井村屋の定番アイス「あずきバー」が、年間売上3億本を突破しました。長年その人気を衰えさせることなく愛され続けるあずきバーですが、近年はその“硬さ”がネットで話題に上がりがち。井村屋としてはネットでの話題をどんな思いで見ているのか、話を聞いてみました。
あずきバーが発売されたのは、1973年。あずきを炊く技術を生かし、「ぜんざいを凍らせたようなアイスができないか?」という発想から生まれました。シンプルな原材料で小豆本来の味わいを楽しめる人気商品となりましたが、冷凍庫から出したてだと大変硬いことでも有名です。
冷凍庫から出したてだと、サファイアよりも硬いとされるあずきバー。硬さネタについて頻繁に話題になりますが、井村屋としては、どんな思いなのでしょうか。話を聞いてみました。
―― なぜこんなに硬いのか、あらためて伺えますでしょうか。
井村屋: 主に固い理由は3つあります。1つ目は、空気の含有量が極めて低いからです。2つ目は、乳固形分が全く入っていないから。3つ目は、乳化剤や安定剤といった添加物を使っていないからです。
―― 発売当初から硬いと思っていましたか。
井村屋: 発売したのは50年近く前なので、私も発売当時の商品をリアルタイムで知っている訳でありません。以前開発部に発売当初のあずきバーをつくってもらって試食したことがありますが、発売当初のあずきバーは現在のものよりも甘くそこまで硬くはありませんでした。
あずきバーは発売してから今まで、お客さまの嗜好(しこう)に合わせてマイナーチェンジを繰り返しています。大きな流れとして、近年の嗜好は「甘さ離れ」や「健康志向」の傾向があり、昔と比較して「甘さを控えた」さっぱり系の商品になっています。
硬いアイスを作ろうと思っている訳ではなく、お客さまの嗜好に寄り添って甘さを控えたり、添加物を使用していない安全・安心な商品作りを行った結果硬くなってしまったのです。
―― いつごろから硬さが定番ネタとして定着していきましたか。
井村屋: 先述した通り、硬いアイスをつくろうと思って作っている訳ではなく硬さを売りにしているわけでもありません。しかしながら、実際に硬い商品ですし、商品のパッケージにも「固く凍っているため、歯を痛めないようにご注意ください」との注意書きをさせていただいているくらいなので硬いことは否定しません。
「硬い」と言われ出した時期はハッキリとは分かりませんが、2010年代ではないかと思います。公式SNSやアイスを特集したテレビ番組の影響が大きかった記憶があります。
―― よく硬さでネタにされていることについて、どう思われていますか。
井村屋: 硬さを売りにしている訳ではありませんが、商品や会社を覚えてもらえるPRにつながったり「硬い」ことを知ってもらうことであずきバーを食べる際に「硬いから食べる時に注意しよう」という「歯を痛める予防」に一役買っているのかなと思います。また、「この硬さが良い!」という言ってくださるお客さまもいらっしゃいます。
硬さが気になる方は冷凍庫から出して少ししてから食べる方法や、井村屋の公式サイトに掲載している溶かして「ぜんざい」として食べるアレンジレシピなどもあるので是非ともご覧ください。あずきは食物繊維やポリフェノールを多く含んでおり栄養価が高い素材です。あずきバー1本あたりには、このあずきを約100粒も使っています。ひんやり冷えたおいしいあずきバーを食べて暑い夏を乗り切ってください!
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