7週間で4キロ減――「宅配食」生活のメリット&デメリットまとめ身体を張って検証しました

7回にわたって試した宅配食。最終的に約4キロやせることに成功したが、メリット&デメリットはなんだろうか。そしてオススメの宅配食は何か。最後にまとめてみた。

» 2014年12月10日 06時45分 公開
[小林誠,ITmedia]

 宅配食を7週間、1週1サービス、計7サービスを食べ続けたが、見事やせることに成功した。同じようなサービスかと思ったが、比較してみると注文、配達、料金、量、保存方法と様々な違いが見られる。最後に宅配食のメリット&デメリット、そしてどのサービスがどんな人に最適か、ランキング形式で振り返ってみることにした。

連載初日の体重は81.2キロ(左)、その後増減があったものの、やがて減少傾向になり、最軽量は78.2キロ(右)

筆者のスペック紹介!

身長168センチ、体重82キロ。2014年現在32歳。普段運動、スポーツはまったくしないが、ハイキングやウォーキングといった「歩き」は好き(走るのは嫌い)。乱れた食生活と、遺伝の影響もあって30歳で糖尿病と診断され、何度もダイエットに挑んでいる。これまで最も長続きしたのは糖質制限で一時70キロ以下まで減量したが、1年が限界だった。


<これまで取り上げた7サービス>

  1. セブン-イレブン「セブンミール 健康バランス御膳」
  2. 日清医療食品「食宅便 カロリーケア1200」
  3. ワタミ「宅食 まごころ御膳」
  4. ウェルネスダイニング「たんぱく制限減塩食コース」
  5. メイプルフーズ「美健倶楽部 BC400」
  6. メディカルフードサービス「MFSカロリー制限食」
  7. ニチレイフーズダイレクト「気くばり御膳」

(この連載の過去記事一覧はこちら)

いつもの食事を"健康な"宅配食に替えるだけでやせる!

 まずは宅配食共通のメリットとデメリットを考えてみる。おおむね以下となるのではないか。

メリット

  • 調理の手間がない
  • 栄養バランスが良い
  • 薄味に慣れる
  • ゆっくりやせる
  • コスパも良い?

デメリット

  • 量が少ない
  • 効果が遅い
  • 冷凍庫が満杯になる
  • 受け取りが難しい
  • 注文ミス

 調理されたものをレンジでチン、湯せん、あるいはそのまま食べればいいのだから、時間がない人でも簡単。そのうえ、管理栄養士が監修していたり、一定の基準で考えられた献立だから健康な食事だ。

 また味に関しては「薄味だが美味しい」と感じる。おかげで慣れやすく、長く続けられる。

 コストパフォーマンスは「?」としたが、「いつもの食事だけでやせる」という意味で「コスパは良い」。食費がそのままダイエットに役立っているので、余計なダイエット器具を買う必要がない。

 一方で「量とコスト」を考えると「コスパは悪い」。宅配食は「少量」だ。同じ値段ならコンビニ弁当や出前のほうがボリュームがある。

宅配食では量が多いと思われるワタミの宅食(左)と、コンビニ弁当(右)の比較
日清の食宅便(左)と、量の多いコンビニ弁当(右)との比較

 「効果が遅い」「ゆっくりやせる」は、長所短所どちらとも言える。効果は遅くとも、無理なく長続きするからだ。とはいえ1カ月程度で体重に明らかな変化が出てきたので、遅いと言っても許容範囲ではないだろうか。

 いかんともしがたいデメリットは、冷凍庫。容量が小さいと満杯になってしまう……。各人の工夫しかない。毎日宅配してもらえるサービスもあるが、受け取りが大変だ。

 また筆者は一括配達を好んだが、これも忙しく、休日にしか受け取れない人には不便。5食、7食が入ったダンボール1箱で届くため、会社で受け取っても置き場所や持ち帰りが難しいだろう。

 あとは続けていると注文ミスが起こることも。ネット注文なので安易にクリックしがちだ(反省……)。各サイトの料理の写真も盛りつけがきれいで美味しそうだが、実際はプラスチック容器や袋で届くなど、過度な期待のし過ぎも禁物だ。

筆者のベストサービスは食宅便! 一番美味しかった献立はMFSの「肉」!?

 筆者がもう一度、しかも今度は長期で利用しろ、と言われたら何を選ぶか。正直「毎週違うほうが面白いし長続きする」と思うのだが、あえて選ぶのなら第2回で取り上げた日清の「食宅便」だ。

食宅便は冷凍で5食が一括配送。料金は最安ではないものの、1食700円台と宅配食では安い。全国対応なので読者も利用しやすいはず

 このサービス、利用したときは量が少ないと感じたが、それでも副菜が多く、食べた気になる。味付も意外と濃い目で、初めて食べる人でも慣れやすいと思う。

 量については、他のサービスも量が少なく、結果的に宅配食のなかでは「食宅便の量は普通」という印象だ。

 また「ご飯付き」である点についても、記事執筆時は「ご飯不要」と考えていたが、少量に慣れると、自分で炊くご飯の量が多過ぎると感じる。とはいえ少量だけ炊くのも面倒。結果「ご飯付きのほうがラク」という心境に至った。

 ただし「味」だけで選ぶのなら、とくに「美味しい」と感じたのはメディカルフードサービス「MFSカロリー制限食」にあった「ポークシチュー」だ。しかし今、その味を思い出せるか? と問われると、何も……。感激したのは覚えているのだが。

MFSのポークシチュー。当時のメモを見ると、「肉多い!」「うまい!」「今までで1番かも」と書いている。恐らく宅配食の肉は、小さく、少ないなか、このMFSの「ポークシチュー」は肉の存在感が大きく感激したのだろう。……なんだか自分が哀れに感じるのはなぜだ……

料金が一番安いのはワタミの宅食! コンビニ弁当並

 長く続けるのなら、料金も重要だ。以下に連載で試したサービスの、1食の料金(送料も含んだ場合)を安い順に並べた。どのサービスでも1食1000円以内で済む。

 5〜7位は900円台となるので省いた。コンビニ弁当並=ワンコインくらいで済ませたいのなら、ワタミの宅食のみ。2位のウェルネスダイニングはご飯なし。3位の日清・食宅便はご飯付きなので、ご飯次第で3位のほうが安く済むかもしれない。

 コンビニ弁当、外食、自炊と比べても、宅配食は「量の割に料金が高い」と感じる。しかしそのぶん「栄養バランス」や「薄味でも美味しい」工夫がある。ただ分かっていても、しばらくは「この料金でこの量か……」と思ってしまうのだが。

ワタミの宅食は、容器も立派で、配達員が届けてくれる。量も多めなのに安い。お得度は高い。ただ受け取りの手間や返却がね……

食事の量もワタミの宅食が1位 コスパも良い!

 そこで食事の量も比べてみる。最初は多めのほうが慣れやすいはず。ベスト3は以下の通り。

 実際の内容量ではない(筆者の印象)が、毎日手渡しのサービスがワンツー。とくにワタミの宅食がここでもトップ。健康な食事だが、量もそこそこあり、料金も安く、宅配食初心者が始めやすい。量も含めてコスパが良いのだ。経営では赤字が続くワタミだが、宅食の安さ、続けていけるだろうか……。

 セブンミールは第1回で取り上げ、そのときは量が少ないと感じたが、後のサービスのほうがよほど少量。3位の美健倶楽部は、唯一「汁物」があったサービス。これは腹にたまる。ただし「レトルトのスープでいい」という人には不要か。

セブンミールの健康バランス御膳。初回だったので、そのバラエティに富んだメニューにあまりピンときていなかったが、終わってみると飽きのこない献立。ただ1日2食が宅配食では空腹に耐えられない。以降は1日1食のサービスを試していくことに

手軽さではニチレイの気くばり御膳を推す!

 ただしワタミの宅食、セブンミールも「毎日配送」で、受け取りがわずらわしい。そこで「手軽さ」もランク付けしてみた。受け取りだけでなく、注文のしやすさ、調理(温めるだけだが……)がいかに簡単かも考慮した。

 毎日配送の2サービスは除き、冷凍一括のもの5サービスのみをランクイン。ほぼ在宅している、家族がいる、管理人さんに受け取ってもらえる、といった人は「毎日配送」でもいいだろう。

 1位にしたニチレイの「気くばり御膳」は4日前に注文しなければならないが、実際には2日で届いているし、レンジで温めるだけ。簡単だ。

ニチレイの気くばり御膳は、記事執筆時は「5連続カレー」が衝撃となってしまったが、サービス全体で見ると、とても使いやすく、ポイント制もあってお得。なおすでにメニューは新しいものとなり、写真の和風カレーは頼めない

 2位のウェルネスダイニング、3位の日清 食宅便もほぼ同様。順位は注文の締め切り日や、到着までの日数で決めただけ。

 4位のメディカルフードサービスは、冷蔵庫に入れて解凍が必要、5位のメイプルフーズは注文が10日前(実際は3日で届いたが)と締め切りが早い点、そして温め方がレンジや湯せんとバラバラなので面倒というわけで、順位を落とした。

 もっとも4位、5位も大して面倒ではなかった。この5サービスなら手軽と感じるはずだ。

ウェルネスダイニングの「たんぱく制限減塩食コース」は、減塩食をうたうだけあって、とくに薄味と感じたが、それでも美味しく食べられる

味、献立のお気に入りベスト3 トップはセブンミール

 ではサービス全体の味や献立を比べると? 「薄味だろ?」「健康食って味はいまいち……」と思っていると、どのサービスも意外なほど美味しくて驚くのだが、無理矢理ベスト3を決めてみた。

 今思えば「パン」や「ジャム」「和風スパゲティ」が含まれていたセブンミールは貴重なサービス。ご飯も「わかめご飯」や「発芽玄米入り」とバラエティに富んでいた。

 日清 食宅便は前述したように若干味が濃い(本当に濃いのか、上手に味付けをしているのかは分からない)。

 メイプルフーズの美健倶楽部も、前述の通り、汁物が効いている。またこちらはおかずの品数が少ないかわりに、1品あたりの量が多めで、印象に残る。

メイプルフーズの美健倶楽部。唯一の汁物ありのサービス。袋の湯せんが必要だったりと若干手間はあったものの、お腹にたまるのが良かった

 ランク外としたが、ワタミの宅食は甘めの味付、ウェルネスダイニングは7サービスのなかで特に薄味、メディカルフードサービスは酸味が印象に残っている。ニチレイは同じカレーばかりなので、なんとも言えないが、タルタルソース付きの唐揚げはお気に入りだ。

筆者にとっては2年ぶりのチャレンジだったメディカルフードサービス「MFSカロリー制限食」。前回よりも少量の食事に慣れていたからか、すんなり受け入れた

宅配食の"その後" 終わるとリバウンドしてしまう!?

 ところで今回試した宅配食は「お試し版」がほとんど。提供する側にとっては、継続的に契約してもらいたいはず。お試し版終了後、セールスがあるのではないか、というのも気になっていた。だが今のところしつこい勧誘はなし。

 電話が1回、「ウェルネスダイニング」からきたものの、宅配食の感想を聞かれ、別のコースや期間を試してみないか誘われたが、これは「他社のサービスも試したい」と断り、あっさり終了。

 メールマガジンがくるのは、「ウェルネスダイニング」と「ニチレイダイレクトフーズ」。パンフレットが届くのは、セブンミール、日清の食宅便、ニチレイ。ウェルネスは健康情報のコラムが充実しているが、ほかは新しい献立の案内だ。

 残りのワタミ、メイプルフーズ、メディカルフードサービスからは連絡なし。

 終わってみれば、毎日1食を宅配食に替える、というダイエットはとても続けやすいし、誰でも気軽に始めやすく、終わらせやすい、と言えるだろう。

1品ずつ容器で分かれているもの(左/セブンミール)から、袋で小分けされているもの(右/美健倶楽部)までさまざま
冷凍庫に無理矢理入れる(左/日清の食宅便)、専用のボックスを玄関前に置いたり(右/ワタミの宅食)と、一応大変なこともあったが、それでも栄養バランスを考えて自炊をするよりはラク

 一方で「終了後」が怖い。すでに自炊に戻り一週間が経過したが、体重がまったく減らない。ダイエットは完全に停滞してしまった。一度宅配食に慣れてしまうと自炊はどうしても量が多い……。

 現在はウェアラブル機器を使ってその効果を試しているのだが、寒くもなり運動を続けるのは大変。その苦しみも含めて次回からレポートしていく。引き続き「人柱」の筆者を笑ってもらえれば幸いだ。

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