豪ブランド、女性用水着の広告に“男性モデル”起用で賛否 「女性をエンパワーするんじゃ?」「水着は全ての人のため作られた」(1/2 ページ)
モデルは普段から女性用水着も愛用。
オーストラリア発水着ブランドの「モアナ・ビキニ」が1月19日、女性用水着に男性モデルを起用した動画をInstagramへ投稿し、SNS上で賛否を呼んでいます。インフルエンサーのカリーナ・イルビーによる同ブランドは、2011年にハワイのブランドと提携して誕生し、「エンパワーメントと包括性のポジティブなムーブメントの最前線にいる」としています。
モデル「マイノリティに力を与えるもの」
カラフルな色と柄のモアナ・ビキニは、ショーツについてはお尻が半分ほど隠れるハーフバックカットであることも特徴。
同ブランドが今回投稿した動画では、シンプルな白の無地、背中が大きく開いてひもで結んである大胆なワンピースの水着をフィーチャー。モデルに選ばれたジェイク・ヤングは、太陽の下、髪をなでつけセンシュアルな視線を投げかけたり、腰から下を動かす女性モデルばりのウォーキングを披露しました。
ジェイクは普段、男性用の衣類だけを身に着けるモデルというわけではなく、自身のInstagramへ投稿した写真では、女性用のブラジャーとショーツがペアになった水着を着ることもあれば男性用のビキニを身に着けたものに加え、長い髪のウィッグやメイク、女性用のさまざまなファッションを楽しむ姿を展開しています。
女性用ファッションを着こなすことに長けた男性モデルといえますが、顧客やユーザーからは筋骨隆々の鍛え抜かれた男性の身体を持つジェイクが、女性モデルの仕事を1つ奪う形になったことへの批判などが殺到。
ジェイクは当該投稿のコメント欄へ、「女性にはいろいろなタイプがいる。あなたが“普通”だと考えるものと違う解剖学的身体を持つ女性たち。私は女性ではないしそう主張したこともない。この投稿は単にマイノリティに力を与えるもので、そのことへ永遠に感謝する。あなたの憎しみはあなたの不安の反映であって、私のものではない」と、まず“女性はさまざま”である一方で“自身は女性だと主張していない”と明言。今回の動画はただ“マイノリティのため”だと強調しました。
女性の立場を奪うものではないかという意見も
これに対し、「驚きはしないが失望している。男性が女性用水着を着ることは別に構わないよ。男の子なんだからなんだってできるでしょ」「女性をエンパワーするんじゃなかった? 男性は、女性が大切にしてきたものを全部乗っ取ろうとしてるみたい」「女性ではない人が、女性とは何かを語るのは好きではない」「10年愛用していたけどもう2度と買わない」など批判の声が。
「誰がどんな服を着ようと問題にしない」とする見解とは別の論点として、社会的な優位性があるとされる男性が商業的な広告を通じて、女性の立場を奪った印象を与えるものだとする声が多く寄せられました。
反対に広告を支持する人からは、「どういうものがセクシーなのかわかる? ありのままの自分で、着たいものを着ること」「自分の不寛容さをわざわざ告げることはない。ここはそういう人たちの場所じゃない」など、ジェイクへの批判を“不寛容”であると捉えるコメントも。
また、「“全ての身体のためデザインされた水着”と書いてある」「この水着は全ての人のために作られたんだよ」「彼はあなたや私、そしてここにいるみんなと同じ。たまたま素敵な水着が好きなだけの人間なんだ」など、同ブランドのコンセプトはあらゆる人々のために水着を提供することにあり、女性用と決まっているわけではそもそもないのではないかという意見が上がりました。
ブランド創設者「モアナは全ての身体をエンパワーしてきた」
なおブランド創設者のカリーナは、「モアナは2011年以来、全ての身体をエンパワーしてきた。この動画はあなたにショックを与えるはず」「もしあなたが自分の“怒り”を知らせなければならないとしたら、テイラー・スウィフトの『YOU NEED TO CALM DOWN(ちょっと落ち着いて)』を聴くことをおすすめする。あなたは特別だよ」と、今回の騒動に言及しています。
カリーナら広告を作った側からのコメントに対しては、「私はこの水着も広告も好き。でも違う意見を持つ人に対するあなたたちの対応はプロではなく未熟」と、批判を軽くいなすレベルにとどまっている態度を疑問視する人も。
同様の事例としては、英VOGUE誌2022年10月号で、106年の歴史で初めて男性のティモシー・シャラメが表紙を飾った際、やはり同誌初の男性編集長であるエドワード・エニンフルはこの決断を「英VOGUE誌は、まず第1に女性を祝福する場であることをずっと意識してきました。私は、男性が単独で登場して目立ったり主張したりする場にはしたくなかった」などその経緯を語った結果、批判もなく多くの人から支持された一件があります(関連記事)。
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父親も「インチキ話」と一蹴。