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「パパ嫌!」じゃなくて「パパイア」に 「トロピカル〜ジュ!プリキュア」が徹底する“親子で見るための配慮”サラリーマン、プリキュアを語る(1/3 ページ)

プリキュアは「親子で見ること」を強く意識したアニメーションなのです。

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 プリキュアは「保護者と一緒に見ること」を強く意識したアニメーションです。

 「トロピカル〜ジュ!プリキュア」の一人「キュアパパイア」は、果物の「パパイア」をモチーフにしているのですが、日本語表記としては「パパイヤ(や)」もある中で「パパイア(あ)」になったのは、「親子で見ること」に配慮した、ある重要な理由があったのです。

プリキュア アニメ ニチアサ トロピカル〜ジュ!プリキュア
一之瀬みのりが変身するキュアパパイア

kasumi プロフィール

プリキュア好きの会社員。2児の父。視聴率などさまざまなデータからプリキュアを考察する「プリキュアの数字ブログ」を執筆中。2016年4月1日に公開した記事「娘が、プリキュアに追いついた日」は、プリキュアを通じた父娘のやりとりが多くの人の感動を呼び、多数のネットメディアに取り上げられた。


 「トロピカル〜ジュ!プリキュア」も12月に入り、残すところ放送もあと1カ月。物語も佳境へと入ってきました。

 この時期のプリキュアでは、一人一人の「最後の個人回」が描かれ、1年をかけて成長したプリキュアの姿が見られると同時に「もうすぐ終わってしまう……」という寂しさもある複雑な季節ですよね。

 第38話「決めろ!あすかの友情スマッシュ!」の、あすか先輩と百合子先輩、最高にトロピカっていました。

 そんな「トロピカル〜ジュ!プリキュア」。その「楽しく明るい作風」が子どもたちに大人気なのですが、一緒に見ている保護者もハマってしまう、とSNSなどでも大好評なのです。

プリキュア アニメ ニチアサ トロピカル〜ジュ!プリキュア
第38話であすか先輩は百合子先輩と仲直りしました

「パパ嫌!」を避けるため「パパイア」に

 2021年11月に発売された書籍『「トロピカル〜ジュ!プリキュア」特別増刊号』(徳間書店)にこんなエピソードがあります。

 プリキュアの一人「キュアパパイア」は、その名の通り果物のパパイアをモチーフとしたプリキュアなのですが、日本語表記としては「パパイヤ(や)」もある中、あえて「パパイア(あ)」にしたのは「パパ嫌!」と聞こえちゃうのを避けるためだった、とのことなのです。

プリキュア アニメ ニチアサ トロピカル〜ジュ!プリキュア
「パパ嫌!」を避けるため「パパイア」に

「果物としての日本語表記は『パパイヤ』もあるかと思いますが、それだと『パパ嫌!』って聞こえちゃうので『パパイア』になりました」(村瀬)
引用:『「トロピカル〜ジュ!プリキュア」特別増刊号 アニメージュ』2022年1月号増刊(徳間書店、P13)

 一緒に見ているお父さんにしてみれば1年間ずっと子どもに「パパ嫌!」といわれるのは確かにつらいのかもしれませんね。

 ものすごく細かい配慮なのですが、プリキュアシリーズにはこのようなたくさんの「親子で見ること」への配慮がされているアニメなのです。

プリキュア アニメ ニチアサ トロピカル〜ジュ!プリキュア
キュアパパイアは変身前と変身後のギャップも魅力

親子で見ることを意識しているプリキュア

 プリキュアシリーズでは、「汚い言葉使いをしないこと」や、劇中で「苦手な食べ物」が描かれてもそれを克服する描写があること、そして「敵であっても顔面は殴らないこと」や「流血を表現しないこと」など、数多くの不文律が存在していたことが雑誌インタビューで明かされています(参考:『Go!プリンセスプリキュアオフィシャルコンプリートブック』(学研プラス、2016年)。

プリキュア アニメ ニチアサ トロピカル〜ジュ!プリキュア
「トロピカル〜ジュ!プリキュア」では敵サイドもコミカルに描かれている

 またシリーズ開始当初は、大人からの性的な視線を避けるために「水着」の描写も自主規制していました。

 時代の変遷を経て2015年「Go!プリンセスプリキュア」以降は「海に行けば水着になるのは当然」として、普通に水着も表現されるようになりましたが、胸の谷間などのセクシーな表現は全く無く、あくまで自然に「子どもや保護者から見てかわいい」と思えるようなものとなっているのです(過去記事:プリキュアの水着表現はなぜ規制され、そして解禁されたのか 15年の歴史を探る)。

プリキュア アニメ ニチアサ トロピカル〜ジュ!プリキュア
「トロピカル〜ジュ!プリキュア」でも水着回が実施されました。かわいらしい水着姿が子どもたちにも好評だったようです

 「保護者が眉をしかめるような表現をしない」を徹底することにより、プリキュアは「戦う」という描写がありながらも「保護者が子どもたちに安心して見せられるアニメーション」として歴史を重ね定着しているのです。

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