【更新】「ウコンに薬としての効能はない」は正確ではない 専門家に聞いた「全容はいまだに解明されていない」
健康への効果があるとしても限られていると示唆 ※追記・訂正あり
米ミネソタ大学の研究チームが「ウコンの主成分であるクルクミンの薬効成分には懐疑的」という見解を発表したのを受け、ウコンの主成分に効果はないと紹介しました。
しかしこれは論文の趣旨とは異なるもので、あくまでも主成分のクルクミンが研究対象であり、そのクルクミンの薬効に懐疑的というだけで天然ウコンの健康への有益性に関しては否定できないというものでした。そのため、修正追記しました(2月2日)。
世界のあらゆる場所で民間療法に利用されており、カレーのスパイスとしても活躍。日本では「二日酔いに効く」とドリンクや薬なども販売され、お酒の席では「頼むぞ!」と困ったときの救世主とも呼べる存在だった香辛料・ウコン(ターメリック)ですが、米ミネソタ大学の研究チームが最新の論文で「主成分のクルクミンに薬効成分は確認できていない」という見解を発表しました。な、なんてこった……。
ウコン(ターメリック)の主成分である「クルクミン」には「健康によい作用を及ぼす物質である」という期待がなされていたのですが、今回発表された研究論文では、「そもそも体内に吸収されにくいので、薬効はあまり期待できない」と述べられています。
皆さまは「プラシーボ効果」という言葉をご存じでしょうか。簡単に言えば、思い込みが身体に対してよい影響を与えることを指します。日本語では「偽薬効果」と呼ばれることもあるので、読んで字のごとく。取りあえず身体によいと聞けば、イコールで薬効および何らかの効能が期待できるのでは? と信じ、取り入れた結果、病気の治癒が早まったり、元気になることがあります。今回のウコンもその「プラシーボ効果」に等しいのでしょうか? だとしたらなんとなくガッカリ。
論文ではクルクミンに、「実際には何の効果もないけれど、研究の上では何か影響を与えているような偽の観測データを生み出す特殊な性質」とされるものが含まれていたのではないかと推測しています。何らかの効能が期待されていたクルクミンですが、実際は何の作用も及ぼさないかもよ、というのが今回の研究の趣旨です。
なんにせよ、お酒の飲み過ぎには十分注意したいところです。最終的に頼れるのは己の判断力のみ。もし薬効がなかったとしても、ウコンくんにはこれからも色づけ担当や、カレーなどをおいしくする役目を果たしていってほしい。私たち人間もウコンも、存在理由はきっとある。「無意味」な存在なんてこの世にないはずだから……(落涙)。
「ウコンに薬としての効能はない」は正確ではない(2月2日更新)
今回の論文ではウコン(ターメリック)の主成分である「クルクミン」に薬効がないかもしれないと懐疑的な見解が示されました。効果があるように見せかけるような物質が研究データに支障を与えているのではと指摘しており、今回の研究によって「貴重な研究リソースを最も効率的に使うようにするべき」と、新たな研究の方向の可能性を示唆する内容でした。
ウコンの抽出エキスは肝機能によいとされ、日本では主にアルコールの友として親しまれています。この抽出エキスの主成分がクルクミンです。ウコンには鎮痛作用やコレステロール分解作用などさまざまな効能が期待されており、海外でもさまざまな研究が行われています。
ではウコンの主成分であるクルクミンの薬効成分に懐疑的とする見解について専門家はどう思っているのでしょうか。医学博士で横浜薬科大学教授の渡邉泰雄氏にねとらぼ編集部が取材しました。
―― 今回の論文の見解について
渡邉教授 記事を掲載している雑誌はとてもいい研究を載せている雑誌で、インパクトファクター(IF)もしっかりしているため、信ぴょう性の高い論文を載せています。ただし、今回の論文の内容を詳細に読んでいないので分かりませんが、クルクミンに効能効果がないというのは言い過ぎではないでしょうか。なぜかと言うと、これまでに、IFの高い論文で細胞を用いたり、臨床試験であったり、動物実験であったりで、多くの効能が報告されているからです。
―― 体内に吸収されないので、効果は薄いということでは?
渡邉教授 「クルクミンは吸収率が悪い」というのは事実としてよく知られています。そこで私はクルクミンを微粉化するなどして吸収率を高める研究を行っています。つまり消化器官に吸収されやすくなるようにクルクミンを溶けやすくし、結果的に多数の効果が発見されています。さらに、吸収効果が低くても、腸内には免疫機能を有するパイエル板という機構も存在するので、吸収だけで判断するのは早計です。
―― ウコンがアルコールに効果があるというのは?
渡邉教授 そもそも日本では「ウコン=アルコールに効果がある」と思われがちですが、海外ではアンチエイジングやガン、心筋梗塞、脳こうそくなどに関する研究が盛んで、そちらがメインの研究と思われます。アルコールに関しては、胆汁排泄や胆汁促進機能をクルクミンは有するので、ウソではありません。
―― 論文もそうした趣旨で発表されたとありました
渡邉教授 今回の論文でも、詳細に読んでいないので批判は困難ですが、「クルクミンがどこから、どういう過程で採取されたものなのか」「どのような溶解性のクルクミンを対象に」したのか……。大きく研究結果が変わることがあります。溶けにくいクルクミンで研究をしたのなら何の効果か分かりませんが、見いだせなくても仕方がないと思います。
―― ウコンについても分からないことが多いということでしょうか
渡邉教授 ウコンはいわゆる生薬に分類されます。その中に含まれるは、鉄分が含まれているウコンもあるので肝炎を生じている方は肝を痛めます。クルクミンも、飲み過ぎると胃腸の障害を起こす可能性がありますし、適量ならばいい効果があるといわれています。私としては「ウコンに効果がない」と思うのであれば飲まなくてもいいと思いますし、絶対にウコンを飲んだ方がいいということもない、飲まないと何かが起きるわけでもないですから。
教授によると、論文はあくまでも研究結果の一つであって、もしクルクミンに薬効がなかったとしてもウコンに含まれる別の成分に薬効があればウコン自体の薬効は否定されないという考え方もできるので記事は訂正すべきとの見解でした。
また、ウコンといえば最初に思い浮かぶであろう「ウコンの力」を販売しているハウス食品の担当者にも話を聞くと、「論文中にも触れられている通り、可能性はあるが全容解明はされていない。結論が出ている話ではないので、正しいか間違っているかは証明されていない状況」とあくまでも今回の発表はクルクミンに関する研究成果の一つだと捉えているとのことでした。ハウス食品はウコンおよびクルクミンの研究を続けており、論文として掲載されているものも多数あります。
さらに同志社大学 生命医科学部の市川寛教授にも聞いたところ、「(論文が掲載されているのは)IFが5点を越す雑誌なので、文句のつけようがありませんが 前述のごとく、あくまでもクルクミンに対する著者らの考え方であり、この論文が出たからと言って、薬効を否定するものとも思われません」との見解。「クルクミン同様、一般的なポリフェノール類なども消化管からの吸収は非常に悪いものがありますが、最近の考え方は食品因子は吸収される必要はなく、細胞の受容体や、腸内細菌との相互作用で有用な作用を生体に与えていると考えられています」とのこと。「吸収が悪いといって、クルクミンが薬効を持たないと断言するのはいかがなものかと思います。クルクミン自身、吸収されるとさまざまな物質に代謝されることも分かっており、クルクミン自身の薬効がないとは個人的には思っていません」と取材にコメントしています。
ねとらぼでは記事中で「ウコンの主成分に薬効はない」と断定していた部分を以上の理由で訂正しました。また、論文がウコンの主成分であるクルクミンが対象であり、その薬効に懐疑的だというだけでウコンの健康への有益性を否定しておらず、誤解を与えるとして当該部分を修正しました。
関連記事
- パクチーは飲み物!? 独特な香りを楽しめる「パクチー青汁」新発売!
大麦若葉と桑の葉も配合。 - 国民生活センターが「水素水」を調査 水素が表記より少ない例や、まったく入っていない製品が明るみに
事業者対象のアンケートでは、「期待できる効果は『水分補給』」との回答が最多に。 - よし、生やすぞ〜! シャープ、空気清浄機でおなじみプラズマクラスター技術に育毛効果があることを発表
ありがとう、シャープさん。 - そんなばかな “水素水を作れるスマホアプリ”が販売中
どこから突っ込めばいいんだ。 - ピルクルに摂取目安量「1日65ミリ」の表記があってTwitter民おののく 500ミリ全部飲んではだめなのか聞いてみた
1日500ミリ飲み干すと、乳酸菌は約1154億個……これって危ないの? - あったかいのをたっぷり:サントリー、温かい500mlペットボトル発売 「ホット伊右衛門」など
350ミリリットルのホットペットボトルを少ないと感じている人がいることが背景。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
-
「何言ったんだ」 大谷翔平が妻から受けた“まさかの行動”に「世界中で真美子さんだけ」「可愛すぎて草」【大谷翔平激動の2024年 「家族愛」にも集まった注目】
-
60代女性「15年通った美容師に文句を言われ……」 悩める依頼者をプロが大変身させた結末に驚きと称賛「めっちゃ若返って見える!」
-
「庶民的すぎる」「明日買おう」 大谷翔平の妻・真美子さんが客席で食べていた? 「のど飴」が話題に
-
皇后さま、「菊のティアラ」に注目集まる 天皇陛下のネクタイと合わせたコーデも……【宮内庁インスタ振り返り】
-
真っ黒な“極太毛糸”をダイナミックに編み続けたら…… 予想外の完成品に驚きの声【スコットランド】
-
71歳母「若いころは沢山の男性の誘いを断った」 信じられない娘だったけど…… 当時の姿に仰天「マジで美しい」【フィリピン】
-
新1000円札を300枚両替→よく見たら…… 激レアな“不良品”に驚がく 「初めて見た」「こんなのあるんだ」
-
家の壁に“ポケモン”を描きはじめて、半年後…… ついに完成した“愛あふれる作品”に「最高」と反響
-
ザリガニが約3000匹いた池の水を、全部抜いてみたら…… 思わず腰が抜ける興味深い結果に「本当にすごい」「見ていて爽快」
-
「ほぼ全員、父親が大物芸能人」 奇跡的な“若手俳優の集合写真”が「すごいメンツ」と再び話題 「今や全員主役級」
- ザリガニが約3000匹いた池の水を、全部抜いてみたら…… 思わず腰が抜ける興味深い結果に「本当にすごい」「見ていて爽快」
- ズカズカ家に入ってきたぼっちの子猫→妙になれなれしいので、風呂に入れてみると…… 思わず腰を抜かす事態に「たまらんw」「この子は賢い」
- フォークに“毛糸”を巻き付けていくと…… 冬にピッタリなアイテムが完成 「とってもかわいい!」と200万再生【海外】
- 鮮魚スーパーで特価品になっていたイセエビを連れ帰り、水槽に入れたら…… 想定外の結果と2日後の光景に「泣けます」「おもしろすぎ」
- 「申し訳なく思っております」 ミスド「個体差ディグダ」が空前の大ヒットも…… 運営が“謝罪”した理由
- 「タダでもいいレベル」 ハードオフで1100円で売られていた“まさかのジャンク品”→修理すると…… 執念の復活劇に「すごすぎる」
- 母親から届いた「もち」の仕送り方法が秀逸 まさかの梱包アイデアに「この発想は無かった」と称賛 投稿者にその後を聞いた
- ある日、猫一家が「あの〜」とわが家にやって来て…… 人生が大きく変わる衝撃の出会い→心あたたまる急展開に「声出た笑」「こりゃたまんない」
- 友人のため、職人が本気を出すと…… 廃材で作ったとは思えない“見事な完成品”に「本当に美しい」「言葉が出ません」【英】
- セレーナ・ゴメス、婚約発表 左手薬指に大きなダイヤの指輪 恋人との2ショットで「2人ともおめでとう!」「泣いている」
- 「何言ったんだ」 大谷翔平が妻から受けた“まさかの仕打ち”に「世界中で真美子さんだけ」「可愛すぎて草」
- 「絶句」 ユニクロ新作バッグに“色移り”の報告続出…… 運営が謝罪、即販売停止に 「とてもショック」
- 「飼いきれなくなったからタダで持ってきなよ」と言われ飼育放棄された超大型犬を保護→ 1年後の今は…… 飼い主に聞いた
- アレン様、バラエティー番組「相席食堂」制作サイドからのメールに苦言 「偉そうな口調で外して等と連絡してきて、」「二度とオファーしてこないで下さぃませ」
- 「明らかに……」 大谷翔平の妻・真美子さんの“手腕”を米メディアが称賛 「大谷は野球に専念すべき」
- 「やはり……」 MVP受賞の大谷翔平、会見中の“仕草”に心配の声も 「真美子さんの視線」「動かしてない」
- ドクダミを手で抜かず、ハサミで切ると…… 目からウロコの検証結果が435万再生「凄い事が起こった」「逆効果だったとは」
- 「母はパリコレモデルで妹は……」 “日本一のイケメン高校生”グランプリ獲得者の「家族がすごすぎる」と驚がくの声
- 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
- 「真美子さんさすが」 大谷翔平夫妻がバスケ挑戦→元選手妻の“華麗な腕前”が話題 「尊すぎて鼻血」