晴嵐あってこその伊400だったりする
艦隊これくしょん「9・11」改装で先行実装となった「試製晴嵐」は、太平洋戦争末期に登場した水上特殊攻撃機だ(特別攻撃機でないことに注意)。世界で唯一、潜水艦による航空機運用を実用化した日本海軍だからこそ立案できた「潜水艦搭載攻撃機による敵重要目標の奇襲攻撃」。これを実施するために建造した潜水航空母艦「伊400」級に搭載する“専用”攻撃機として「試製晴嵐」は開発された。
9・11改装で先行実装した「試製晴嵐」は、9月16日に発表となったトップランカー(1〜100位)に配信している

それまで、潜水艦に搭載する航空機として「九六式小型偵察機」「零式小型水上機」を有しており、零式小型水上機は60キロ爆弾による水平爆撃も可能で実際に米国本土(ただし敵の抵抗がない山地)を爆撃しているが、伊400級に求める「敵の反撃が予想される重要目標」を攻撃するためには、敵戦闘機の迎撃を振り切る高速性能と、防御された目標や艦船を破壊できる急降下爆撃や雷撃を実施できる機体が必要だった。
高速性能を確保するため、晴嵐の発動機には彗星一二型と同じ“デリケートで整備が難しい”液冷式の熱田32型を採用している。武装は急降下爆撃用の250キロ爆弾か水平爆撃用の800キロ爆弾、または、雷撃用の800キロ航空魚雷を搭載できる。ただし、機体固有の武装は後方旋回機銃のみなので、敵戦闘機とは空戦をせず、フロートを切り離して艦上戦闘機と同等の高速で振り切ることとしていた。また、800キロ爆弾、もしくは、800キロ航空魚雷を搭載してカタパルトから射出するときも、最初からフロートを外していた。フロートを外した場合は、攻撃後潜水艦まで帰投したら、不時着水して機体を放棄、搭乗員のみを収容することになっていた。
晴嵐を搭載した「伊400」「伊401」は、米艦隊の主要根拠地だったウルシー泊地攻撃のため大湊鎮守府を1945年7月24日に出撃した。8月17日に攻撃を敢行する予定だったが、その途上の8月15日に終戦となり、日本帰還中の8月26日に晴嵐をカタパルトから射出して投棄している。

伊400級も晴嵐も1942年1月ごろから開発を始めており、同年6月に発生したミッドウェー海戦の空母喪失を穴埋めするため場当たり的に開発したものではない。そういう意味では、「伊勢」や「日向」の航空戦艦改装とはその意図も目的もまったく異なる。敵地深くまで密かに接近し重要目標を破壊する、日本軍でも珍しい「戦略兵器」といえる。
終戦後、伊400級を接収した米海軍は、晴嵐を“長距離ミサイル”に置き換えた戦略ミサイル潜水艦や潜水艦搭載の長距離巡航ミサイルによる奇襲攻撃へと発展させた。現代米国海軍で武力行使の第一撃となる巡航ミサイル“トマホーク”による対地攻撃のベースアイデアは、伊400級潜水艦と晴嵐の組み合わせにまでさかのぼることができる。
……のだが、地上攻撃がない艦これ的にそういうことはまったく関係がなく、もっぱら、有能な水上攻撃機として航空戦艦や航空巡洋艦に搭載することになるあたりが、なんというか、皮肉なものだなあと思ってみたりする。
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