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ジャニーズ“歴史的謝罪”から1カ月 東山紀之社長は「10.2会見」で何を語る? 求められる「7つの説明責任」(1/3 ページ)

主な注目すべきポイントを7つまとめた。

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 ジャニーズ事務所は10月2日、故ジャニー喜多川氏の性加害問題を受け、2度目となる記者会見を開く。この記事では、9月7日に実施された会見での東山紀之社長らの発言(関連記事)や、その後の動きを踏まえ、先んじて主な注目すべきポイントを7つまとめた。

1.社名変更とその影響

ジャニーズ事務所 故ジャニー喜多川氏の性加害問題 東山紀之社長 記者会見 東京都港区赤坂にあるジャニーズ事務所の社屋

 まずは、すでに大きく報じられているとおり、ジャニーズ事務所の社名変更について注目すべきだろう。

 前回の会見では、就任したばかりの東山社長は性加害問題について「人類史上、最も愚かな事件」「鬼畜の所業」などと断罪した一方で、社名を変更することについて、タレントたちが培ってきたエネルギーやプライドが重要として、「その表現の1つでもいいんじゃないかと思っています」と発言。

 記者から同様の質問が相次ぐと、「とりあえず『ジャニーズ』というのはこのまま続けさせていただくんですけど、社名のロゴとかが変わってくるかもしれません」とロゴ変更の可能性を示唆し、さらに「(社名変更について検討の余地は)それもあります」と認めるなど、その発言が二転三転していた(参考:東京新聞による報道)。

 ジャニーズ事務所は9月19日、取締役会を開き、社名変更も含めた今後の会社運営について議論を交わし、その方針について確認したと発表している。社名変更の影響は、ジャニーズ事務所の完全子会社で井ノ原快彦社長率いるジャニーズアイランド、ファンクラブ母体のジャニーズファミリークラブのほか、「関ジャニ∞」「ジャニーズWEST」といったグループ名、ジャニーズJr.といった名称などにも及ぶ可能性もある(参考:TBS による報道)。

2.新会社の設立

 新会社の設立についても注目ポイントだ。ジャニーズ事務所は取締役会で所属タレントと社員の将来についても議論したとしており、広告契約の解除やテレビ番組での露出減など、打撃を受けている所属タレントたちを新会社に移籍させる可能性がある。

 帝国データバンクによる9月20日時点の調査では、ジャニーズ事務所のタレントをCMなどの広告に起用する上場企業65社のうち、約半数の32社が「放送等中止」「契約を更新しない」と表明している。

ジャニーズ事務所 故ジャニー喜多川氏の性加害問題 東山紀之社長 記者会見 ジャニーズタレント起用の上場企業「放送等中止」「契約を更新しない」は約半数(画像出典:帝国データバンク

 すでにジャニーズ事務所は9月13日、今後1年間は広告出演や番組出演などの出演料は全てタレント本人に支払い、芸能プロダクションとしての報酬は受け取らないと表明している(関連記事)。

 だが、これは「CM撤退ドミノ」などと言われる打撃を受けもなお、ジャニーズ事務所を継続させるための方針に過ぎないとの批判的な見方もある。新会社の設立は、将来的には被害者への賠償を終えた後の解散も視野に入れたものなのかなど、厳しいまなざしが向けられるものと思われる。

3.ジュリー氏の保有株のゆくえとその背景

ジャニーズ事務所 故ジャニー喜多川氏の性加害問題 東山紀之社長 記者会見 ジャニーズ事務所の東山紀之社長、藤島ジュリー景子前社長(左から順に)

 前回の会見では、藤島ジュリー景子前社長が100%保有するジャニーズ事務所の株を手放さず、同事務所に取締役として残留することが明らかになった。ジュリー前社長はその理由について、「被害者の方々に対する補償を責任を持ってまっとうするため」と説明していた(関連記事)。

 だが、もとは言えば、「外部専門家による再発防止特別チーム」は性加害問題が起きた背景として「同族経営」の体質を問題視していた。ジャニーズ事務所の株について、同事務所は取締役会ではジュリー前社長が持つ株式の取り扱いについても議論が及び、今回の会見でその進捗内容を具体的に発表するとしている。

 また、ジュリー前社長が代表取締役に残留した背景をめぐっては、『週刊文春』がその主な理由は会社や個人事業の後継者が取得した一定の資産について、贈与税や相続税の納税を猶予する「事業承継税制」の特例措置で税優遇を受けるためだった、と9月28日に報じ、ジャニーズ事務所に対して批判の声が高まっている。

 すでに一部メディアの問い合わせに対して、ジャニーズ事務所はこのような指摘について「そうではありません」などと否定しているが、会見ではあらためて事実関係の説明が求められると予想できる。

4.白波瀬傑前副社長の不在

ジャニーズ事務所 故ジャニー喜多川氏の性加害問題 東山紀之社長 記者会見 ジャニーズアイランドの井ノ原快彦社長(左)。白波瀬傑前副社長は出席せず……

 引責辞任が発表された白波瀬傑前副社長はなぜ会見に出席していないのか。前回の会見では同様の質問が相次いだ。

 再発防止特別チームの調査報告書によると、白波前副社長は1975年、ジャニーズ事務所に入社した「最古参の幹部」という。1982年ごろに創設された宣伝部をメリー喜多川氏の直下で担当し、1996年以降は取締役、専務、副社長に専任されているものの、引き続き主に宣伝部(広報)業務を担当していた。

 白波前副社長は半世紀近くにもわたり「ジャニーズ帝国」を支え、特に「メディアコントロール」に長けていたとされる。再発防止特別チームの聞き取り調査のなかで、白波前副社長は当初、現在でもジャニー氏が性加害をしたとは考えていないと否定していたが、後に「ジャニー氏が世話になっていた人の子息がジャニー氏から性加害を受けたと最近被害申告したことを知り、ジャニー氏が性加害を行ったのは真実だろうと思うに至った」などと、性加害を事実だと認めている。

 記事執筆時点では、今回の会見に白波前副社長が出席するという報道は見当たらない。すでに死去したジャニー氏とメリー氏に続き、白波前副社長は性加害問題について「すべてを知り尽くしている(「ジャニーズ性加害問題当事者の会」平本淳也代表の言葉)」とも言われる。白波前副社長がまた会見の場に姿を現さなければ、ジャニーズ事務所の性加害問題に対する姿勢が十分ではないとみなされ、東山社長らは再び厳しい批判に晒されるだろう。

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