医学実験で「使用」され今も苦しむチンパンジーがいる 人間の都合でC型肝炎を患った3個体を救うプロジェクトが支援募集中
C型肝炎ウイルスの実験対象だったチンパンジーです。
京都大学野生動物研究センター・熊本サンクチュアリが、ウイルスの医学的実験を受けたチンパンジーを治療するための支援をクラウドファンディングサイト「レディーフォー」で募集しています。
熊本サンクチュアリの前身は1982年に設立された民間会社で、当初の目的はチンパンジーの医学実験で「使用された後」のチンパンジーを受け入れて飼育することでした(その数年前から国内でチンパンジーの医学実験が始まったことが背景にあったそうです)。その後、2011年に京都大学が建物とチンパンジーを引き取りました。
同施設には、かつてC型肝炎ウイルスの医学的実験の対象となり、今もなおウイルスに持続感染しているチンパンジーたちが暮らしています。彼らには、肝炎ウイルスによって引き起こされたと推測される肝臓や腎臓の障害があるなど、健康上の問題がおこっていて、手厚い看護が必要になっています。
C型肝炎ウイルスによって、出血が止まらなくなってしまったサンゾウ。出血が止まらないため、鼻血でさえ命取りになりかねません(サンゾウは2021年11月30日に心不全で息を引き取りました)(出典:レディーフォーより)
熊本サンクチュアリは2022年にもクラウドファンディングを実施し、チンパンジー4個体分の肝炎治療薬の購入を完了。2023年6月にまず1個体のチンパンジーのC型肝炎ウイルスを完全に消し去ることに成功しました。その後2個体もウイルスの陰性化に至り、間もなくさらに2個体の治療を終了できる見通しとのことです。
今回のクラウドファンディングが目指しているのは、治療の見込みが立っていない3個体分の治療薬購入費用を確保すること。記事執筆時点で第一目標の500万円、第二目標の1000万円は達成しており、全員の治療薬を購入できる第三目標2180万円を目指していくそうです。
支援のリターンは、京都大学基金サイトに名前が掲載される5000円のコース、オンラインツアー動画とチンパンジーの画像が届く1万円のコースなど9タイプ。寄付の募集は10月31日午後11時までです。
プロジェクトの根底にあるのは、人間の都合によって必要のなかった闘病生活を強いられ、今も治療を待っているチンパンジーがいる現実を伝え、そして全員を救うこと。noteにはプロジェクトメンバーのインタビュー記事を掲載しています。
写真に写っているのは、現在治療を進めているアキナ、本プロジェクトの第二目標が達成した場合に治療を進めるサイ、肝炎ウイルスへの持続感染はしておらず、治療対象外の個体であるオウムとナッキーです(出典:レディーフォーより)
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