ハリウッド俳優組合「私たち抜きでは存在できない」と脚本家に続きストライキ トム・クルーズらの来日中止濃厚で日本のファンへ「お詫び」
マット・デイモンやエミリー・ブラントもプレミアを欠席。
全米映画俳優組合と全米テレビ・ラジオ芸術家連盟(以下:SAG-AFTRA)が現地時間7月14日の午前0時1分から、全会一致でストライキを決行すると発表しました。SAG-AFTRAは映画製作者協会(以下:AMPTP)と交渉を続けてきましたが合意に至らず、近日予定されているトム・クルーズらの来日にも影響する可能性が高くなりました。
SAG-AFTRAとAMPTPの契約は6月30日に満了予定でしたが12日間延長され、その間も両者は交渉を続けてきました。しかし13日の記者会見で合意に至らなかったことを発表し、「他に選択肢はない」と述べました。
また、SAG-AFTRAの公式サイトでは「SAG-AFTRAはAMPTPと誠実に交渉しました。私たちは現代的な問題に対処する現代的な契約が必要だと言ったのです。それに対し、彼らはいつも通りのビジネスライクな対応でした。所得への浸食。AIによる搾取。虐待的なセルフテープ(※オーディション用に俳優自身が用意する演技の映像)の要求。私たちのパフォーマーとしてのキャリアが危機に瀕しています。これが私たちがストライキをする理由」と記載されています。
SAG-AFTRAは交渉に際し、賃上げやストリーミングサービスの視聴者数に応じた報酬、俳優の声や演技を学習させたAIの使用に対する補償や規則を求めていました。SAGのフラン・ドレッシャー会長は声明で、「ストリーミング、デジタル、AIによってビジネスモデルがまるごと変わってしまいました。これはとても大きな出来事で、私たちに重くのしかかってきます。ある時点でノーと言わなければなりません。これ以上は我慢できません」と述べ、また、「富を分かち合ってほしい、だって私たち抜きでは存在できないのだから」と主張しました。
一方AMPTPは声明でSAG-AFTRAの決断に「深く失望しています」とコメント。AMPTP側は、歴史的な賃上げや年金と健康保険の大幅な上限引き上げ、AI利用に際して俳優に対する画期的なデジタル肖像権の保護などを提案したが受け入れられなかったとしています。そして「SAG-AFTRAは交渉を継続しないばかりか、この業界で生計を立てる何千もの人々を経済的な苦境に陥れる方向に舵を切りました」と非難しました。
ハリウッドではすでに5月2日から全米脚本家組合(WGA)によるストライキも続いており、映画やテレビの撮影現場からは脚本家に加え俳優の姿も消えることに。今回のストライキ内容は演技や歌唱、ダンス、吹替、ナレーション、衣装合わせやボディダブルまで多岐にわたり、特に現在撮影中の現場には大きな混乱が予想されます。
また、インタビューやプレミア上映、SNS投稿を含むプロモーションもストライキに含まれており、7月21日公開予定の映画「オッペンハイマー」英国プレミア上映では、ストライキ決行を受けて俳優らが急きょ帰国。残ったクリストファー・ノーラン監督は、キャストのマット・デイモンやエミリー・ブラント、ロバート・ダウニー・Jr、フローレンス・ピューらの欠席を伝えました。
この流れにより、17日に開催される映画「ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE」のジャパンプレミアに合わせたトム・クルーズの来日は不可能に。トムとともに来日予定だったベンジー・ダン役のサイモン・ペッグは13日に投稿したInstagramのストーリーズで、深夜からストライキが始まるため同作のプロモーションがそこで終わるとし「来てくれるはずだった日本のファンの皆さんにお詫びいたします」と予定されていた日本行きがキャンセルされることを伝え、謝罪しています。
また、トムも同日SNSへ、テーブルに置かれた同作のポスターを前にソファーでクリストファー・マッカリー監督とポップコーンを食べる写真を投稿。「僕たちが皆さんのためにこの映画を作ることを愛したように、皆さんもこの映画を愛してくれますように。これからも『ミッション・インポッシブル』をよろしくお願いします」とプロモーションの終わりを示唆するかのようなコメントを添えました。
さらに8月2日に予定されている映画「バービー」のジャパンプレミアに登場予定のマーゴット・ロビー、アメリカ・フェレーラ、グレタ・ガーウィグらも来日をキャンセルする可能性が濃厚。主演のマーゴットはストライキへの支持を明確に表明しており、ケン役の1人であるシム・リウはInstagramへ撮影現場でのキャストらの写真を投稿し、「まもなくストライキが始まるので、これが僕の『バービー』公開前最後のプロモーション投稿です」と映画作りに参加できた喜びなどを伝えていました。
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