「LA-MULANA(ラ・ムラーナ)」というゲームのこと、1人のゲームライターの人生のこと:「LA-MULANA 2」レビュー(1/3 ページ)
「LA-MULANA」と出会っていなかったら、多分今こうしてここにいることはなかったかもしれない、という話。
少し前に「#人生を変えたゲーム」というハッシュタグが流行っていたので、便乗して僕の「人生を変えたゲーム」の話をしたい。
といっても、マリオとかドラクエ、FFみたいなメジャーな作品ではなくて、恐らくこの記事を読む人の多くは名前すら聞いたことがないと思う(知ってる人は多分かなりのゲーム通)。
ゲームの名前は「LA-MULANA(ラ・ムラーナ)」という。僕にとっては「ゲームライターをやめるきっかけになったゲーム」であり、同時に「もう一度ゲームを好きにさせてくれたゲーム」でもある。
ライター:池谷勇人(てっけん)
ゲームとネットと銭湯が大好きなねとらぼ副編集長。まだ幼稚園にあがる前、父親につれていってもらったゲームセンターでゲームの楽しさに目覚め、大学在学中に雑誌「ゲーム批評」でライターデビュー。卒業後はゲーム業界紙の編集者を経てフリーのゲームライターに。2012年からねとらぼの中の人。
どん底で出会った「LA-MULANA」
僕がこのゲームを知ったのは、Wiiウェア版(2011年6月発売)が出る少し前のこと。当時僕はフリーのゲームライターで、ガジェット通信編集長の宮原俊介さん(元ショックウェーブ出身で、個人ゲーム開発者に顔が広い)が、「池谷さんに紹介したいゲーム開発者がいるんです」と紹介してくれたのが「LA-MULANA」作者との最初の出会いだった。
2011年といえば、ちょうど海外では「Minecraft」が大ブームになっていて、インディーゲームという存在がにわかに注目を集めていたころ。ただ、その波はまだ日本にまでは届いておらず、今のように国産のインディーゲームや開発者が脚光を浴びるのはもう少し先のことになる。
で、そのころ僕はというと、長年続けていたゲームライター稼業にだいぶ行き詰まりを感じていて、真剣に将来について考えていた時期だった。このころ国内ゲーム業界はスマホゲーム勃興前夜のような状態で、単純にどこも景気が悪く、必然的に自分の仕事も減りつつあった。ただ、それより大きかったのは、自分にとって「ゲームが面白いと思えなくなった」ということだった。
これは自分でもまったく予想していなかったことで、これまで「ゲームこそ最高の娯楽で、その魅力を少しでも多くの人に伝えたい」という熱意をよりどころにして生きてきたのに、それがポッキリ折れてしまった。とにかく、ゲームは面白くないし、純粋に仕事も減ってきていたし、ついでに彼女にも振られてヘコみまくっていたし、わりとストレートにどん底な時期だったと思う。
そんな時に出会ったのが「LA-MULANA」だった。
MSX好きの一念が世界を動かした
主人公は考古学者の「ルエミーザ博士」。ゲームは博士が“全ての文明の始まり”であるとされる巨大遺跡「ラ・ムラーナ」にたどり着いたところからスタートする。
ゲーム内容は「遺跡探検考古学アクションゲーム」。広大な遺跡の内部を探索し、敵と戦ったりアイテムを手に入れたりしながら最深部に秘められた謎を解き明かすのが目的だ。地上で準備を整え、村の長老からアドバイスを受けつつ遺跡の門をくぐると、僕は最初のフィールド「導きの門」へと足を踏み入れた。
後に知ったのだが、このゲーム、MSX(※1)の「魔城伝説II ガリウスの迷宮(※2)」というゲームが元になっている。Wiiウェア版ではグラフィックが一新されて面影が薄くなっているが、もともとリリースされていたPC版(2005年)は、グラフィックも音楽も完全にMSXそのものだった。
※1:1980年台に発売されたホビーパソコンの一種
※2:1987年発売。広大な城の中を探索し進んでいく、今にして思えばメトロイドヴァニアの先駆けのような作品。しばしばMSX最高傑作の1つに数えられる
開発スタッフは、リーダーのならむら(楢村匠)と、敵まわりと効果音・一部楽曲担当のサミエル(鮫島朋龍)、メインプログラム担当のduplex(蛯原隆行)の3人。それぞれ年齢も、職業も違っていたし、住む場所も岡山・兵庫・熊本とバラバラだったが、3人にはある共通点があった。
その共通点とは「MSXがとにかく大好き」ということ。3人は当時ならむらが運営していたMSXファンサイトを通じて出会い、やがて意気投合。「自分たちが大好きだったMSXのゲームが、もしあのまま進化を続けていたら」という思いから、「GR3 PROJECT」としてチームを組み、チャットや掲示板でやりとりしながら“現代のPCで動くMSXゲーム”を趣味で開発しはじめる。こうして第1作「GR3(※)」が2001年に完成し、「LA-MULANA」はそのプロジェクトの第2弾として企画されたものだった。
※カプセルを取ってパワーアップしていく横スクロールシューティング。元ネタはもちろんKONAMIのアレ(ゴーファーじゃない方)
ちなみにタイトルの「LA-MULANA」はリーダーの“ならむら”の逆読みで、同じく主人公のルエミーザは“サミエル”、村の長老ゼレプド(Xelpud)は“duplex”がそれぞれ元になっている。開発者の名前をひっくり返すのも、あのころのゲームでしばしば見られた文化の1つだった(※)。
※有名なのだと「ダライアス」のマヤリークとかワ・ガセハとか
で、当初日本では相当なMSXマニアの間でしか知られていなかった「LA-MULANA」だが、これがあるとき海外ゲーマーの目にとまり、「やべえゲームがある」とちょっとした騒ぎになった。当時は日本語版しかなかったが、勝手に英訳する有志まで現れ、コアな海外ゲーマーを中心に「LA-MULANA」は“日本発のクレイジーなインディーゲーム”として人気を広げていく。同時期の国産インディーゲームに「洞窟物語」(2004年)があったが、「洞窟物語」が太陽なら「LA-MULANA」は月のような存在で、この2作品が日本のインディーゲーム界に及ぼした影響はものすごく大きかったと思う。
長々と背景を語ってきたが、こうした動きを経て「じゃあ家庭用(Wiiウェア)で出そう」となったのが、僕が今遊んでいるWiiウェア版「LA-MULANA」というわけだ。今では家庭用ハードでインディーゲームが遊べるのはごく普通のことだが、このころはまだかなり珍しいケースだった。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
-
「情報を漏らされ振り回され……」とモデラー“限界声明” Vtuberのモデル使用権を剥奪 「もう支えられない」「全サポート終了」
-
「うどん屋としてあるまじきミス」→臨時休業 まさかの“残念すぎる理由”に19万いいね 「今日だけパン屋さんになりませんか」
-
“ドームでライブ中”に「76万円の指輪紛失」→2日後まさかの展開に “持ち主”三代目JSBメンバー「誰なのか探しています」
-
高畑充希と結婚の岡田将生、インスタ投稿めぐり“思わぬ議論”に 「わたしも思ってた」「普通に考えて……」
-
「本当に同じ人!?」 幼少期からイボをいじられていた男性→美容師の“お任せカット”が衝撃 「めちゃくちゃ大変身」
-
「おててだったのかぁああああ」「同じ解釈の人いた笑笑」 ピカチュウの顔が“こう見えた”再現イラストに共感続々、464万表示
-
「腹筋崩壊」 ハスキーをシャンプー&パックしたら…… “予想外のハプニング”に「こ〜れは大変だわ」「沼にでも落ちたのかとwww」
-
“歌姫”ののちゃん、6歳現在の姿に驚きの声「あれっ!?」「ビックリしてます!」 2歳で「童謡こどもの歌コンクール」銀賞受賞
-
黄ばみのある68年前のウエディングドレスを修復すると…… 生まれ変わった姿に「泣いた」「受け継ぐ価値のあるドレス」
-
走行中の車から同じ速さで後方へ飛び降りると? 体を張った実験に反響「問題文が現実世界で実行」【海外】
- 「飼いきれなくなったからタダで持ってきなよ」と言われ飼育放棄された超大型犬を保護→ 1年後の今は…… 飼い主に聞いた
- ドクダミを手で抜かず、ハサミで切ると…… 目からウロコの検証結果が435万再生「凄い事が起こった」「逆効果だったとは」
- 「明らかに……」 大谷翔平の妻・真美子さんの“手腕”を米メディアが称賛 「大谷は野球に専念すべき」
- まるで星空……!! ダイソーの糸を組み合わせ、ひたすら編む→完成したウットリするほど美しい模様に「キュンキュンきます」「夜雪にも見える」
- 妻が“13歳下&身長137センチ”で「警察から職質」 年齢差&身長差がすごい夫婦、苦悩を明かす
- 人生初の彼女は58歳で「両親より年上」 “33歳差カップル”が強烈なインパクトで話題 “古風を極めた”新居も公開
- 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
- 互いの「素顔を知ったのは交際1ケ月後」 “聖飢魔IIの熱狂的ファン夫婦”の妻の悩み→「総額396万円分の……」
- ユニクロが教える“これからの季節に持っておきたい”1枚に「これ、3枚色違いで買いました!」「今年も色違い買い足します!」と反響
- 中央道から「宇宙戦艦ヤマト」が見える! 驚きの写真がSNSで注目集める 「結構でかい」「どう見てもヤマト」 撮影者の心境を聞いた
- 50年前に撮った祖母の写真を、孫の写真と並べてみたら…… 面影が重なる美ぼうが「やばい」と640万再生 大バズリした投稿者に話を聞いた
- 「食中毒出すつもりか」 人気ラーメン店の代表が“スシローコラボ”に激怒 “チャーシュー生焼け疑惑”で苦言 運営元に話を聞いた
- フォロワー20万人超の32歳インフルエンサー、逝去数日前に配信番組“急きょ終了” 共演者は「今何も話せないという状態」「苦しい」
- 「顔が違う??」 伊藤英明、見た目が激変した近影に「どうした眉毛」「誰かとおもた…眉毛って大事」とネット仰天
- 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
- 星型に切った冷えピタを水に漬けたら…… 思ったのと違う“なにこれな物体”に「最初っから最後まで思い通りにならない満足感」「全部グダグダ」
- 「泣いても泣いても涙が」 北斗晶、“家族の死”を報告 「別れの日がこんなに急に来るなんて」
- ジャングルと化した廃墟を、14日間ひたすら草刈りした結果…… 現した“本当の姿”に「すごすぎてビックリ」「素晴らしい」
- 母親は俳優で「朝ドラのヒロイン」 “24歳の息子”がアイドルとして活躍中 「強い遺伝子を受け継いだ……」と注目集める
- 「幻の個体」と言われ、1匹1万円で購入した観賞魚が半年後…… 笑っちゃうほどの変化に反響→現在どうなったか飼い主に聞いた