“癒し”にはお香もハーブも必要ない――美少女とほんのちょっとの妄想力だけあればいい:「ARIA The NATURAL 〜遠い記憶のミラージュ〜」レビュー(1/2 ページ)
最近疲れている……そんな人にお勧めしたいのが、萌えにあふれるひとつの効能“癒し”がたっぷり入った作品「ARIA The NATURAL 〜遠い記憶のミラージュ〜」。本作には、お香などの特別な癒しグッズは入っていない。美少女たちが癒してくれるのだ。
萌えと癒しの融合
水無灯里(みずなしあかり)が一人前の水先案内人(ウンディーネ)を目指す日常が描かれる――それが「ARIA」だ。水の惑星アクアにある観光都市ネオ・ヴェネツィアを舞台とし、灯里と周りの人々の、暖かく何気ない日常が語られる。原作は月刊コミックブレイドにて連載中のマンガであり、テレビ東京で放映されているTVアニメも、すでに第2期へ突入している。そして今回、ビジュアルノベルゲームとして、ついにゲーム化を果たしたわけだ。
本作「ARIA The NATURAL 〜遠い記憶のミラージュ〜」において、プレーヤーはゲーム版オリジナルキャラクターの青年となり、大学の課題のため、マンホームからネオ・ヴェネツィアへと赴くこととなる。主人公はそこで灯里たちと出会い、ひょんなことから男性初の水先案内人をすることに……というストーリーだ。彼女たちと共同生活を送りながら、ネオ・ヴェネツィアで感じる穏やかな日常を楽しめる。
ゲームシステムは、シナリオを読み進めていき、途中に現れる選択肢によってストーリーが変化するという、オーソドックスなビジュアルノベル形式。好きなヒロインと仲良くなったり、「ARIA」が持つ独特の“ちょっぴり不思議”な世界が体験できたりと、主人公を通してユーザーが「ARIA」の世界に入り込める仕組みだ。
ゲーム画面では、キャラクターたちのセリフが吹きだしで表現されていたり、マンガのようなコマとして登場するなど、演出面では実にコミカルな手法が盛り込まれている。また、高潮の「アクア・アルタ」や、夜に光る風鈴「夜行鈴」、水先案内人の「昇級試験」といった、原作やアニメでおなじみのエピソードももちろん登場。アニメ版と同じ声優陣を起用するなど、ファンならば納得の一本となっている。
攻略可能なヒロインは「水無灯里」、「藍華・S・グランチェスタ」、「アリス・キャロル」の3人。ストーリーは全8章で、第4章からヒロインの個別パートに分岐し、メインシナリオをなぞりながらヒロインたちとの日常を楽しんでいく。
萌えることで癒される、という“萌えテラピー”をいかんなく発揮する本作。最近お疲れ気味な筆者は本作で癒されるべく、さっそくプレイを開始してみた。筆者は個人的に声で萌えるため、灯里狙いでプレイ。彼女に“はわわ”とか“あぅあぅ”とか言われた日には、もうたまらない!
ネオ・ヴェネツィアに行きたくて
ここからは、筆者による萌えるエピソードだけを集めた、萌えエピソードリポートを紹介していこう。
まずは第1章。勢いよくプレイを始めてみたものの、お目当ての灯里たちはなかなか登場せず。まだかまだかと心躍らせる筆者にとっては、少しだれるポイントではあるが、むしろそれが“やっと灯里たちに会えた”と思わせる、開発者側のじらしテクニックなのだと勝手に解釈。プレイを開始してすぐに会えては面白くない、少々プレーヤーをじらしてから登場させるというニクイ演出をしているのだと考えることにした。
しばらくプレイを進めると、ようやく灯里やアリシアたちが登場。例の心理作戦に見事ハマっている筆者は、ARIAカンパニーの面々が登場するといつにもまして興奮してしまう。そして、主人公が灯里に観光案内をしてもらうシーン。水先案内人(ウンディーネ)という職業やネオ・ヴェネツィアという街が好きなのだと、照れつつもはにかんだ表情で主人公に訴える灯里が、もうかわいいのなんの! これほど気持ちよくハメてくれるなら、じらしテクニック、どんとこいである。
そして第1章の見どころ、もとい萌えどころはここから。灯里による案内の最中、主人公のお腹がなる。そこでじゃがバターをみんなで食べることになるのだが、灯里の“はふはふ”いいながら食べる仕草がとにかく萌える。灯里のほんわかした声で言われると、なんだかとても幸せな気分になるのだ。しかもここではイベントグラフィックも見ることができるので、まさに至れり尽くせりの名場面と言えるだろう。
じゃがバターを食べ終わった後、灯里のとっておきのものを見せてくれることに。それは、ある場所、ある時間帯でないと吹かない「花風」だ。この花風を見せられた主人公は、いきなり灯里のことを気に入ったと告げる。突如の大胆発言に赤面し、慌てる灯里……この場面を音声でお伝えできないのはつらいが、慌てた灯里の“はわわわっ!”というセリフが萌える。思わずリピートをかけて、何度も聞き直してしまうほど萌えるので、本作をプレイした際には、ぜひ聴いてみてほしい。
ちょっとアリスが気になりだす
アリスが本格的に登場するのは第3章。第1章でも少しだけ登場するが、実のところそんなに意識はしていなかった。が、この章に入り、制服姿になったアリスが妙に気になりだす。筆者の中でのアリス株が一気にあがり、同時にアリスのキャラクター像も見えてくる。無口で無愛想な態度をとりながらも、根はやさしいけど素直になれない不器用な彼女……筆者は思わず“ぞっこんラブ!!”と叫びたくなった。
第3章では、夏前に起きる高潮「アクア・アルタ」や、男性が女性にバラの蕾を送る「ボッコロの日」など、現実のヴェネツィアでも実際に存在するイベントを体験できる。ボッコロの日のイベントでは、主人公が買ったバラを誰かひとりにあげるという選択肢が出現。いつの間にか、灯里ではなくアリス萌えになっている自分に気が付いた筆者は、迷うことなくアリスにバラを差し出す。ほとんど面識のなかった男にバラをもらい、戸惑うアリスにたまらなく萌える。
ちなみに、誰にバラを渡したかによって、第4章からの個別ヒロインルートが決定する。しかし、最初のほうで触れたとおり、攻略可能なヒロインは3人なので、アリシアたちに渡すことができないのは少々残念な点だろう。
ヒロインの個別ルートとなる第4章。筆者は先にも触れているように、アリスルートを選択した。この章では、夜に光る鈴「夜光鈴」を売る出店が立ち並ぶ、ちょっとした夏祭り感覚を味わえるイベントが発生する。アリスとの仲が進展すればいいなぁ……と期待していたが、さすが無口な無愛想ッ子。なにを考えているのかさっぱり分からない。終始不機嫌でうーうー唸っている彼女には、どうやら悩みがあるようだ。
主人公が一緒に問題を解決してあげれば、アリスに笑顔が戻る。萌え萌えな彼女の笑顔に筆者は十分に癒された。風景や何気ない日常以外に、ヒロインたちの持つ魅力も、癒しの付加効果となっている。再び夜光鈴の市へ戻るふたり。そこで主人公はひとつの夜光鈴をアリスにプレゼントする。照れて思わず藍華の真似をしてしまうアリス……やっぱりいい!
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