乗れば数時間で、ビューンと遠くの街までひとっ走り。日本が誇る速達の交通機関「新幹線」が各地を走り、全国津々浦々、さまざまな都市を結んでいます。
新幹線は1964年開業の東海道新幹線にはじまり、近年は2015年に北陸新幹線の金沢延伸、2016年に北海道新幹線が開通。さらに2022年秋には西九州新幹線(関連記事)、2027年にはリニア中央新幹線(関連記事)が開通する予定です。
新幹線の開通は周辺都市の大きな発展が見込まれます。そのため「我が県に新幹線を」と政治力が働くのも聞いたことがあると思います。
では、この新幹線の駅が「最もたくさん」ある都道府県はどこになるのでしょう。
新幹線駅が最も多い都道府県は「岩手県」と「新潟県」
まずは定義から。今回は新幹線規格(フル規格)路線の駅を対象とし、在来線を利用するミニ新幹線規格の駅と定期運行で使われない臨時駅は含めないことにします。山形新幹線の山形駅、秋田駅は対象から外れます。ゴメンナサイ。
新幹線駅が最も多い県は「岩手県」と「新潟県」の7駅です(2021年10月現在)。
- 岩手県:東北新幹線の二戸駅、いわて沼宮内駅、盛岡駅、新花巻駅、北上駅、水沢江刺駅、一ノ関駅
- 新潟県:上越新幹線の新潟駅、燕三条駅、長岡駅、浦佐駅、越後湯沢駅、北陸新幹線の糸魚川駅、上越妙高駅 (※ガーラ湯沢駅は臨時駅のため対象外、ゴメンナサイ)
参考までに、東海道・山陽新幹線の最多駅持ち県は「静岡県」の6駅(熱海駅、三島駅、新富士駅、静岡駅、掛川駅、浜松駅)です。
なぜ岩手県と新潟県に新幹線駅が多いのでしょう。まずは面積の大きさでしょうか。大きければ、あるいは長ければ、路線内にある都市が多くなり、駅ができる可能性が高まります。都道府県面積ランキングでは、岩手県は第2位、新潟県は第5位です。面積ランキング4位の「長野県」も新幹線駅が5つあり、新幹線駅持ちランキングでも4位です。
2つ目は地元の自治体、住民、新駅周辺企業などがJR(国鉄時代も含む)に依頼し、費用は地元側が負担することで開業した「請願(せいがん)駅」の存在です。例えば、岩手県の水沢江刺駅と新花巻駅は地元が強く望んだ請願駅です。両駅とも地元の情熱でできた駅で、新花巻駅ができるまでの熱い話は映画「ネクタイを締めた百姓一揆」にもなりました。
3つ目は「延伸」です。東北新幹線の二戸駅といわて沼宮内駅は、2002年に東北新幹線が八戸まで延伸したことで新たな新幹線駅として開業しました。
北陸新幹線の糸魚川駅と上越妙高駅も、東京〜長野間で長野新幹線として部分開業(1997年)したのち、長野から金沢まで延伸して「北陸新幹線」となった2015年に新幹線駅になりました。
なお、東北新幹線の八戸延伸まで静岡県が新幹線駅数1位だったので、延伸開業は順位変動の大きな要因になります。ちなみに北陸新幹線は2024年春に金沢〜敦賀間が延伸開業する予定です。
今後も西九州新幹線や大本命リニア中央新幹線の開業があり、北海道新幹線の延伸計画もあり。あ、でも今回の定義にすると、リニア中央新幹線は対象にならないか……。ともあれ、新幹線駅数ランキングも新幹線路線の拡充とともに変わり、街も活性化していくでしょう。今後も楽しみですね。
新田浩之(にったひろし)
1987年神戸市生まれ。関西大学文学部卒、神戸大学大学院国際文化学研究科修了。主に鉄道と中欧、東欧、ロシアの旅行に関する記事を執筆。2018年からチェコ政府観光局公認の「チェコ親善アンバサダー2018」を務める
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