高級車ほど装備も充実うれしいな──とは限らないのがクルマの世界の奥深いところ。「軽自動車にはあるのに、高級セダンにはない」装備もあります。
例えば「リアワイパー」。必ずあるフロントワイパーと違い、付いていないクルマもあります。でも、ないのはコストをケチったからとか、付いているから偉いのかというと、もちろんそうではありません。
雨水や汚れはどんなクルマにも付きます。視界を確保するためにウィンドウの水滴や汚れをかき取るのがワイパーの役目です。
街を行き交う乗用車を横から見てみましょう。リアウィンドウがストンと落ちる形状のクルマ、リアウィンドウの角度が垂直に近いほどリアワイパーの装着率が上がります。軽ワゴンやミニバン、SUV、ワンボックス、ハッチバックなどでしょうか。
これらに対して、セダンやクーペのリアウィンドウは傾斜が比較的なだらかです。リアワイパーの装着率は下がります。
あらためて、ワイパーは視界を確保するためにあります。リアワイパーは後方の視界を確保するためですね。走行時のほか、駐車場などごく低速時でも、雨粒が付いたままでは乱反射して視認性が落ちるので危険です。リアワイパーを動かせばリアウィンドウがきれいになります。
リアウィンドウがストンと落ち、かつトランクが出っ張っていない形状のクルマは、付いた水滴を走行時の気流で吹き飛ばす効果が相対的に弱く、また自身が走ることで跳ね上げる路面の水や泥の汚れも付きやすくなります。雨天に走ると特にリア周りが細かく泥汚れてイヤなんだよ……という人、結構多いと思います。これは自車が巻き上げて付いてしまう汚れです。
一方、セダンやクーペは走行時の気流でリアウィンドウの水滴が流れ落ちやすく、またその先にトランクがある分だけ自車が跳ね上げる汚れも比較的付きにくいとされます。
もちろんメーカーや車種によってリアワイパーを付ける理由・付けない例もさまざまあります。流れるようなフォルムのスポーツカーにも装着される車種はあります。そういえば、平成時代の名車「RX-7(FC/FD型)」「スカイラインGT-R(R32〜R34型)」などにも付いていました(取っ払っている人も多くいましたが)。高級セダンにも、降雪の多い地域で販売される「寒冷地仕様」にすると装備される車種があります。
リアワイパーは「リアウィンドウに水や泥汚れが付いてしまいやすい形状のクルマ」「水滴などが付くと流れ落ちにくいリアウィンドウ形状のクルマ」などに必要だから装着されます。その装着理由は「視界確保(=安全)」のためです。
リアワイパーは取っ払っても問題ない?
ちなみに道路運送車両法(保安基準第45条 窓ふき器等)には「自動車の前面ガラスには(略)自動式の窓ふき器(ワイパー)を備えなければならない」とあります。フロントワイパーは装着必須で、付いていなければ公道を走れません。しかしリアワイパーについては特段の記載はありません。
リアワイパーが不必要ならばしかるべき処置をした上で外してもよいのですが、装着されているならば車検ではフロントと同様にチェックされます。リアワイパーを使わないとしても……付いているならば「ワイパーゴムびろびろ」などではいけません。ゴムやブレードの点検も忘れずにきちんとしておきましょう。
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ガラスの端やボディーに跳ねて跡が残るのが嫌だから……などの理由で使わない人もいますが……。