陰謀論に一部の人々が熱狂する理由
話をロゴと陰謀論の関係に戻そう。
ロゴをはじめとしたデザインに証拠を見いだす行為に陰謀論者たちが熱中するのは、それが退屈な日常を刺激的な陰謀論に直結させるスイッチになっているからだ。この構造は以前解説した、アメリカのバイデン大統領など、多くの著名人を「ゴム人間」だと思い込む「ゴム人間陰謀論」でも同様である(関連記事)。
陰謀論の思考回路を脳にインストールすると、街中で見かける看板は秘密結社や悪魔崇拝の印となり、単なる顔写真がゴムマスクの証拠に変貌してしまう(「なぜわざわざそんな目立つ場所に証拠を隠しているのか」とツッコんではいけない。とにかくそうなっていると思い込むだけで気持ちが良いのだ)。
日本でも出回っている例で挙げると、「某回転寿司チェーンは一部の皿の中央にピラミッドを思わせるマークがあり、フリーメーソンの寿司屋」「某カフェチェーンは創業当初のロゴを逆さにすると悪魔に見えるため、悪魔崇拝のカフェ」「某エナジードリンクのデザインは、ヘブライ数字で見ると666になるので、これも悪魔崇拝(デザインに遊びとして入れている可能性はあるが、悪魔崇拝ということにはならないだろう)」などなど……。
このような陰謀論を受け入れると、あらゆるものが壮大なストーリーの証拠になり、生活で得られるさまざまなものを快楽に変換できるようになる。SNSで流れてくる投稿を読んでいるだけで「世界の真理」を知り、自分自身があたかも「人類を救う正義の戦士だ」と思えるようにもなるのだ。
個人で陰謀論を楽しんでいる分には目くじらを立てることもできないが、それを拡散するとなると企業などに大きな損失を与える可能性があり、訴訟をはじめとした思わぬ騒動を起こすことにもなりかねない。
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細田守監督の「おおかみこどもの雨と雪」を連想した人も。