財産だとしたら、その価値はどうやって決める?
オンラインゲームで手に入れたアイテムは「財産」にあたるのか、それとも単なるデータにすぎないのか。膨大な時間やお金をつぎ込んで手に入れたレアアイテムは、プレイヤーにとっては財産にも等しいかもしれない……が、問題はそう単純ではない。
先日、オンラインゲーム内のアイテムをめぐる訴訟に、ひとつの決着が付いた。神戸新聞の記事によると、原告の男性は、ゲーム内で得たアイテムをオークションなどで売ること(いわゆるRMT=リアルマネートレード)で月に約10万円の収入を得ていたが、別の少年にIDとパスワードを無断で公開されたために、持っていたレアアイテム8点を盗まれてしまったという。男性は少年に対し、レアアイテムの金額分26万円と、ゲームを続けていれば得られたであろう収入240万円(1カ月10万円×2年間分)を損害賠償として請求した。

3月24日付の神戸新聞Webサイトに掲載された「ネットゲーム訴訟で和解 希少アイテム財産的価値触れず」
実際、オークションサイトなどでは、オンラインゲームのレアアイテムがしばしば高値で取引されている。原告男性の「レアアイテムの金額分26万円」というのは、おそらくオークションでの売買価格から算出したものだろう。
が、いくら高値で買う人もいるとは言え、ゲーム内のアイテムは所詮デジタルデータにすぎない。裁判では男性が失ったアイテムについて「財産的価値を認めるかどうか」が大きな争点となった。もしも原告側の請求が通れば、オンラインゲームのアイテムには「財産的価値がある」と認められたことになり、ゲーム業界的にはものすごく大きな判例となっただろう。

ゲーム内のアイテムを現金で取引する行為(=RMT)について、メーカーは基本的に規約で禁止しているものの、法的拘束力はなく野放しになっている部分も大きい
しかし結局、判決を待たず原告男性と被告の少年は和解。少年は男性に対し慰謝料+弁護士費用70万円を支払うこととなったが、あくまで精神的苦痛を与えたことに対する慰謝料であり、失ったアイテムに対する賠償とはならなかった。結局、「オンラインゲームのアイテムに財産的価値があるかどうか」については棚に上げられたままとなった。
では現状、ゲーム内のアイテムはどういう扱いなのかというと、「メーカーがプレイ環境として貸し出しているものの1つ」であり「財産的価値はない」と見るのが一般的だ(ただしゲーム内でアイテムをだまし取る行為に対し、詐欺罪が適用された例はあった)。感覚的には、ゲームセンターのメダルがそれに近い。ゲームセンターというコミュニティ内では価値を持つが、そこから一歩でも出ると価値を失ってしまう。
今回は和解という形になったが、もし最後まで争っていたらどうなっていただろうか。ゲームのアイテムは「財産」か、それとも単なる「データ」なのか。みなさんはどちらだと思いますか?
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