたが卒業されて、自分たちがぐっと先輩の方になって、自分たちの今までの立ち振る舞い方と全く違ったものに切り替わってきたのは感じますし、ファンの人にそう言われることが増えましたね。
―― そういう変化は例えば楽曲の雰囲気などに表れていますか?
渡邉 2020年でいうと、3月にリリースした「忘れ桜」は卒業ソングでしたが、「明日を信じてみたいって思えるよ」は、もともと夏曲をリリースする予定で、いつものように華やかなキラキラした夏ソングにしたかったんです。でも、コロナ禍の中で、もっと伝えるべきことを、歌にして、私たちが届きようということで、なづ(編注:樋口なづな)がセンターでのメッセージソングを出したので、楽曲的にはそんなに変化はないです。
―― 4期メンバーとしては井上真由子さんに次ぐセンターですよね。センターになったときの気持ちをあらためて教えてください。
樋口 Zoom会議で発表があったんですが、正直、自分にできるとは思ってなかったですし、自分に回ってくるとも思っていなかったので、「今の自分のままじゃやばい」という気持ちと、本当に自分でいいのか、ファンの方はどう思うのか、ファンの方がスパガから離れて行ってしまうのではないかなといった不安な気持ちがとても大きかったです。
ただ、楽曲がリリースされて、私のファンの方はもちろんですけど、スパガのファンの方も「いい曲だった」「会えない中で心にしみた」「なづがセンターで良かった」と言ってくださる方がたくさんいて、くよくよしていた時間がもったいなかったなって。
パフォーマンスの面ではライブで披露する機会が少なかったり、ミュージックビデオもみんながそろって踊る感じじゃなかったので、そういう面で成長できたかといわれると分からないですが、自分の後ろにしかメンバーがいないスパガを初めて経験したので、センターに立つことの重みや、センターに向けられる視線などを学べたので精神的には成長できたと思います。
変わりつつあるトレンドと変わらないもの
―― 少し話を変えます。2020年だと、「NiziU」のように日韓合同のオーディションプロジェクトから生まれたガールズグループが話題になりました。オーディションから成長していく過程を見せる、という日本のアイドルシーンでもみられたやり方に、K-POP特有のハイレベルな歌とダンスを融合した存在です。
阿部 今はアイドルといってもいわゆる地下からメジャーまでいろいろな関係が生まれていますが、日本でもK-POPが普及して、TWICEさんやBTSさんが世界のエンターテインメント市場での存在感を増したのをみて私が思うのは、パフォーマンスのよいグループが頂点に立っていく、共通で求められているものはパフォーマンス力の向上だと感じます。
K-POPアイドルあるあるですけど、完璧な存在が求められるので、毎日12時間練習して寝る間も惜しんで自主練したり、食事制限もしたりと過酷な環境で、チャンスをつかみ取れるのはごく数人。そういう環境だからこそ、パフォーマンス力がどんどん磨かれるんじゃないかと思います。
―― パフォーマンス力は練習量で何とかなる?
阿部 そう思います。勉強と一緒というか。勉強法にもよると思うんですけど、やればやるほど向上するのは、ダンスや歌も一緒。私たちもパフォーマンスレベルを向上しなければと思いますし、日頃からやっていますけど、もっともっとしていく必要があると感じます。
―― ここ4〜5年で見ると、TWICEやBLACKPINKなども生まれましたが、一方でE-girlsのように解散を選択するガールズグループもいますよね。“歌って踊れるグループ”を取り巻くトレンドは移り変わっている印象ですが、例えば、皆さんが日本ですごいと思うアイドルは?
金澤 ハロプロさんがすごいと今も昔も変わらず思います。
スパガが2019年、北海道で対バンしたときに、ハロプロさんも出演されていてステージを見させていただいたんです。対バンに出たグループは新しいグループだったのですが、ハロプロさんの魅力というかスキルや表現力、ハキハキと自己紹介する姿は、変わらず受け継がれていると実感しました。ハロプロさんもメンバーが変わっていたりグループが変わってたり減ったりしてるわけじゃないですか。それでも変わらずに受け継がれてるスキルや表現力があるのはすごいなって。
―― スパガのミッションがあるとすれば何でしょうね。
渡邉 ミッションという感覚で考えたことがなかったのですが、一番はメンバーが楽しんでいないと駄目。みんなアイドルになりたいと志望してきている子たちだから、好きなことなはず。それを楽しめなくなったらもう終わりだと思うので、まずはメンバーが楽しんで、それが誰かの希望や笑顔のきっかけになれる存在であればと思います。
―― では、スパガがこの10年、あるいは章をまたいでも変わらなかったものは?
渡邉 変わらなかったのかなと思います。楽曲によってはちょっと変化球な楽曲にも挑戦したこともありますが、最終的には王道アイドルというコンセプトに戻ってくる。スタッフ、メンバーで意識を揃えて10年間ずっと活動してきたので、そこは揺るがないものなのかなと。
―― 過去、「2020年に再び日本武道館に立とう」という目標を掲げ、そこまで続けるメンバー以外はけじめをつけようという話があり、数人が卒業、渡邉さん自身も一時はそこで卒業を考えられたと聞きました。2020年、日本武道館のステージに立つのはかないませんでしたが、今はどう受け止めているのでしょうか?
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