ヌンチャクひとつで宇宙の冒険! Wiiで遊べる新しいRPGはいかが?:「オプーナ」レビュー(2/2 ページ)
ライセンスをとり仕事をする、トモダチと交流する、これぞまさにライフスタイルRPG
ランドロール星での生活を始めたオプーナは、やがてランドロールガードという職を手にする。ランドロールガードは、居住区の周りにいるダークローグたちを倒したり、居住区外の施設を警備するなどの戦闘メインの仕事を任される職業だ。オプーナのメインの仕事はこのランドロールガードで、物語の進行にともないワンスター、トゥースター、スリースター……と階級が上がっていく。
そしてそれ以外にもオプーナはいろんな職業のライセンスを手に入れることができる。その数は20種類以上もあり、それぞれが個性的なものばかり。たとえばアテンダントのライセンスを手に入れると、まずはファーストフードの店員をやることになる。店員となったオプーナは「お客の注文を聞き、それを覚えて正確に商品を渡さなくてはいけない」というミニゲーム的なミッションを受けることになる。これをクリアすればライセンスの階級が上がり、さらに別の地で別の仕事を引き受けられるようになる、といった流れだ。
アテンダントの他にも、サカナを釣ることから始まるシーマスターや、鉱石からミネラルを得ることで畑を開発していくファーマーや、知名度や芸術性というステータスが重要なアイドルなど、得られるライセンスは実にさまざまだ。
プレイ序盤は若干“おつかいプレイ”気味に感じるかもしれないが、慣れてくれば自由度が広がる。基本的な物語は変わらないが、どのライセンスを極めたいのか、何を集めたいのかというあたりはプレーヤーの手にゆだねられるわけだ。ベッドで休息するとちゃんと1日経過するし、「明日○○で会おう」と言った人が、次の日そこにいたらちゃんと待っててくれるなど、細かいところの演出が行き届いており、ランドロール星でちゃんと時間が経過していて、生活をしているような感覚が味わえる。
オプーナの周りにいる人たちとの交流もプレイの重要な要素だ。何かに詰まったら周りの人に話しかけて情報を集める、というのはRPGの基本だが、本作はその比重が非常に大きいように感じた。「○○さんは△△にいるよ」という誰かの情報を聞かない限りは○○さんの居所が分からなかったりするので、人との会話をおろそかにすると、うっかりやるべきことを見失いかねないこともあった。話しかけていない人がいたら、とにかく会話だ。何か進展があってから話しかけるとまた違った情報が聞けるかもしれないので、会話を怠ってはいけない。
また、会話をすることで「トモダチになろう」と言ってくる人もいる。トモダチになるとトモダチリストが埋まっていくし、何かしら協力してくれるので、トモダチになっておいて損はない。トモダチに対していいことをするとトモダチ度が上がっていき、さらに協力してくれることもある。トモダチのコンプリートを目指してプレイするというのもありだ。
キャラにクセはあるが……やり込みプレイもできる、なかなかの佳作
ヌンチャクによる新しい操作の楽しさ、快適さ。ライセンスを得ることやトモダチを作ることで広がっていく世界。そういった魅力が盛り込まれた本作ではあるが、気になるところもなくはない。
まずは、そのマップの複雑さやフィールドの移動の煩雑さだ。特に序盤で感じたのだが、「○○に行って」と言われても、それがどこにあるのかが非常に分かりにくいケースがあった。GPSという機能でマップは表示されるものの、エレベータが各所に点在しており、慣れるまでは自分がどこにいるのか分からなくて困ったものだ。今よりずっと未来の世界を描いたSF的な世界観なのに、エレベータが各階止まりで現代より不便だという点にも「うーん」とうなってしまった。慣れれば我が家のような感覚で移動できるようになるし、途中からホバーボードという乗り物で速く移動できるようになるのだが、それにしてもちょっと面倒すぎるな、というのが率直な感想だ。
また、大前提として肝心なのが、オプーナ含め主人公たちのビジュアルにぐっと来るかどうかという点。オプーナや弟コプーナなどのティティア星人は、ともすればレゴブロックのような独特の風貌をしている。主人公オプーナについていえば、つるんつるんの頭の上にオレンジのボンボンが浮遊していて、2.5頭身のずんどうな姿をしている。かわいいといえばかわいいが、好みの別れるところだろう。イケメンの主人公がバッサバッサと敵をなぎ倒してヒロインと恋に落ちる、というようなRPGとは真逆のデザインだと言っていい。低年齢層受けはいいかもしれないが、オプーナの姿がもっと別の姿なら購入意欲が湧いていたという人もいるのではないだろうか。
とは言ってみたものの、筆者も最初は「このお団子みたいな主人公を愛せるかな……?」と思っていた側の人間だが、プレイしていくうちに愛着が湧いてきたから不思議だ。愛着というよりは、ゲームそのものがちゃんと面白いからひきこまれた、という方が正しいだろうか。1本ちゃんと筋が通っていつつも、ランドロール星で気ままにライセンスを取得し、いろんな人と会話し、世界を広げていく楽しみ。そして、ボンボンを自在に操るバトル。それらをいったん味わうとゲーマー魂に火がついてしまった。また、やり込み心をくすぐる要素の数々がうまく散りばめられている。最初はおつかい的に思った仕事の数々も、能動的にあれをやろう、次はこれをやろうというように動けるようになっていくのが面白い。次々と新しい場所に行ける楽しみもある。ちょっと古めかしいが作品のSF的世界観にマッチした良質な音楽も気分を盛り上げてくれる。少しだけプレイするつもりが気がついたら何時間もやっていた、ということもあった。
というわけで、結局何が言いたいのかというと、ビジュアルで食わず嫌いをしている人がいるなら、「まあちょっとやってみてはどうよ」ということである。やり込み系のRPGを片手でまったりやりたいという人にはうってつけのタイトルではないだろうか。オプーナ独特の不思議なSF世界に足を踏み入れたら、なかなか抜け出せなくなるかもよ。
「オプーナ」 | |
対応機種 | Wii |
メーカー | コーエー |
ジャンル | RPG |
発売日 | 2007年11月1日 |
価格(税込) | 7090円 |
(C)HITOSHI SAKIMOTO
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