FitbitのPebble買収に見る、ウェアラブル市場の世代交代(1/2 ページ)
2016年のウェアラブル市場で大きなトピックとなったのは、年末に入ってきたあるニュースだった。それは、FitbitがPebbleを買収するというものだ。
Fitbitは、Apple Watch以上の販売台数を誇る、ウェアラブル市場をリードするメーカーだ。主にアクティビティートラッカーを中心としたラインアップで人気を博しており、そこから派生させる形でスマートウォッチ「Surge」「Blaze」へと展開している。
とくにBlazeは、Apple Watchと同じほどによく見かけるスマートウォッチとなっている。またSurgeはGPSを内蔵しながら、通常使用では7日間のバッテリーライフを実現している点が、Apple Watchとの比較で強みだ。週1度の充電で済むことから、睡眠の計測を行うことができる点は、Apple Watchが獲得しなければならないが実現していない機能、ということになる。
前述の通りアクティビティートラッカーとして使用してきたユーザーが多いこと、そして販売価格が179ドルから249ドルと、Apple Watch Series 1の269ドルよりも安いことが、人気を支えている。Fitbitは、「現時点で現実的なウェアラブルデバイス」と評価できる。
Pebbleという企業
そうしたウェアラブルデバイスのトップメーカーであるFitbitが、Pebbleという企業を3400〜4000万ドルで買収した。この金額はPebbleが抱える損失をカバーする程度の金額という。またFitbitは2018年までは、Pebbleとしてのビジネスを継続するという。
この買収劇は、ウェアラブル市場における、1つの大きな転換点となる。
Pebbleは、スマートウォッチの黎明期を切りひらいた製品と位置付けられる。創業者のEric Migicovsky氏がコンセプトを作り、アクセラレータのY Combinatorに採用。アクセラレータプログラム中のスタートアップ企業には珍しく、その期間中から売り上げを上げる事例となった。
Pebbleは、Eインクのモノクロ液晶を備えたスマートウォッチだ。7日間のバッテリーライフと3軸のモーションセンサー、当初はAndroid(後にiOS)のスマートフォンと連携し、通知などを表示できる仕組みを備えていた。2015年12月にはファームウェアアップデートにより、アクティビティトラッカー機能を実装している。
2012年4月にクラウドファンディングのKickstarterでキャンペーンを開始し、2時間で10万ドルの目標を達成、6日間で470万ドルを集めた。
最終的には1026万6845ドル、6万8929人がキャンペーンに参加した。この記録は当時のクラウドファンディングで最速・最多となり、クラウドファンディング自体に注目が集まるきっかけともなった。
その後金属ボディーのPebble Steelを追加し、2014年12月までに100万台の販売を達成している。Apple Watchが発表されたのは2014年9月、発売されたのは2015年4月であることから、スマートウォッチの黎明期を作った製品である、といえる。
Pebble第2世代とそのアイデア
Pebbleは、2015年にカラーEインクディスプレイを備えたTimeをリリース、2016年にはPebble 2、Time 2をKickstarterキャンペーンで紹介した。円形のモデルも用意され、スマートウォッチがより一般的な時計として利用できるように進化を続けている。
しかし、2015年は既にApple Watchが登場しており、スマートウォッチ市場の爆発的な拡大とiPhoneユーザーへの普及が進んでいた時期。Pebbleはバッテリー面や機能面で優れていたが、Appleの勢いに押される形でその勢力を縮小させることになった。
スマートウォッチは、スマートフォンとの連携を前提にして、通信や通知、コミュニケーションを行う仕組みだったが、Pebbleは異なる提案をしようとしていた。
前述の2016年のPebble 2、Time 2のキャンペーンの際、「Pebble Core」といわれるウェアラブルコンピュータも発表していたのだ。
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