オールドゲーマーのマストアイテム――ナムコの系譜:「ナムコミュージアム」シリーズレビュー(1/3 ページ)
往年のアーケードゲーマーであれば、誰もがプレイしているナムコの作品。それらを一堂に集めた“ナムコミュージアム”シリーズ最新作が、PSP版にて登場する。その昔に、PS版として販売されていたこともあるが、果たして今回はどのようになっているのだろうか? 1作目と合わせて、見ていくことにしよう。
夢があった、80年代のゲームセンター
今のゲームセンターはUFOキャッチャーやメダルゲーム、対戦格闘ゲームしか置かれていないところも多く、個人的にどうにも盛り上がりに欠けるような気がする。しかし、ほんの20年程度前までは、絶対に家庭ではプレイすることが出来ないゲームが並ぶ、まさに楽園のような場所だった。この当時を象徴する魔法の呪文といえば、それは“完全移植”だろう。
その時代に活躍していたハードでは、どんなに頑張っても完全に移植することは不可能だったため、アーケードゲーム信奉者たちはこぞってその呪文を口にした。また、完全移植が無理なために、アレンジを付け加えてごまかそうとするタイトルがあったのも、また事実。そんな時代にゲームセンターでプレイしたゲームは、自分が思っている以上に美しい思い出として残っているもの。特に、80年代に黄金期を迎えていたナムコゲームなどは、今でもプレイしたいという人が数多くいるはず。
そんな期待に応えてか、PSPにて発売されたのが“ナムコミュージアム”シリーズだ。PSPを持っているユーザー層にマッチすることもあり、心を揺り動かされている人も多いだろう。そこで、実際にプレイして感触を確かめてみた。
メニュー画面が微妙に異なる「1」と「2」。どちらがお得?
現在のところ、PSP版のナムコミュージアムは2作が発売されている。1作目に収録されているのは、オリジナル版が「ギャラクシアン」「ギャラガ」「パックマン」「ミズパックマン」「ラリーX」「ニューラリーX」「ディグダグ」で、アレンジ版が「パックマンアレンジメント」「ギャラガアレンジメント」「ラリーXアレンジメント」「ディグダグアレンジメント」の合計11作品。2作目では、オリジナル版「キング&バルーン」「ボスコニアン」「ゼビウス」「マッピー」「ドルアーガの塔」「グロブダー」「ドラゴンバスター」「ディグダグII」「モトス」「ローリングサンダー」「ドラゴンスピリット」に加え、アレンジ版の「パックマン アレンジメントプラス」「モトス アレンジメント」が収録されている。
両方ともに起動して、最初に気づくのがメニュー構成の違いだろう。1作目は、オリジナル版が列の左に、アレンジ版は右の列に表示されていたものが、2作目になると一緒の列に収録されている。しかも、嬉しいことにミュージックプレイヤーと呼ばれる、収録全13タイトルのBGMやSEだけを聞けるモードまで用意されているのだ。アレンジ版が多く収録されている1作目と、メニュー画面から音楽が鑑賞し放題の2作目。どちらをお得に感じるかは人にもよるだろうが、個人的には2作目を押したい。その昔、ナムコのゲームミュージックを収録したCDを買った身としては、そろそろメディアも劣化しているのでは? との疑惑もあるので、2作目を購入して曲を堪能したいところだ。また1作目は、ナムコ初期作品が中心なので、必然的に盛り上がるBGMが少なくなってしまう。しかし、2作目には黄金期の作品が数多く入っているので、聞き応えもタップリ。
なお、1作目で曲を聴くには、ゲームを選択した後にオプション画面を選び、そこでサウンドテストを選択する。結果的に出来ることは同じだが、1作目の方が若干手間がかかってしまうのだ。
オリジナル版で出来る設定は豊富だが……
収録されているオリジナル版はアーケードで稼働していたタイトルなので、中には縦画面でプレイするものもある。その際に問題になるのが画面の配置だが、PSPは本体を縦に回転させることで縦画面表示が可能なので(思った以上にアナログ的な方法ではあるが)、そのような設定項目がちゃんと用意されている。それを選べば、当時と変わらない雰囲気で楽しめるのだ。また、項目は画面を縦に回転させるだけでなく、左右幅を合わせるFITや、上下左右ピッタリにしてくれるFULLもある。これらを選ぶと、文字が若干にじんだような感じの表現になってしまうが、これは画面の大きさとのトレードオフなので、しょうがないところ。
そのほかの設定としては、基盤の電源を入れた直後に表示されるテストパターンのオンオフやエクステンド設定などがある。これらはすべて自分好みに選択できるので、今の腕に合わせてヌルい設定にするのも良いし、当時を思い起こして同じようにするのもありだろう。とはいえ、今でもゲーマー魂が宿っている人ならば、ヌルい設定には絶対に出来ないはずだが……。
ただし、一部のゲームを除いて、キーコンフィグができないのには困った。なぜそのような仕様にしたのか理解に苦しむが、ボタンを1つしか使わない作品でも、自由にカスタマイズできるようにしておいてほしかった。□ボタンに空中攻撃、Rボタンで地上攻撃などと設定したいゲームもあるのだから。ほぼ完全に移植できているだけに、余計目立ってしまったのが残念。
ほかにも、収録されているオリジナル版は全てアーケード版に忠実に移植されているのに、2作目は1作目に比べて、ロード時間が長いのも惜しい部分。何か内部の仕組みが変わったのかもしれないが、何とか工夫して短くしてほしかった。次回作があるならば、ぜひ改善してほしい項目だ。
なお、タイトルごとにマニアックオプションと呼ばれる項目があり、一定条件を満たすとオプション画面に現れるようになる。ここでは、ゼビウスなら画面の焼き付き状態を再現したままのプレイや、キング&バルーンなら王様の声を日本語版とUS版から選択できるなど、まさにマニアしか知らないような当時の現象を、オプションにて再現できる。もちろん、このモードがないからといってプレイに支障を来すわけではないが、遊び心でこのようなモードを入れた開発者のお茶目心には感謝。このようなサービスを見ると同社が昔、雑誌の広告で使っていたキャッチコピー「遊気凛々」を何となく思い出してしまう。
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